
岡山・西大寺の西大寺会陽に参戦してきた。通称「裸祭り」と呼ばれる祭りは日本三大奇祭に数えられ、狭い本堂で褌一丁の数千もの男衆がひしめきながら、福男の証である宝木を壮絶に奪い合う。文にすると簡単だが、参加し体感するのは生半可ではない覚悟がいる。
まずは19時ごろに、お世話になるグループの面々と合流して、寒さ凌ぎの酒盛りしながら注意事項を聞く。両手は常に上げてないと沈み潰されるとか、堂の端にいたらはじかれて階段を転落して踏みまくられるとか、柱際は人圧で潰されるとか、「あまり」死ぬことはないよとか、戦慄の言葉が続くことといったら。さらに宝木が投げ込まれたら何でもありのノールールマッチになるそうで、これは戦意が湧くような背筋が凍るような。
21時になったら人生初のまわしを締め込み、肩を組んで「ワッショイ、ワッショイ」の掛け声に高ぶりながら、いざ境内へ。水垢離で体を清め、お参りしたらメインステージである本堂内の大床を目指す。押し合い圧し合いで入るのも苦だが、流れに乗りかき分け引き戻しと、何とか入るのに成功。しかしこれが1時間に渡る苦行の幕開けで、波打つようにうねり、渦を巻く半端ない人圧に、翻弄されながら態勢を保つのが精いっぱいに。足の指を踏まれ、頭を押さえつけられ、肘を打たれと、もはや頭は真っ白のトランス状態に落ちていく。
サッと照明が消され、二対の宝木が投入されたが、亡者のごとくおびただしく伸びまくる腕で、何も見えない。落下点に怒号とともに殺到する一群に流され、宝木の争奪戦そばに押しやられたらまあ、危険極まりないこと。あいにく触れもできなかったが、頭上を飛んで行くのを視認できたのでよしとするか。
宝木奪取は叶わないながらも、本堂の大床からこぼれ落ちず圧殺されず、フルに1時間半ほど頑張り切ったのはなかなかの自信になった。社務所で売っていた宝木を記念に買い、裸にまわし姿で肩で風切って引き上げるのも実に爽快。うーむ「漢」してきたぞ、って感じの、心地よい脱力感だね。
※画像はイメージ。追って、撮影班からのリアル動画載せます