昨日した妄想
穴あき夫
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家族とも仲がよく友達も多い、成績も平均的で、運動もそこそこの穴あき夫。しかし彼の胸はなぜか穴が空いている。
人とは違う身体に恥じらい、周りも周りの雰囲気にあわせてからかい、穴を笑っていた。家族とも仲がよく友達も多い、成績も平均的で、運動もそこそこできるのに、この胸にぽっかり空いた穴と、それにたいしての恥じらいはなんなんなのだろう、と穴あき夫は考える。病院にいったが原因はわからず、空洞の部分に手を入れたりして医者の話を聞き流す、医者は同じ症状の同級生の「あき吉」と「あきえ」を穴あき夫に紹介した。
彼らは集まりゲームをしたりおしゃべりをしたがこれまでの生活と変わりない。見かねた医者は、ダブステップのリズムを奏でる心臓を持った奇病の少女のライブビデオを見せると、三人でバンドを始めた。
バンドは全国の胸に穴が空いている中高生に人気となったが、彼らの気持ちが満たされるたび、胸の穴は小さくなり、MTVビデオアワードにノミネートされた頃には穴はなくなっていた。
彼らは穴が空いているふりをして活動を続けていたが、意見の食い違いからやがて解散した。
あき吉はナイフやフォークで自らを傷付け、もう一度同じところに穴をあけながら歌った、あきえは別の穴を探してその穴を歌い続けた。
あき夫は穴が空いているふりをしていた自分のことをそのまま歌にしたが、誰にも理解されることはなくヒットチャートから消えていった。
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