「偏食」と「発達障がい」はとても密接な関係にあります。
発達障がいでない子どもでも、偏食で発達障がいのような行動をとることがあるし、発達障がい児の場合は、口腔機能的な問題、感覚的な問題、不安性、こだわり行動などで偏食が多くあります。偏食があると多くの栄養素が不足してしまうのですが、その中でも特に注意して欲しいのが鉄分です。
鉄分不足すると、集中力、感情の抑制力、社会性のいずれもが低下します。その理由がドーパミンという神経伝達物質の減少です。
ドーパミンは、快感や幸福感を得る、意欲を作る、運動調節をするために働く神経伝達物質です。発達障がいの中でもADHD(注意欠如・多動性障害)はドーパミン分泌量の調節がうまくいかないことが原因の一つなので、鉄分不足は行動や感情に大きく影響します。
鉄分は脳内でドーパミンを作るために不可欠な栄養素なので、不足するとドーパミンも減少します。その一方で、ADHD児に鉄分補給をすることで集中力も運動調節力も向上し、感情が安定したという研究結果があります。
鉄分不足予防には、子どもでも毎日10mg程度の鉄分摂取が必要です。ところが、以前のブログでも書きましたが、鉄分はとても吸収しにくい栄養素です。動物性食品の含まれる鉄分(ヘム鉄)の吸収率は10%、植物性食品に含まれる鉄分(非ヘム鉄)だと吸収率はわずか5%です。
例えば、鉄分が豊富な焼き鳥のレバー2串(100g)には9mgの鉄分が含まれていますが吸収されるのはその10%ですから0.9mgです。植物の納豆100gだと、3.3mgの鉄分が含まれていますが吸収されるのはその5%で、0.17mgです。
鉄分の多い食品は、赤い肉、例えばレバー、砂肝、心臓、牛肉と貝類です。植物性食品は動物性ほどではないですが、大豆類、例えば枝豆、納豆、厚揚げなどが挙げられます(図参照)。
食品だけで補えなくても、さらなる一工夫で鉄分を増やすことができます。それが酸味と、鉄鍋やキャストアイロンスキレットでの調理です。
例えば、肉野菜炒めもフライパンの代わりにキャストアイロンスキレットを使ってポン酢で一煮立ちさせる、トマトソースをキャストアイロンスキレットで煮たててからパスタに絡める、カレーも鉄鍋で作る、と鉄分補給食の出来上がりです。
酸っぱい味が苦手なら、あらかじめ鉄鍋でポン酢を煮立てたものを常備しておきましょう。一手間ですがやってみる価値ありです。