
城内を駆け抜けた後は、北惣門橋で城山内堀川、さらに宇賀橋を渡り、内堀の北田川沿いに「塩見縄手」を歩く。堀側は土の歩道になっていて、水辺には薦がかけられた樹齢ありげな松の木が並ぶ。時期的に紫陽花や芙蓉の花がちらほら咲いていて、堀越しの松江城山稲荷神社の鎮守の森とともに、自然に囲まれた散策が楽しめる。
塩見縄手は、かつて中級藩士が入れ替わり住んだ屋敷が並んでいた、松江城北側の通りである。名の所以を調べたところ、のちに松江藩家老職になった「塩見小兵衛」の屋敷がこの通りのほぼ中央にあったからとのこと。江戸期の頃からのままの建物が並び、中が見られる武家屋敷、松江を好んだ文豪小泉八雲の旧宅、茶器を集めた田部美術館など、見学施設も集まっている。曲がりくねる松の老木に頭をぶつけないよう気を付けながら、通りの反対側から長屋門や白壁などの構えを眺め歩くだけでも、当時を体感できるような。
北の端にある塩見縄手公園のベンチで、内堀を前にやや休んだら、回り込んで南へ戻りましょう。