5/9NHK短歌。題「ライバル・宿敵」。選者は佐佐木頼綱さん、ゲストはロンドン五輪平泳ぎ銅メダリストの立石諒さん。司会は星野真里さん。レギュラー出演カン・ハンナさん。

元競泳選手。1989年6月12日神奈川県生まれ。31歳。専門は平泳ぎで2012年ロンドンオリンピック200m平泳ぎ銅メダリスト。2013年3月慶應大学卒業。「北島康介さんに憧れて水泳選手でオリンピックに出たいと思った」。


◎冒頭の佐佐木頼綱さんの短歌

▪️凹まされねじ伏せられて今日もまた挑みたくなる父の歌集に 佐佐木頼綱


「凹まされねじ伏せられて今日もまた挑みたくなる」までは何かスポーツのことかなと思いながら読みますと、最後に「父の歌集」 が出てきましたね。この転換が見事でした。頼綱さんもやりますね😄。


◎入選9首

▪️かけっこで一番だった親友が一足先に覗く天国 東京都大田区 今井 遼


この歌を立石諒さんが特選一席に選びました。そして佐佐木頼綱さんの特選三席でした。

今日は「りょう」さんという名前の人がいっぱいです😄。

▪️直球を待つライバルに直球を投ず十八メートルの彼我(ひが) 東京都文京区 遠藤玲奈

▪️上の子の服を褒めれば着替えだす一番下の姪のプライド 東京都世田谷区 熊倉アンナ

▪️鏡面に二人並んで貴女より少し濃く塗る口紅のあか 東京都新宿区 小山桜子


「貴女より」は強烈ですね。ライバル心が強く表現されているようです。

この歌は佐佐木頼綱さんの特選ニ席でした。

▪️ライバルも味方もいないあの人のカーテンのない西向きの部屋 東京都西東京市 和田直樹


あは、学生時代の私みたいだ、笑。

星野真里さんの特選一席

▪️憧れの存在だったけど今日はライバルとしてスクラムを組む 大阪府岸和田市 船田愛子


あら、作者は女の方ですね。この歌が佐佐木頼綱さんの特選一席でした。

▪️ひとすじに的を見さだめ引きしぼり放つ間際の宿敵は我 兵庫県上郡市 榎本晃治

▪️白線を蹴りて大きく跳ね上がる地の重力をライバルにして 鳥取県琴浦町 中本久美子


陸上競技の選手ですかね。カン・ハンナさんの特選一席。

▪️一瞬の表情にある生き様に負けたと思う君になりたい アメリカ オハイオ州 アダムス理恵


これ難しいですね。「一瞬の表情にある生き様に負けたと思う」までだと作者がそう思ったのかと読めますが、その後に続いたのは「負けたと思う君になりたい」。それとも「思う」で切れて「君になりたい」なんでしょうか。これも今思い出せません🙇。「一瞬の表情にある生き様に負けたと思う君になりたい」だったのか、「一瞬の表情にある生き様に負けたと思う 君になりたい」だったのか。


入選歌と佳作は「NHK短歌」7月号に掲載されます。


◎次回の佐佐木頼綱さんへの投稿

◎「選者の話 スポーツと日常」

▪️コンマ一秒差で勝てど涙して抱き合うお前をライバルと呼ぶ 河合純一


なるほどですねえ、これが本当のライバルですね。

河合純一さんは、全盲の元パラリンピック競泳選手。

1975年(昭和50年)静岡県生まれ。パラリンピックでは数多くのメダルを獲得されています。現在、日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会委員長、日本パラリンピアンズ協会会長、スポーツ庁オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議委員などを務められています。


◎「よりつなの短歌かかってきなさい」


立石諒さんの「北島康介さんに憧れて水泳選手でオリンピックに出たいと思った」という話から星野さんとカン・ハンナさんとで合作、それに佐佐木頼綱さんが作歌。そして立石諒さんがどちらかに軍配を上げる、という企画。

▪️康介さんと幾度も競ってここに来たロンドン五輪特別区、晴れ 佐佐木頼綱


ロンドンオリンピックでは競技会場の一つにグリニッジ王室特別区が当てられたそうです。その「特別区」かも。

▪️ライバルが隣に並び我を引く喜びの中光を目指す 星野真里+カン・ハンナ


はは、どちらもいい歌ですね。これはどちらを選ぶというのも大変でしょう。


立石諒さんは「現役だったら星野さんたちの歌を選んだでしょうけど、今は思い出もあり」と前置きして「佐佐木さんの歌を選ばさせていただきます」ということでした。