整備戦略【川崎大輔がみるアセアンアフターマーケット】<ベトナムの自動車タイヤ市場> | アセアン自動車流通大陸@川崎大輔

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ベトナムでの自動車タイヤビジネスはどのようになっているのか?自動車タイヤを生産、販売する”YOKOHAMA TIRE VIETNAM INC”(以下、ヨコハマタイヤ)のGeneral Directorである中村征希氏、瀬崎祐介氏(Deputy General Director)に話を聞いた。

 

 

◆力強いベトナム新車市場とタイヤ市場

 

2018年通年の総販売台数(輸入車およびVAMA未加盟メーカーを含む)は、前年比5.8%増の28万8,683台。2018年1月からにアセアンからのCBU輸入車に対する関税が30%から0%へ引き下げられたが、ベトナム政府は輸入増加を防ぐために、輸出国政府が発行する品質保証証明書を求める政令を1月1日付で施行。それにより輸入が実質困難となり、2018年1-2月の輸入車は事実上ストップした。3月から輸入が再開されたが、この2ヶ月の空白を補い、前年を上回るという力強さが感じられた1年となった。

 

高い成長率をこのまま維持して行くと、2025年にはベトナムの新車販売台数は80万台になるとの推測もある。トラックなどの商用車が市場を牽引してきた面があるが、今後は乗用車市場が成長すると見られている。2018年のメーカー別新車販売台数は、トヨタが11.0%増の6万5,856台(シェア22.8%)、地場メーカーのチュオンハイ(Truong Hai)が6.7%減の5万8,936台(シェア20.4%)、ビナマツダが25.8%増の3万2,728台(シェア11.3%)、ホンダが123.3%増の2万7,099台(シェア9.4%)となっている。そのような市場の成長状況を鑑(かんが)みるとベトナムのタイヤ業界の市場規模も8%以上の成長を継続すると見られている。新車市場同様に力強さを感じる。

 

 

 

◆  ベトナムのタイヤ市場プレーヤー・流通・サービス

 

ベトナムにおけるタイヤ販売のメインプレーヤーは個人事業、いわゆるパンク屋だ。店舗を持っているところもあれば、店舗がない青空市場も存在する。個人事業の店舗によってはタイヤ販売だけでなく洗車や軽整備(オイル、バッテリー交換)などを取り扱うところもある。

 

タイヤの流通は、各エリアで地方の有力な卸売業者がマルチのメーカーを取り扱っている。彼らがパンク屋へ卸売をおこなう。有力な卸売業者の影響力は強く、ベトナムで流通ネットワークを構築するには不可欠な存在となっている。最近では、卸売業者自体が小売も行う。

 

自動車の個人所有の流れも出てきて、しっかりしたサービスを受けたいという顧客も増えてきた。そういった意味で、ベトナムにおけるタイヤ市場には2つの大きな変化が生まれてきている。1つ目には個人商店からの総合カーケアへの拡大、2つ目にはタイヤの卸売業者からの小売多店舗化への進化、という2パターンの可能性が想像できる。

 

自動車パーツの分野においては、日本のようなオートバックスやイエローハットのような大手の流通企業は見受けられない。今後はベトナムでの国産自動車の製造・販売を発表したビングループが入り込んでくるか確認が必要だ。当面は自動車販売が中心で、パーツまで入り込まないとは思うが見極めができていない。

 

 

 

◆ベトナムにおける中古部品に関する現状

 

ベトナムは規制により中古品の輸入が難しい。中古車は、都市部のホーチミンやハノイではきたない車は見かけない。ただし、これだけ自動車市場拡大しているため、いずれ中古車市場が拡大することは間違いない。中古部品は、ガレージでは廃車の車を分解してそれらが自動車修理に使われている。タイヤも同様で、パンク屋では、使用したタイヤを廃タイヤにしないケースが見受けられる。また、これら中古タイヤを販売することもあると聞く。

 

このユーズドカーという観点で考えると、タイヤ業界として、中古車の価値を上げるためにタイヤを変えるのか それとも中古車を購入してから変えるかという、消費者動向を注視していく必要がある。

 

 

 

◆ベトナムビジネスの課題と魅力

 

ベトナムでビジネスを行なっている課題は、ベトナム国内における法務・税務が不透明なこと、また利権によって施策がコロコロと変化する点がある。例えば、2018年1月1日付で出された自動車輸入規制などがある。輸入された自動車の品質管理を新たに義務付ける制令116号を交付し、輸入自動車の品質証明を義務付け、かつ、輸入された車について輸入ロットごとに抜き打ちの検査が必要となった。これは関税撤廃などに伴い、チュオンハイ(タコ)グループなど国内メーカーを保護するために行ったものだ。

 

アセアンビジネスに共通することだが、統計数値が正しくないため机上ではわからない事が多い。そのため自分の目で現場を見る必要がある。マーケットの生の情報を逐次把握する必要があるため、自動車メーカーや他のプレーヤーとの連携強化が必要となる。また人材の問題もある。信用できるスタッフを採用し、長く勤めてもらうことが必要だ。

 

一方、ベトナムの1億人規模の人口、旺盛な消費需要、地理的な要因、アセアン域内における関税の自由化は大きな魅力を感じる。人が車を購入できるようになると、すでに大きな人口を持つ市場のため一気に拡大が加速する可能性がある。また、タイヤ産業の特殊な魅力となるが、ベトナムはゴムの産地として世界で第3位となっており、現地で原材料を調達できるメリットは大きい。自動車タイヤビジネスの大きな広がりがそこに存在していることは間違いない。

 

 

<川崎大輔 プロフィール>

大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。