
駅前ビル4階にある「生マッコリ家」にて、伊東酒造の〆(けじめ)本醸造×自家製餃子。ママさんお手製の素朴な料理を肴にいい酒を酌み交わすなら、磨き抜かれた銘酒に丸々とボリューム満点の、このコンビが似合う。
春を感じさせる料理の宴は、ヘルシー趣向で軽やかに進む。春キャベツにアスパラ、ドゥブキムチときたら、皿いっぱいに行儀よく並ぶ餃子たちの出番だ。箸でつかむとポッテリと重量感、かじると皮がもっちり甘く、グシュっとほとびる肉汁に笑顔が出ぬ訳がない。迎える杯はしっかり研いだ、超辛口の本格派。鋭さの中のふくよかな薫香に、蔵元の諏訪で真っ最中の春が咲き誇る。二つ三つとグシュッ、二杯三杯とググッ。かじり飲むごとに儚さと現を往来する一期一会。
マッコリのボトルも酒の瓶も、穏やかな肴に誘われ続々空いていく。宴たけなわなれど、ここは酒聖地・新橋のど真ん中。夢心地空心地の足取りは、階下へそして通りへ路地へと、ふらり流れる時間はまだまだたっぷりある。一献一品の小さな酒宴、深夜バスまで天下泰平なり。