
横浜中華街の「チャイナテーマパーク化」が言われるようになって久しい。大通りにはお笑い事務所系のアトラクション施設が構え、通りを歩けばラメの調理服にメダルをかけた料理人の大看板がそびえる。本場の技を伝える名店の味を横浜で楽しめるのが魅力だったのが、今はエンタメ性とインパクト重視の店が目をひく印象に。もちろん昔ながらの高評価な店も挙げられるが、全体像がフードコートの延長な感じがしてしまい、地元ながら最近はあまり足が向いていない。
フードコート的印象のひとつの要因に、食べ放題やバイキングの店が増えたことがある。コースの値下げ競争がこれに行き着いた感もあり、時代的に求められるのも分からなくもない。一度、実力を伺いたかったところ、共同クーポン購入サイトで割安な商品を見つけ、「酔龍」という店に行くことに。100品以上の食べ放題は、前菜から一品料理、点心、麺飯、甘味何でもあり。2000円ちょっとの値段は、隣接する馴染みの「梅蘭」で海鮮焼きそばに餃子程度と同じぐらいである。
この日は家族で訪れたため、餃子や焼売、唐揚げにエビマヨ、麻婆豆腐に酢豚と、中華の定番がずらり並んだ。味の方は派手さはないが外さない安定感、といった印象。中華街の中堅クラスの知名度の店での、定番コースレベルのイメージだろうか。フカヒレスープにはシコシコ食感があるぐらいフカヒレが入っていたし、小籠包は皮が破れておらずスープでタプタプと、割とていねいに仕上がっていたのは、食べ放題店としてポイントが高いかも。
家族連れで予算の心配がないのは正直ありがたく、このぐらいのクオリティなら同様な客層には勧められるレベルだろう。難しく考えず、本格中華版フードコートの感覚で訪れる分には、新たな「中華街」の楽しみ方としてアリなのかも知れない。とはいえ、食べ放題で元がとれなくなってきた自分的には、やはり梅蘭の焼きそばと紹興酒で、オリジナルな「中華街」をじっくり楽しみたかったりするのである。