県庁前を過ぎ京橋川沿いに大手門へ向かうにつれ、空の青と松の緑に堀のみずみずしさ、そして木々の間から天守が近づいてきてワクワクする。特に県庁前の千鳥橋から横に広がる石垣、南櫓と中櫓、チラ見できる天守は、城外の正面からの推しな眺めだろう。

松平直政高の像にご挨拶して、大手門跡の石垣をくぐり、左上に被さるような太鼓櫓を見上げ石段を一気に登る。二ノ門を抜けバルコニーがある興雲閣、徳川家康に松江松平の初代直政・七代治郷、松江開祖の堀尾吉晴を豪華に祀る松江神社に寄り、もうひと登りして一ノ門をくぐると本丸へ。正面にそびえる漆黒の天守は入母屋の破風と付櫓に重厚さがあり、古式の城郭の作り「下見板張り」による黒い姿は、近づけばなお威圧感がある。天守には登らないが、荒神櫓跡から松江駅〜大橋川〜先ほど歩いた京店を見下ろしてみる。

本丸からは来た道を戻らず、北側の腰曲輪を経て脇虎口門を目指す。やや荒れた道と荒々しい曲輪の石垣に、裏登城口的な雰囲気がある。森の中にポツンとあるような、馬洗池の側を通り、広々としたスペースにかつて並んでいた米蔵の跡を見て、北惣門橋から城外へと出た。

これはこのあと行く塩見縄手への近道で、ちょっとした裏道感もあるさんぽ道だった。続きます。