ソバージュ栽培のことを知ったのは2年前でした。
早速、種苗会社のパイオニアエコサイエンス株式会社に実施農家を紹介してもらいました。
福島県伊達市にある”トマト夢ファームはやし”という農家でしたが、標高が高い所為か我が栗原市と気候的には似ていて参考農家としては最適でした。
品種はロッソナポリタン、これまでに私もハウスでは何回か作ったことのあるミニトマトです。
”はやし”さんのロッソナポリタンはというと...これが美味しい。
私がハウスで作ったものより美味しいのです。
これはオレも作らなくちゃ!!
ということで、昨年は畑10aを借りて作ることにしました。
普通は5aくらいからやるもんだそうですが、”はやし”さんが15aでやっていたので、「やっちゃえ!!」てなもんでやっちゃいました。
播種は2月28日。
鉢上げ3月27~28日。
友達の友達が所有しているトラクターを無断で借りて、耕起と畝立て。
しばらく何も作ってない畑なので堆肥は多めに、化学肥料は普通に。
水はけと土壌菌のことを考えて燻炭を、土壌菌の餌として米ぬかも投入。
長期栽培なので、様子を見ながら追肥で調整すればいい。
マルチをし、支柱を立て、苗を植え終えたのが5月末でした。
ここで経営上の問題発生!!
作物を作る際、販路をあらかじめ考えておかねばなりません。
これがけっこう大変かつ大切な作業でして、
できた作物でその後生活していけるかどうかが決まります。
今回は農協任せでやろうと決めていました。
農協出荷は安いけど確実。
人は雇わず、安いなりに量を多く出荷すればなんとかなる。
この考えが甘かった。
農協はサイズをLL,L,M,Sに仕分けしないと受け付けないと言ってきたのです。
あの小さなミニトマトの仕分けに時間をかけていたら、1日に出荷できる量が減ってしまう。
かといって人を雇ったら儲からない。
秋田県や山形県等ではロッソナポリタンの場合、
農協が市場と掛け合ってサイズの仕分けを省くことにしたというのに。
宮城県の農協は規格が命だと意地をはる。
ちょっと違う気がするけど...
6月も末、トマトは赤くなり始めました。
味はまあまあ。
トマトの1段目というのは期待していた所為もあるのか、いつもまあまあです。
とりあえず近くの直売所に出荷することに。
ミニトマトはここの直売所ではあまり人気がありません。
やっぱり売れ残りが出ます。
残ったのは隣近所や直売所の店員へ。
それでもどんどん実は熟すので、試食品として友人や知人に配送。
7月も半ばになると他の農家からもミニトマトが出荷されてくる。
ますます苦しくなる。
それじゃということで直売所で試食販売することに。
直売所の店員には嫌がられながらも、オジイチャンは頑張った。
試食してくれた人の半数以上は買ってくれた。
美味しいですと言ってくれる。
なんか楽しくなってきた。
ヤミツキになりそう。
それにしても試食用に遣ったトマトのほうが売り上げたトマトより顕かに多い。
試食していく人は必ずといっていいほど2~3個は食べていく。
これも仕方ないか。
この地域は農家が多いから自分でもミニトマトを作っているという人がけっこういる。
自分のと比較したくて試食する人もいる。
結果はほぼロッソナポリタンが勝利。
7月末に秋田県横手市の農業試験場で行われたソバージュ栽培の発表会に行ってみた。
あれ?試験場のより自分のほうが美味いじゃん!!
意外でした。
試験場のロッソナポリタンですから期待してたのに。
味の違いはたぶん収穫のタイミングによるものだと思うけど。
8月に入り、直売所の店員が池袋にあるアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」に私のロッソナポリタンを出荷してくれた。
その反応は...
「どんどん送ってほしい」
でした。
友達からも毎週4kgずつ送れというのが2件、
直売所にもリピーターが何人かでき始めました。
教え子から試食用トマトの追加注文が増えてきました。
ようやく私にもツキが回ってきたかとガッツポーズをしようかなってとき
そんなとき、また致命的問題、というか天災?発生!!
お盆の終わり頃から一ヶ月近く長雨が続いたのです。
トマトは雨に弱いのです。
ミニトマトは特に弱い。
雨に当たると水分を吸ってたいては裂果(実が割れること)します。
たとえハウスの中でも直接雨に当たらなくても、外で大雨や長雨が降れば空気中の湿気を吸って裂果するものもあります。
裂果すれば商品価値はありません。
裂果してもいいから送ってくれと言う人もいましたが、汁が出て、衛生上好ましくないです。
本当のトラブルはその後にやってきました。
泣きっ面に蜂ということわざがありますが、まさにその通りのことが起きました。
裂果したトマトをキイロスズメバチが食べ始めたのです。
それも何千匹もの蜂がうじゃうじゃといて、食べている音が聞こえるのですからたまりません。
トマト1本に5匹はいるとして、500本で2500匹。
実際は巣を往復している蜂の数も考えるとその倍近い数に上るかもしれません。
雨の晴れ間に「こんなんで負けてたまるか」と収穫を敢行。
でも、手が蜂に触れてしまったり、顔や頭をかすめていく音を聞くとさすがにびびります。
裂果してないかとトマトを裏返すときに蜂を掴んでしまったこともあり、それから収穫はしばらくする気になりませんでした。
折角完全無農薬でやってきたのですから、ここで農薬は使いたくないし、農業改良センターやパイオニアエコサイエンス株式会社に問い合わせても「そんなの聞いたことありません」とのこと。
ネットには数件トマトを食べる蜂(私のとは種類が違うみたい)の事例が出てましたので、全くないことではないようですが...これだけ集まった例は無いかもしれません。
そもそもなんでスズメバチがトマトを食べるのか?
ロッソナポリタンの美味しさがスズメバチにも分かるのか?
他に食べ物は無いのか?
来年も来るのか?
9月11日の台風による大雨の後、急激に数を減らし、9月半ばには全く姿は見えなくなりました。
天気は回復したのに、トマトは長雨によって溜まった水で根を傷めてしまったらしく、次第に元気が無くなり、葉カビ病が蔓延して味も少しずつ落ちていきました。
それでも数回収穫ができました。
友人に送ったら「これ食べたら、スーパーで売っているトマトなんか食べられないよ」と絶賛してくれました。
ほーんとかなぁ、話半分に聞いておくとしても、ロッソナポリタンの美味しさには奥の深さを感じます。
10月中旬、近所の人たちに農園を開放し、最後の収穫祭を開いて昨年の収穫は不完全燃焼のまま終わりとしました。
2016年の栽培記録に続く
早速、種苗会社のパイオニアエコサイエンス株式会社に実施農家を紹介してもらいました。
福島県伊達市にある”トマト夢ファームはやし”という農家でしたが、標高が高い所為か我が栗原市と気候的には似ていて参考農家としては最適でした。
品種はロッソナポリタン、これまでに私もハウスでは何回か作ったことのあるミニトマトです。
”はやし”さんのロッソナポリタンはというと...これが美味しい。
私がハウスで作ったものより美味しいのです。
これはオレも作らなくちゃ!!
ということで、昨年は畑10aを借りて作ることにしました。
普通は5aくらいからやるもんだそうですが、”はやし”さんが15aでやっていたので、「やっちゃえ!!」てなもんでやっちゃいました。
播種は2月28日。
鉢上げ3月27~28日。
友達の友達が所有しているトラクターを無断で借りて、耕起と畝立て。
しばらく何も作ってない畑なので堆肥は多めに、化学肥料は普通に。
水はけと土壌菌のことを考えて燻炭を、土壌菌の餌として米ぬかも投入。
長期栽培なので、様子を見ながら追肥で調整すればいい。
マルチをし、支柱を立て、苗を植え終えたのが5月末でした。
ここで経営上の問題発生!!
作物を作る際、販路をあらかじめ考えておかねばなりません。
これがけっこう大変かつ大切な作業でして、
できた作物でその後生活していけるかどうかが決まります。
今回は農協任せでやろうと決めていました。
農協出荷は安いけど確実。
人は雇わず、安いなりに量を多く出荷すればなんとかなる。
この考えが甘かった。
農協はサイズをLL,L,M,Sに仕分けしないと受け付けないと言ってきたのです。
あの小さなミニトマトの仕分けに時間をかけていたら、1日に出荷できる量が減ってしまう。
かといって人を雇ったら儲からない。
秋田県や山形県等ではロッソナポリタンの場合、
農協が市場と掛け合ってサイズの仕分けを省くことにしたというのに。
宮城県の農協は規格が命だと意地をはる。
ちょっと違う気がするけど...
6月も末、トマトは赤くなり始めました。
味はまあまあ。
トマトの1段目というのは期待していた所為もあるのか、いつもまあまあです。
とりあえず近くの直売所に出荷することに。
ミニトマトはここの直売所ではあまり人気がありません。
やっぱり売れ残りが出ます。
残ったのは隣近所や直売所の店員へ。
それでもどんどん実は熟すので、試食品として友人や知人に配送。
7月も半ばになると他の農家からもミニトマトが出荷されてくる。
ますます苦しくなる。
それじゃということで直売所で試食販売することに。
直売所の店員には嫌がられながらも、オジイチャンは頑張った。
試食してくれた人の半数以上は買ってくれた。
美味しいですと言ってくれる。
なんか楽しくなってきた。
ヤミツキになりそう。
それにしても試食用に遣ったトマトのほうが売り上げたトマトより顕かに多い。
試食していく人は必ずといっていいほど2~3個は食べていく。
これも仕方ないか。
この地域は農家が多いから自分でもミニトマトを作っているという人がけっこういる。
自分のと比較したくて試食する人もいる。
結果はほぼロッソナポリタンが勝利。
7月末に秋田県横手市の農業試験場で行われたソバージュ栽培の発表会に行ってみた。
あれ?試験場のより自分のほうが美味いじゃん!!
意外でした。
試験場のロッソナポリタンですから期待してたのに。
味の違いはたぶん収穫のタイミングによるものだと思うけど。
8月に入り、直売所の店員が池袋にあるアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」に私のロッソナポリタンを出荷してくれた。
その反応は...
「どんどん送ってほしい」
でした。
友達からも毎週4kgずつ送れというのが2件、
直売所にもリピーターが何人かでき始めました。
教え子から試食用トマトの追加注文が増えてきました。
ようやく私にもツキが回ってきたかとガッツポーズをしようかなってとき
そんなとき、また致命的問題、というか天災?発生!!
お盆の終わり頃から一ヶ月近く長雨が続いたのです。
トマトは雨に弱いのです。
ミニトマトは特に弱い。
雨に当たると水分を吸ってたいては裂果(実が割れること)します。
たとえハウスの中でも直接雨に当たらなくても、外で大雨や長雨が降れば空気中の湿気を吸って裂果するものもあります。
裂果すれば商品価値はありません。
裂果してもいいから送ってくれと言う人もいましたが、汁が出て、衛生上好ましくないです。
本当のトラブルはその後にやってきました。
泣きっ面に蜂ということわざがありますが、まさにその通りのことが起きました。
裂果したトマトをキイロスズメバチが食べ始めたのです。
それも何千匹もの蜂がうじゃうじゃといて、食べている音が聞こえるのですからたまりません。
トマト1本に5匹はいるとして、500本で2500匹。
実際は巣を往復している蜂の数も考えるとその倍近い数に上るかもしれません。
雨の晴れ間に「こんなんで負けてたまるか」と収穫を敢行。
でも、手が蜂に触れてしまったり、顔や頭をかすめていく音を聞くとさすがにびびります。
裂果してないかとトマトを裏返すときに蜂を掴んでしまったこともあり、それから収穫はしばらくする気になりませんでした。
折角完全無農薬でやってきたのですから、ここで農薬は使いたくないし、農業改良センターやパイオニアエコサイエンス株式会社に問い合わせても「そんなの聞いたことありません」とのこと。
ネットには数件トマトを食べる蜂(私のとは種類が違うみたい)の事例が出てましたので、全くないことではないようですが...これだけ集まった例は無いかもしれません。
そもそもなんでスズメバチがトマトを食べるのか?
ロッソナポリタンの美味しさがスズメバチにも分かるのか?
他に食べ物は無いのか?
来年も来るのか?
9月11日の台風による大雨の後、急激に数を減らし、9月半ばには全く姿は見えなくなりました。
天気は回復したのに、トマトは長雨によって溜まった水で根を傷めてしまったらしく、次第に元気が無くなり、葉カビ病が蔓延して味も少しずつ落ちていきました。
それでも数回収穫ができました。
友人に送ったら「これ食べたら、スーパーで売っているトマトなんか食べられないよ」と絶賛してくれました。
ほーんとかなぁ、話半分に聞いておくとしても、ロッソナポリタンの美味しさには奥の深さを感じます。
10月中旬、近所の人たちに農園を開放し、最後の収穫祭を開いて昨年の収穫は不完全燃焼のまま終わりとしました。
2016年の栽培記録に続く