フルーツブランデー | 西新宿 バー ベンフィディック

西新宿 バー ベンフィディック

西新宿の高層ビル群を目の前にひっそりと9階に佇むBarでございます。


テーマ:
BenFiddich二号店を造作中である。

前回のブログでもまとめたが、同ビルの二階に新しい店舗を作っている 
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2017年3月10日 現在
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ここまで進む









まだ枠組みの段階だが
鹿山が信頼をしている木工家 佐藤忠也氏の作品だ




楽しみである



9FにあるBar BenFiddich
薬草酒を主体にしたabsintheや,
古い薬草酒(Gin,Amaro)等を多く取り揃え
自身の畑や山から採取したボタニカル、及びスパイスを使用したカクテルをメインにしたBarだ。



  




いわゆる植物が主体である






同ビルの2FのBarはコンセプトを変える








そう、店名は







BAR   B&F と命名








意味はBrandy&Fruitだ





Ben&Fiddichとも掛けている



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BRANDY MADE FROM FRUITS








そう、二号店は







フルーツブランデー及びフルーツカクテル
主体のBARとなる








9FのBenFiddich  が植物主体とするならば








2FのB&Fは果実主体となる








では
フルーツブランデーとは何だ?








広義である







わかりやすく言うと
万物の果実は全てアルコールになるということ








一般的に思いつくのはぶどう由来のコニャックだろう




次にリンゴ由来のカルヴァドスである









しかしながら扱うのは上記のラインナップではない

杏子
プラム
プルーン
洋梨
チェリー
ラズベリー
クワ 
ブルーベリー 
ミラベル 
カリン
イチジク
etc......





そう、


万物の果実はアルコールになるのだ






それを糖化、発酵、蒸留して無色透明になったのが
広義の意味のフルーツブランデーである
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昨年訪れたフランスはフランシュ・コンテ地域にある
Fougerolles(フジョロル)村の Paul Devoille蒸留所の熟成庫

基本、樽ではなくデミジョンボトルにいれて保存する















フルーツブランデーはヨーロッパ全土、歴史伝統的に家庭蒸留として造られたものが文化として広まった

今でもヨーロッパの片田舎では家庭蒸留という伝統がある。

この家庭蒸留こそフルーツブランデーだ

法律上厳しい国もあるが、昔からの伝統であるが為、
黙認されている。
日本でいうとこの各家庭で造られていた梅酒みたいなものだ。
各々家庭の味があったのだ
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ではなぜ、フルーツブランデーが家庭蒸留としての基礎となったのか?
答えは簡単だ。日本の片田舎でもそうがあるように
ヨーロッパの片田舎の農家の家には果樹がある。










果実が実る頃、
近所へ配っても消費しきれない余剰果実ができる










持ってても腐るだけなので、それをアルコールにしたのだ








特に19世紀にはウィスキーでも密造が横行したように
家庭蒸留というのが頻繁に行われた











もちろん家庭蒸留用の小型蒸留機を持っていない家庭もある




 





そんな方々の為にも
19世紀には村のコミュニティに共同蒸留所というのが多く存在した

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昨年、アブサン蒸留所巡りをした際に訪れた
フランシュ・コンテ地域にある小さな村に存在する
共同蒸留施設







屋内は19世紀から存在する
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ここでも主に造られたのもフルーツブランデーである





プラム、アプリコット、洋梨、リンゴ、etc....
近所の人が家庭で採れたフルーツを発酵させて
持ち寄りここで蒸留する









この施設は2017年、現在でも使われている









役場に行って申請書を書けば鍵をもらって
蒸留できる

作った量を申告すればフランスでは100ℓまでOKだ

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こういった共同蒸留所というのはフランスでは
第一次世界大戦の時に多くは取り壊された
時代的な嗜好品排他の流れと物資不足により蒸留設備を資源としてリサイクルする為回収された
これは太平洋戦争末期の日本同様、鉄不足で寺の鐘や鍋が回収されたのと酷似してる








ただ、いくつかのコミュニティは当時保護して
現在でもこういった共同蒸留施設は少なからずだが
残っている








なぜ保護をしたのか?









写真左下の
水場導線が物語る
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蒸留設備がある場所は蒸留したアルコールを冷却する為の水場導線が必ずある






そう、個人宅の水道事情のインフラが整備されていない時代
ここは炊事、洗濯場としても利用





いわゆる




江戸時代の長屋の共同井戸と同じであり




ここヨーロッパでも井戸端会議としての、
コミュニティとしての大切な場所であったのだ
ゆえに保護された
そこに季節で収穫された果実の余剰果実を
アルコールにして、蒸留する為に共同蒸留施設に
人が集まる
素敵な伝統文化だ。





ゆえに鹿山が惚れ込んだのは
いまでも各家庭で家庭蒸留して作られる
フルーツブランデーは
歴史伝統的に現存して
受け継がれる本当の意味でのクラフトだ
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MASTERキートン 発掘:18『夢を掘る人』
浦沢直樹 作

MASTERキートン最終巻でのチャウシェスク政権崩壊後の元ルーマニア秘密警察との攻防の下りで出てくる一幕
ツイカといえばルーマニア伝統のプラムのフルーツブランデー(蒸留酒)だ
この帽子を被ったおっさんの


『うまいツイカ作ったんだ』


この言葉こそ
家庭蒸留の仕事だろう







クラフトと言えば



昨今、大きくクラフトジンブームである

ここまで世界でクラフトジンブームが起きた要因として考えられるのはいくつかある
長くなるので全ては列挙しないが
一つあげるとすれば





地域性が出しやすいのだ




その土地のボタニカルという
その土地でしかない唯一無二のボタニカルという
世界観がジンの個性を彩った

この地域性は大きく市場価値を広げている
地方の地産地消の世界観がマッチングするし
さながら
地産他消という形で外に大きく広がったのが
クラフトジンだ





フルーツブランデーも
クラフトジンと同等のベクトルだ






むしろそれ以上のベクトルがあると考える事ができる







多くのクラフトジンは原料用アルコールというのは
大工場で買い入れ、 
もしくは自社で原料用アルコールを作っているところはそれなりの規模の蒸留所だ
ボタニカルにはこだわるが意外に原料用アルコールに関しては大きく謳うところは少ない
ブランドによっては大工場への生産委託だ





ゆえに話しは戻るが
フルーツブランデーという世界観は
大きいブランドはそれなりの規模の蒸留施設で作られる




ただ、




いまでも歴史伝統的に本当の意味でのクラフトとして作っているのはフルーツブランデーだ






家庭で採れた余剰果実をアルコールにして嗜好品として嗜む伝統文化





その土地の
その土地による気候風土により育まれた
その土地でしかない唯一無二の収穫された果実をアルコールにして蒸留してできあがる



 


フルーツブランデーの地域性が如実なクラフト感がボタニカルを広範囲で取り繕うクラフトジンの世界観をより凌駕すると鹿山は考える







 
 
その世界を新しい店舗である






Bar B&Fでは伝えていきたい






よろしくお願い致します






それではフルーツブランデーは広義なのでもう少し掘り下げたい






まず
国によっても呼び名が違う

フランスなら→Eau de vie (これはブドウも含まれる)


英語圏であれば→ fruit brandy (これはブドウを除外する)もとい、同じ英語圏でもイギリスとアメリカでは解釈は異なる









次に
バルカン半島諸国
(セルビア、クロアチア、ボスニア、アルバニア、マケドニア、ブルガリア、コソボ,ギリシャ)

ここでのフルーツブランデーはラキヤである。
バルカン半島諸国は言語が異なるので、
 rakiya,rakija, Rakia, rachiuと呼び方が微妙に異なるのでラキヤに統一する


ラキヤの名前はオスマン帝国時代のトルコのアニス酒であるラクの派生で、ラキヤとなる

バルカン半島においてのフルーツブランデーは
国民的飲料だ。
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ここでも
杏子
プラム
プルーン
洋梨
チェリー
クワ 
イチジク
マルメロ
リンゴ
ブドウ
などの様々果実から糖化発酵、蒸留して
アルコールが作られる









ラキヤの一つの特徴として、
できあがった果実の蒸留酒から
ハーブで風味づけ、蜂蜜で甘みをつけたもの、
あるいはそこに更に果実を浸漬するラキアもあるのだ








バルカン半島以外の東ヨーロッパである一部の国では
歴史伝統酒として法定義を設けているフルーツブランデーもある。呼称制度を設けて大事に文化を守っている地域もあるのだ。





その東ヨーロッパのフルーツブランデーを紹介しよう



ハンガリーだと  → Palinka パーリンカ

ルーマニア→ Tuika ツイカ







まずルーマニアのツイカについて説明しよう
呼称基準、法律もあるのだ

①ツイカはプラムの発酵、蒸溜によって造られたルーマニアの伝統的な蒸留酒であり、
認められているのはプラムのみで、他の果実から造られた飲料はツイカとは名乗れない
発行は木の樽またはステンレスタンクで行わなければいけない(他の資材はダメなのだ)

②蒸溜は銅のボイラー又は国が認めた蒸溜設備で行わなければいけない

③ツイカは1回蒸溜でも、2回蒸溜でも良い。
熟成も可能だが、木樽熟成、瓶内熟成又はステンレスタンク熟成しか認めらない(他の素材の樽や容器が禁じられている)

④アルコール度数は24度以上でなければならない。熟成期間によって下記の三つのカテゴリーがある

 ・熟成していない:ツイカ
 ・3年以上熟成している:オールド・ツイカ
 ・7年以上熟成している:ツイカ・エキストラ

⑤ツイカの材料はプラムだけで、他の材料の利用は禁止(甘味料、香料、着色料などの使用が禁止)
ツイカはルーマニア全国で造られている





続いて、ハンガリーの呼称であるパーリンカについて説明したい。





パリンカはプラムだけでなく、様々なフルーツの発行と蒸溜によって造られたハンガリーの伝統的な蒸留酒である。
2004年にハンガリーの伝統蒸留酒として法定基準を設けた
①認められているフルーツは:プラム、ミラベル、りんご、ラズベリー、ブラックベリー、アプリコット、桃、洋梨、フサスグリ、ブラックカラント、スコア、マルメロ
②発酵は木の樽またはステンレスタンクで行わなければいけない

③蒸留は銅のボイラー又は国が認めた蒸溜設備で行わなければ駄目だ

④熟成も可能だが、木樽熟成、瓶内熟成又はステンレスタンク熟成しか認められていない

 




パリンカという言葉はもともとお隣のスロヴァキア由来
スロヴァキアからハンガリーに渡り、ハンガリーからルーマニア一部に渡ったと言われる
又、チェコ、ポーランドの一部地域もパーリンカと呼称する
これは陸続きの国にありがちな歴史背景がある
ここに関してはもっと深く掘り下げたい
 





ルーマニアのツイカの話しに戻るが
ルーマニアのトランシルヴァニア地方はその昔ハンガリーに支配されていたため、
「パーリンカ」という言葉が普及したのはハンガリーの影響だと考えられる
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濃いオレンジが狭義のトランシルヴァニア
薄い場所も含めた広義のトランシルヴァニア

ルーマニアでもツイカではなくパーリンカと呼ぶ地域は存在する

又、
ルーマニアのマラムレシュ地方で作られている「ツイカ」を「ホリンカ」と呼ぶ。
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パーリンカに名前は近いがアイデンティティは違う
法律上で「ホリンカ」と「ツイカ」の定義は全く一緒。マラムレシュのツイカであることをアピールしたいメーカーは「ホリンカ」を使う。ホリンカという言葉に歴史的な背景があって、マラムレシュ地方の人々は昔から「ツイカ」ではなく「ホリンカ」という言葉を使っていたので、特別に法律上で認められている。したがって、「ホリンカ」は地理的表示ツイカの意味で、プラム100%のマラムレシュ地方のツイカであることを保証する。
 





そう、非常に細かいのだ







長くなったが、

万物の果実はアルコールになるということ

この世界観を伝えていきたい

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今宵 西新宿 Bar BenFiddichをよろしくお願い致します





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