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こんにちは
今日はヒミズという映画を観ました。
ヒミズの原作は漫画です。
古谷実という人が書きました。
僕が高校生の頃、シガテラという漫画を連載していて
夢中になって読んでいました。
ヒミズはとても暗い漫画だったので
あまり好きではありません。
でも映画は観たいと思いました。
なぜだかよくわかりません。
それより、わたしの隣で観ていた茶髪の若者が
ポップコーンを食い散らかして、ゴミを棄ててかえって行きました。
上映中も、一緒に来た連中と話をして
とてもマナーの悪い客でした。
1月17日新宿バルトナイン21時40分上映Eの10番台のあなたです。

みんな、というより映画というものは
観終わった後に感想をせまられます。
○○を見に行った、というと
どうだった?と誰もが聞いてきます。
でもそれは幸運なことだと思います。
自分の考えたことを人に発表できる機会なのですから
わたしの場合、わたしの考えは
馬鹿らしくて誰も耳を傾けてくれないように感じています。
でも、カップル共に人気の映画は
みんな耳を傾けてくれるのです。

ヒミズはどうだったかというと
特に何も感じませんでした。
観終わった後、何も残りませんでした。
あの映画を観て何も感じないやつはどうかしてる、
と、映画にくわしい人に怒られそうですが
本当なのだからしかたのないことです。
かねてから、話題や評判の良い映画を観て感動したふりをする
自分に嫌気が差していたところです
だから、もう感動したふりをするのはやめようとおもっています。
それより、見終わった後何も残らない、というのは
珍しいと思います。
以前にも同じような経験をしたことがあります。
高橋源一郎という作家のさようなら、ニッポン2という本を
暗い夜道で、にやにやして読んでいたのです。
対向車線から人が来ることがわかったので
わたしは本を読むのをやめて、本を閉じました。
それからなんておもしろい本なんだ、と考え
本の内容を振り返ろうとしたのですが
何も思い出せなかったのです。
本を閉じたと同時に本の内容を忘れてしまったのです。
それとヒミズの観賞後、が似ている、と思いました。
しかし、あらためて考えてみると、そうでもないかもしれません。

ヒミズには特徴がありました。
ヒミズを見た後に感じたことを
はやく文章にして記録したいなと思ったのです。
例えば、隣のガキがゴミを散らかしていたこと
映画館から見える夜景が宇宙船みたいだったこと
歌舞伎町のネオンがぼんやりと光っていたこと
そうゆうことが自転車に乗っている間
洪水のように文章として流れてきて
はやく書きたいなあ、と思ったのでした。
だから正確な感想は、ヒミズを観て、
新宿のネオンが光っていたことを記録したいと思った。
というのが正直な感想になります。

ただこの感想、きいたらみんな
この人は意味のわからないことを言っている
この人と真剣にはなすのはやめよう
と思うでしょう。ただわたしはまじめですが

こんな話を聞いてくれる人はめったにいません。
だから一般向けの感想も考えなければいけないのです。
幸い、わたしは原作の漫画を高校の頃に購入して
何度も読み返したりしていました。
だから原作をベースに映画の感想を伝えられると感じています。

わたしがヒミズという漫画で好きだったのは
本当にいそうな、クズ人間が正確に描写されていた点です。
それは漫画的にデフォルメされていない生生しい人間を
描くことができる点がすごいと思ったし、好きな点でした。

あと、父親を殺した後、乾いた土に残った血痕、のシーンがとても好きでした。
この人は本当は人を殺したことがあって、乾いた土に血痕の後が残っているのを
観たのではないか、と思いました。
わたしは映画を観ながら、
漫画のよいところはどう生かされるのか
注意してみました。
しかしわたしが漫画で好きだった部分は
すべて変わっていました。

登場人物は、リアリティのある配役は避けられて
映画的デフォルメというのか
映画のなかにいそうなやくざや
映画のなかにいそうなホームレス、
映画のなかにいそうな育児放棄するおばさんに変わっていました。

乾いた土に残る血痕もありませんでした。
というか乾いた土はありませんでした。
すべては泥にまみれていました。

一番変更されたのは、人物描写、
というか主人公だと感じました
漫画では土を静かに掘っていく
ただもくもくと掘っていく
乾いたドライな感じでした。
映画は、獣、泥を掻き出して、
叫びながら、のたうちまわり、穴を掘っていく。
漫画は漫画的なデフォルメが極端に排除されてたけど
映画は逆に漫画的にストーリー、感情が動いていきました。

一番、ああちがうな、と思ったのは
父親を殺す場面です
漫画では、ただ黙々とブロックを頭に振り下ろし
感情、殺意が排除され、生きることへの脱力感があったと思います。
映画は、殺意が剥き出しで、父親も暴力への抵抗を続け
殺してしまった後は、後悔をして、泥にまみれて死体を埋める穴をかきまわしていました
剥き出しだなあと、そのときおもいました。

ソンシオンという人は、はじめに住田くんが生きるヒミズをつくろう
考えたのだと思います。

わたしはソンシオンなんて人の作品なんて
見たことありませんから
映画の詳しい人の屁みたいな知識や
作品の毛色のことを説明されてもしりませんが

住田君の生きるヒミズには漫画的なデフォルメが必要なのではないか、
剥き出しではないといけないのではないか、
とつくった人は考えたのではないかと思いました。

ぼくにはわかる
牛乳に浮かぶ黒いハエ
その白と黒
ぼくにはわかる
働きものとなまけものの違い
顔を見ればわかる
ぼくにはわかる
なんでもわかる
だた自分だけがわからない