
仙台駅そば、サンモールに面した壱弐参(いろは)横丁にある「きむら」にて、乾坤一×ロールキャベツ。被災地へ赴く前夜に一同集まり決起するなら、地元に詳しいメンバー御用達のアットホームな店での、このコンビが似合う。
アーケードの商店街から小路に折れたら、そこは仙台の昭和な空間。間口の狭い飲み屋の階段を上り、隠れ家スペースにての宴が始まる。みちのくの小京都の小さな蔵元の酒は、震災から立ち上がった力強さが滲む厚い味わい。濃い目の味が染みたロールキャベツの、店柄を醸す朗らかな旨さに、気持ちが心地よくほどけていく。念願叶って皆での訪問、杯を重ねるごとに絆深まる一期一会。
続々と仲間が集まり、都度都度乾杯また乾杯。瓶が空いたら冷蔵ケースから、好きな酒を出しては開ける、勝手知ったる気ままさも居心地の良さを助長する。いつもの四谷から飛び出して、いつもの面々との変わらぬ宴。現地入りを前に重ねる杯は、それぞれの思いを一つにまとめ上げる儀式のようでもある。一献一品の小さな酒宴、いよいよ天下泰平なり。