自治体の収入は景気が悪かろうと良かろうと短期的にはさほど増減しないことを前回説明しました。これは、逆に言えば(むしろこのことの方が自治体の収入の本来のとらえ方ですが)収入額が将来にわたってある程度その規模が見通せる、保障されているとも言えます(とはいえ、長期的には生産年齢人口の減少で確実に減収になります)。
   
   
にもかかわらず、廿日市市の財政が苦しいのは何故でしょうか。
   
   
それは、家計に例えるならば、食費とローンと教育費、保険と税金、そして光熱水費で給料の残りがほとんどない、という状況に似ています。「もっと稼いで」といわれても、既に共稼ぎでこれ以上の稼ぎは難しいし、じゃあどうすればいいの?ってところです。
   
   
家計を楽にするためには、支出を見直すしかないようです。一つ一つ見ていきましょう。
   
   

まず食費です。これを減らすには家族の人数を減らすか、一人当たりの食べる量を少なくするか安いものを買って食べるかですね。食べ盛りの子どもがいるとなると、どれも難しそうです。
   
   
市でいうと、これは人件費です。家族の人数減らすといっても簡単ではないように、市職員を減らすのも簡単ではありません。公務員は地方公務員法と定数条例に守られています。もし、来年度から100人減らしますということになれば、定数条例を100人減じて(もちろん議会の議決が必要です)、100人の首を切ることになります。これを「分限免職」といいます。
   
   

しかし、こんなことは長い地方自治の歴史の中でどの自治体でも行われたことはありません。職員の削減は、退職者数以下の採用をする(100人退職して80人採用で20人削減)ことで徐々に行われていくのです。
   
   
次に食事の量と質を落とすことが考えられます。これは、自治体に置き換えると給与の額を下げるということになります。家庭で食事の量と質を落とせば家族から大ブーイングでしょう。市の職員だって生活がかかっていますから、給与を下げれば大ブーイングです。場合によっては違法ストをするかもしれません(市の職員は地方公務員法でストライキはやってはいけないことになっていますので「違法スト」になります)。
   
   
職員数を削減するのも給与額を下げるのも難しそうですね。でも、廿日市市の職員数が他の団体に比べて多かったり、給与額が多額だったりすれば、難しかろうがやらなきゃいけないわけです。
   
   
では、廿日市市の職員数と給与額は他団体と比べてどうなんでしょう。次回に続きます。