「肉ばかりでなく、サラダも食べなさい!」幼少の頃、親からこうした言葉を言われた経験がある方も多いのでは。生野菜が苦手な人の最たる理由は、青物ならではの味のくせだろう。えぐかったり渋かったり、青臭かったり。それが素材の持ち味、といわれればそれまでだが、味覚や嗜好が合わないのに常食するのは、少々ハードルが高く思える。

某・究極のグルメ漫画で「人間は本質的に、生野菜が好きではない」との一説を見かけた。その答えが「ならば生で食べてうまい野菜のみ食べればよい」そんな禅問答で思い浮かぶのは、産地の畑で朝とれの、さっきまで生きていた野菜だろうか。自然の、大地の生命力が保持されているうちに、そのままいただく。こんな究極の生野菜なら、前述のくせもない「生で食べてうまい野菜」のはずだ。

夏の終わりに群馬・嬬恋でいただいたキャベツは、まさにそんな朝とれ活き活きの品。しっとりながらシャクっと食感が残り、えぐみのない素直な甘さは、塩もドレッシングもいらない爽やかさ。早起きして浅間山麓に広がるキャベツ畑を散歩し、朝ごはんにこんな逸品を味わう。生野菜が苦手なのを直すには、産地の朝サラダがてきめんのようだ。