古梅園の隣に、「椿井市場」というアーケード市場がある。間口2mほど、長さは100mほどと規模は大きく、もちいどの商店街が高級な買い物用なのに対し、ここは食品や消耗品など日用品を揃える用の市場だったという。かつて周囲には奈良市場、大門市場などがあったが、現在奈良の街中で「市場」を名乗るのは、ここだけになっている。

といっても内部は薄暗く、やっていそうな店は入口らへんの大判焼き、やや先の青果店ぐらいで、あとはシャッターが閉まっているというか、数十年前に閉店してそのままといった様相だ。木組の屋根が危うく脆そうで、透明のトタンから薄ぼんやり明かりがさす。八百正食料品店の茶の絵、川魚うなぎや丸仁屋の達筆な屋号の文字が、レトロなアーティスティック。中ほどに五社大神とある社、その先の「花」の看板手前には金網越しのお稲荷様もあり、商売繁盛が祈願されていたのだろうか。

そんな中で1軒、商店をリノベしたカフェスポットができており、そこだけ時代が別のような見え方だった。あとでまとめることにして、さんぽを進めましょう。