4/21NHK俳句。題「菜の花」、選者は木暮陶句郎、ゲストは益子直美さん、司会は柴田英嗣さん。

木暮さんは陶芸家でもあり、木暮さんのNHK俳句における年間テーマは「器に季語を盛る」。

◎今回の兼題は「菜の花」。「菜の花」の名句↓

★菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村

    ↓ そして料理「菜の花畑」。料理人は野崎海芋さん(俳人・フランス料理人)

自筆で料理の説明が寄せられました↓
《若い蕾を食べる野菜ですので、花の咲く頃には旬を過ぎています。代わりに春の季語で、レタスやその仲間の「萵苣(ちしゃ)」を使っています。萵苣と玉子で「菜の花畑」を表現しました。沈みゆく太陽もあしらっています。蕪村の句は、とてもスケールの大きな句ですね中でも存在感があるのは月のみずみずしさだと思います。月を表現しているのは「湘南ゴールド」。春が旬のみかんで、焼いてオイル漬にしました。木暮さんの器は霞のような地色に、暮れたばかりの夜空のような紺色が鮮やかですね。春の夕暮れを思わせるこの器に菜の花畑と月のサラダを盛ってみました。》(野崎さん)
◎特選句

★菜の花やダンプは土をこぼしつつ   福岡県糸島市 平山仁彦

★菜の花の角を曲がつて同棲す   新潟県妙高市 旅音にこ

★一輪の菜の花に笑むオートマタ   神奈川県横浜市 生野浩久

    ※「オートマタ」=12世紀から19世紀にかけてヨーロッパ等で作られた機械人形ないしは自動人形。

★傷心の日や菜の花の真つ盛り   福島県郡山市 君島 忍

★退職の空の青さや花菜風   山形県酒田市 佐藤 実

★菜の花の蕾の中の水の玉   秋田県鹿角市 三日月なな子

★(三席)歯ごたえはジャズ菜の花の辛子和   愛知県名古屋市 二木雅弘

★(二席)菜の花やあだ名の決まる帰り道   神奈川県横浜市 水蜜桃

★(一席)口笛のかすれつぱなし花菜風   埼玉県東松山市 小熊なが子

特選句及び佳作は、「NHK俳句テキスト」6月号に掲載されます。次回、木暮さんへの投稿↓

◎「クロイワ」。黒岩徳将さんが、期待の若手俳人を紹介する。

俳句結社「秋草」会員、文芸誌 『Rich』同人 第14回石田波郷新人賞準賞、第1回カクヨム短歌俳句コンテスト「二十句連作部門」大賞、第 2回秋草よしきり俳句賞。

★花束に底なかりけり鳥の恋 藤井万里

《第1回カクヨム短歌俳句コンテスト「二十句連作部門」大賞「箱」の中の一句。組み合わせにより、新しい世界を生み出す。》(黒岩徳将さん)


◎益子さんの「菜の花」の俳句。


★菜の花と代表を誓う背比べ   益子直美

        ↓(木暮さんの添削)

▼菜の花と夢を語りて背比べ

◎再放送は、4月24日(水)午後2:20〜2:45。


  (藤井万里「箱」20句)

★魚島や宿のテレビを揺すりたる

★防風に交番ほど近くありぬ

★雨雲がゆれて雨降る磯遊び

★寄居虫の最後に弱き脚出づる

★ふつくらと波に魚ゐる葱坊主

花束に底なかりけり鳥の恋

★釋奠や揚羽のやうな蛾のやうな

★宿の子の石鹼吹いてはよく漱ぎ

★欲しくなるまで藤棚に憩ひけり

★金魚など見てしまひたる真昼かな

★いつ仕舞ふとなく籐椅子海に向く

★ソフトクリーム噛むほどのものならず

★この宿や穴子綺麗に煮てくれし

★帚木をかすめ望遠レンズ過ぐ

★蚰蜒を正面にしてひとりの子

★屑籠の上に水着の干してあり

★また別の家族が水着干しに来る

★網戸なきこの一部屋を惜しみけり

★夜釣して箱のマッチの大き音

★握る手に灯虫の気配してをりぬ