再び松江駅に戻った途端、予報通り土砂降りになった。昨日の午前中、晴天のもと大急ぎで2時間歩いたおかげで、さんぽを発信する素材は十分足りている。なので今日は店舗内の絵柄を求めて、飲食物販店を巡りましょう。

まずは松江しんじ湖温泉駅そば、土手通りに軒を連ねる店の中から、平野醤油醸造元を訪ねてみた。こちらでは、もろみに人手による加熱など温度調整を施さず、2年ほどかけて発酵・熟成させる手法で醸造を行なっている。「甘露醤油 政之助」は、この地方の料理屋で刺身に合わせて出てくるタイプの醤油で、とろみがあり甘味が強い。島根を旅していてハマってしまうこの濃厚さは、醤油とは別物の調味料といえるほどのインパクトである。

観光みやげ向きには、島根のPRキャラクターになっている鷹の爪団の「吉田くん」ラベルの、刺身や海鮮丼やコチュジャンの醤油も目を引く。関東で普段使いするのにはどれがよいか聞いてみたら、「こいくち」がそちら方面の味に近いです、と店のお姉さん。勧めにのって、ひと瓶買うことにした。

年季が入った店舗の建物は、土手町界隈で一番古いそうだが、創業から100年ほどと老舗と呼ぶには少々新しい。江戸期築の建物ほどの年季があれば、活用方法など考えるんですけどね、とお姉さん。先ほどのキャラコラボや、サッカーユニのような洒落たデザインの100年Tシャツなどグッズも制作していて、現代的な展開にも積極的に取り組んでいるようだ。