外国人材と向き合うには 企業の土台づくり必要
優秀な外国人材を確保するために必要なことは―。東京海上日動火災保険とアセアンカービジネスキャリア(ACC、川崎大輔社長、東京都千代田区)はこのほど都内で自動車業界の経営者や人事担当者向けにセミナーを開き、外国人材を取り巻く現状や課題について説明した。
◆将来は整備士以外でも活躍?
厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者は127万8670人(2017年10月時点)で、それらを受け入れている企業は19万4901拠点に及ぶ。近年、急増しているのが「資格外活動(留学)」の留学ビザ(査証)と「技能実習」の研修ビザで入国するケースで全体の43・4%を占める。これらは本来、就労を目的としていないため労働時間などに制約がある。しかし、川崎社長は「現実問題として一部ではこれらの外国人を人件費を削減するために使っている」と指摘し、長期的にみると企業に優秀な人材が根づかない原因にもつながると危惧する。
一方、医師や弁護士などの「高度な専門的な職業」と社内の営業や経理職などのいわゆる「大卒ホワイトカラー」に付与される「専門的・技術的分野」の就労ビザで来日する外国人は全体の18・6%しかおらず、ここ数年間をみてもほぼ横ばいだ。川崎社長は「今後はこれらの『高度外国人』を受け入れ、こうした人たちが幹部候補になり得るような企業の土台づくりが必要となる」と話す。
ACCでは、これらの就労ビザで入国するスキルの高い外国人材を「スカイブルー人材」と位置づけて積極的な採用支援を行う。ミスマッチを防ぐためのインターンシップ制度もある。自動車業界の活用方策について、川崎社長は「今は整備士や自動車エンジニアでの受け入れが中心だが、フロントや管理業務などをこなせる人材にも需要が出てくるのでは」とみる。
◆外国人材は争奪戦の様相も
外国人材をめぐっては世界で争奪戦の様相も呈している。外国人が日本での就労を敬遠する理由について川崎社長は「会社で適切な評価がされるか不安だ」「日本語を学んでもグローバル人材になれない」との声を紹介する。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が先月発表した2018年「世界人材競争力調査」でも、労働環境や国際経験などさまざまな観点から点数化した総合順位で日本は63カ国中29位にとどまり、とくに「高度な技能を持つ外国人労働者へのビジネス環境の魅力」では50位だった。生産年齢人口の減少が進む中国では20年頃から「労働輸入国」になるとも見られており、手をこまねいていれば優秀な人材が他国に流れる懸念もある。
政府は出入国管理法を改正し、来年4月から新たな在留資格を創設する方針。制度がスタートすれば、外国人材の受け入れはより活発になるとみられる。これからは外国人材に選ばれる労働環境づくりなど、雇用側の意識改革も必要になりそうだ。
■「伝わる日本語」でミス防止を
外国人材を採用しても、定着や活躍してもらわなければ意味がない。就労支援コンサルティングを手がける内定ブリッジ(東京都千代田区)の淺海(あさみ)一郎社長は「まず、社内コミュニケーションの齟齬(そご)による業務ミスなどが起こり、外国人材を束ねる日本人マネージャー職が疲弊する」と初歩的なリスクを指摘する。同社はこれまで、約60カ国・1千人に円滑な社内コミュニケーションを目的とした日本語指導を行っており、自動車業界ではテスラモーターズジャパン(吉田篤司カントリーセールスダイレクター、東京都港区)やテュフラインランドジャパン(トビアス・シュヴァインフルター社長、横浜市港北区)での教育実績を持つ。
淺海社長は「外国人の日本語は日本人にとってストレスになり得る」という。理由として「外国人材にもネイティブレベルの日本語力を求めてしまうことや、日本人側が『伝わる日本語』を使う意識を持たないことが挙げられる」と話し、ひいては「外国人材を適切に評価できない要因にもつながっているのでは」と指摘する。「例えば『明日、アメリカ人が来るからよろしくね』という指示を出すとする。日本人であれば伝わるが、外国人には『アメリカ人は誰なのか』『よろしくとは具体的に何をすればいいのか』が指示できていない」といい、これが業務ミスなどにつながるという。
こうしたミスを防ぐポイントは、“ハイコンテクスト(高文脈依存)”と呼ばれる「文脈から察してもらう」ことに依存せず「『明日、アメリカ人のジョンさんが来るから一緒に会議に出てください』と伝わる日本語で話す意識を持つことが重要」(淺海社長)という。淺海社長は「日本人側が少し意識するだけで食い違いは防げる」と説く。
整備士不足を受け、自動車整備学校などでは外国人留学生が増え、学校側も受け入れに積極的だ。しかし、淺海社長は「教員にもこうした課題に対応したコミュニケーションスキルを身につけてもらう必要性がある」と指摘する。外国人が日本で働く入り口となる教育機関での対応は、その後のスキル醸成や評価にも直結する。整備学校が果たす役割はますます重要になりそうだ。
外国人材を受け入れる企業側の大半は、社内コミュニケーションを円滑にするため外国人材の日本語能力を高める取り組みに熱心という。しかし、淺海社長は「大企業ほど『日本文化、日本語を理解して』という意識が強い。人材のグローバル化が進む今、柔軟性を持ってほしい」と話す。日本企業側にも、外国人材と一緒に働くための「日本語コントロール力」を持つことが求められていると言えそうだ。
◆将来は整備士以外でも活躍?
厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者は127万8670人(2017年10月時点)で、それらを受け入れている企業は19万4901拠点に及ぶ。近年、急増しているのが「資格外活動(留学)」の留学ビザ(査証)と「技能実習」の研修ビザで入国するケースで全体の43・4%を占める。これらは本来、就労を目的としていないため労働時間などに制約がある。しかし、川崎社長は「現実問題として一部ではこれらの外国人を人件費を削減するために使っている」と指摘し、長期的にみると企業に優秀な人材が根づかない原因にもつながると危惧する。
一方、医師や弁護士などの「高度な専門的な職業」と社内の営業や経理職などのいわゆる「大卒ホワイトカラー」に付与される「専門的・技術的分野」の就労ビザで来日する外国人は全体の18・6%しかおらず、ここ数年間をみてもほぼ横ばいだ。川崎社長は「今後はこれらの『高度外国人』を受け入れ、こうした人たちが幹部候補になり得るような企業の土台づくりが必要となる」と話す。
ACCでは、これらの就労ビザで入国するスキルの高い外国人材を「スカイブルー人材」と位置づけて積極的な採用支援を行う。ミスマッチを防ぐためのインターンシップ制度もある。自動車業界の活用方策について、川崎社長は「今は整備士や自動車エンジニアでの受け入れが中心だが、フロントや管理業務などをこなせる人材にも需要が出てくるのでは」とみる。
◆外国人材は争奪戦の様相も
外国人材をめぐっては世界で争奪戦の様相も呈している。外国人が日本での就労を敬遠する理由について川崎社長は「会社で適切な評価がされるか不安だ」「日本語を学んでもグローバル人材になれない」との声を紹介する。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が先月発表した2018年「世界人材競争力調査」でも、労働環境や国際経験などさまざまな観点から点数化した総合順位で日本は63カ国中29位にとどまり、とくに「高度な技能を持つ外国人労働者へのビジネス環境の魅力」では50位だった。生産年齢人口の減少が進む中国では20年頃から「労働輸入国」になるとも見られており、手をこまねいていれば優秀な人材が他国に流れる懸念もある。
政府は出入国管理法を改正し、来年4月から新たな在留資格を創設する方針。制度がスタートすれば、外国人材の受け入れはより活発になるとみられる。これからは外国人材に選ばれる労働環境づくりなど、雇用側の意識改革も必要になりそうだ。
■「伝わる日本語」でミス防止を
外国人材を採用しても、定着や活躍してもらわなければ意味がない。就労支援コンサルティングを手がける内定ブリッジ(東京都千代田区)の淺海(あさみ)一郎社長は「まず、社内コミュニケーションの齟齬(そご)による業務ミスなどが起こり、外国人材を束ねる日本人マネージャー職が疲弊する」と初歩的なリスクを指摘する。同社はこれまで、約60カ国・1千人に円滑な社内コミュニケーションを目的とした日本語指導を行っており、自動車業界ではテスラモーターズジャパン(吉田篤司カントリーセールスダイレクター、東京都港区)やテュフラインランドジャパン(トビアス・シュヴァインフルター社長、横浜市港北区)での教育実績を持つ。
淺海社長は「外国人の日本語は日本人にとってストレスになり得る」という。理由として「外国人材にもネイティブレベルの日本語力を求めてしまうことや、日本人側が『伝わる日本語』を使う意識を持たないことが挙げられる」と話し、ひいては「外国人材を適切に評価できない要因にもつながっているのでは」と指摘する。「例えば『明日、アメリカ人が来るからよろしくね』という指示を出すとする。日本人であれば伝わるが、外国人には『アメリカ人は誰なのか』『よろしくとは具体的に何をすればいいのか』が指示できていない」といい、これが業務ミスなどにつながるという。
こうしたミスを防ぐポイントは、“ハイコンテクスト(高文脈依存)”と呼ばれる「文脈から察してもらう」ことに依存せず「『明日、アメリカ人のジョンさんが来るから一緒に会議に出てください』と伝わる日本語で話す意識を持つことが重要」(淺海社長)という。淺海社長は「日本人側が少し意識するだけで食い違いは防げる」と説く。
整備士不足を受け、自動車整備学校などでは外国人留学生が増え、学校側も受け入れに積極的だ。しかし、淺海社長は「教員にもこうした課題に対応したコミュニケーションスキルを身につけてもらう必要性がある」と指摘する。外国人が日本で働く入り口となる教育機関での対応は、その後のスキル醸成や評価にも直結する。整備学校が果たす役割はますます重要になりそうだ。
外国人材を受け入れる企業側の大半は、社内コミュニケーションを円滑にするため外国人材の日本語能力を高める取り組みに熱心という。しかし、淺海社長は「大企業ほど『日本文化、日本語を理解して』という意識が強い。人材のグローバル化が進む今、柔軟性を持ってほしい」と話す。日本企業側にも、外国人材と一緒に働くための「日本語コントロール力」を持つことが求められていると言えそうだ。
