
中町商店街のちょうど中ほどから北側へ入った路地は、白壁、木造、格子戸、赤瓦、トタン屋根、妻入り、平入りが入り混じり、変化に富みながらどこか統一感ある街並みに収まっているのが不思議だ。しかも入ってすぐ右はスナック、その先はバー、向かいは美容室という普段使いさ。美容室には昭和レトロな行燈の看板、バーの正面にはガーデンの調度風のオブジェもあり、国の世界観までバラついている。
白壁に掛かる「電話・電報」と記された楕円の看板が懐かしい、出雲そばの加儀の店先を左に折れると、細い路地を挟んで大きな蔵と事業所らしき建物が向かい合う。中町商店街にあった旭日酒造の裏手が酒造所になっていて、仕込み蔵や倉庫がチラッと覗ける。大正15年築という土蔵の中には醸造タンクが並び、仕込みの時期には醸される酒の香りが漂ってくる路地なのだろう。
明治風木造建築の八雲小林医院の先には、八雲神社がこぢんまりとした社殿を構えている。須佐神社の分祀で、大蛇を退治して稲田比売命を救った須佐之男命を祀ることから、縁結びにご利益ありとされる。社殿には大社にもあるような大しめ縄がさがり、左右の狛犬ならぬ狛龍は、左側の剣に勝負事、右側の玉に良縁の力が授かるそう。まさに出雲市駅の市街でぜひ訪れるべき社で、大社まで行く時間がなければこちらで十分な参拝ができそうだ。
もう少し商店街を歩き、出雲市駅前周辺で古代を感じられるスポットにも行ってみましょう。