このところ、青森で人気沸騰のB級グルメ、かつご当地ラーメンが、この味噌カレー牛乳ラーメンだ。青森味噌カレー牛乳ラーメン普及会のHPによると、その名の通り味噌をベースにカレー粉、牛乳を入れたラーメンで、バターのトッピングもポイント。味噌のコクにカレーの刺激、牛乳のまろやかさ、さらにバターの風味が絶妙なバランスを醸し出す。30年以上の間、青森市民に愛され続けるソウルフードである。

 このラーメン、そもそもは札幌の味噌ラーメンにルーツを持ち、札幌ラーメンの元祖ともいわれる「満龍」から独立した職人と、そこの常連だった大西氏が札幌ラーメンを内地に伝えるべく青森に開業した「味の札幌」が起源。市内の古川に店を構え、札幌直伝の味噌ラーメンを出していたが、焼き干しや煮干しをスープのベースにしている青森において、なかなか浸透しなかった。そこで昭和40年代に、味噌や醤油や塩をベースにしたラーメンに、カレーか牛乳を加えた物を出すと意外な人気に。また中高生の間でこうした組み合わせを試すのが流行っており、その中で昭和53年ごろに定着したのが、味噌カレー牛乳ラーメンなのだ。

 駅前の津軽の郷土料理屋で地魚を肴に「田酒」や「じょっぱり」で酔った後、締めのラーメンを「味の札幌大西」へと頂きに行った。創業から「味の札幌」を支えてきた大西文雄が作る、味噌カレー牛乳ラーメンの元祖だ。飲食店が集まる古川町の一角にあり、外観は町にある一般的なラーメン屋の店構え。カウンター中心の店内はテーブル席も数卓あるなど、意外に広々している。21時をやや過ぎているため、店内にはお客の姿は少なく、飲んだ締めにやってきた感じのサラリーマン風酔客が数人、自分と同様にカウンターに腰かけている。

 ラーメンは味噌ベースのスープにモヤシとわかめがたっぷりのり、上にはバターがトッピング。見た感じは典型的な札幌ラーメンの造形で、麺も黄色の中太縮れ麺。特徴あるスープをまず一口すすってみると、牛乳のとろみが最もダイレクトに感じられてかなりまろやかな味わいである。一方で思ったほど味噌の香ばしさ、カレーのスパイシーさやそれらを合わせた濃厚さが感じられず、かなりさっぱりした印象。しゃくしゃくと瑞々しいモヤシをいただき、スープに絡みのいい麺をすすり、気分と食感はまさに札幌ラーメンそのものだ。

 

 名前からしてドロドロっと濃厚なスープをイメージした分、少々不意打ち。ライバル?とされていた焼き干しや煮干しラーメンの、魚介のとんがった風味のラーメンも味わってみたくなった。(2011年6月22日食記)