岡本玄冶
玄冶目附之書
醫王(補中益氣湯)
大抵此方は陽虚の者に用ひ
滋陰降火湯は陰虚の者に用ゆなり
此の陽虚陰虚の分ちは
脉と眼精とを以て分つ可し
陽虚の者は
如何にも
うっかりとして
眼の見張り精無く
脉は虚大にして無力のものなり
陰虚の者は
聲濁り
顔色いかにも物凄じく
すっきりと
眼つにも
見張り強くして
物かなしき躰(てい)ありて
脉細數なるものなり
畢竟
勞瘵の症との如し
如し(もし)斯の分ちを以て
陰虚陽虚ともに落着し難きは
此方(醫王)と滋陰降火湯を
合用するなり