日本と西欧の500年史⓫ 西尾幹二著(2024年発行) | ウインのワクワク「LIFE」

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本書から】

 

第三章 近世ヨーロッパの新大陸幻想 

本書は暴力世界としてのヨーロッパを考察している。そしてそれは中世初期から近世の宗教戦争を経て、帝国主義戦争まで一貫してつながる何かがあると予想している。~われわれとは異質な何かである。その見地に立つとそもそもの始まりの中世キリスト教世界は何であったかを問わずにはいられない。

 

ローマ教皇はキリスト教世界全体の上に立つ指導者の立場を確立した政治が宗教を支配する時代が訪れたのである。

 

終末の日の接近に戦(おのの)いていたキリスト教徒は、罪を背負ったまま死に臨むのを恐れていた、あなたは罪を許される。との教皇からのご信託は、キリスト教徒たちを狂気(十字軍)に狂わせた。  

 

十字軍は大きなテーマで~ピューリタン革命のクロムウェルや南北戦争のリンカーンに取り憑いていた観念に通底している。

 

ピューリタン革命(市民革命)こそキリスト教の千年王国論の独走、狂気の暴力の爆発した事件で、この宗教と政治の一体感がニューイングランドすなわちアメリカ植民地の建設に深く関与したことが歴史により大きな波動を引き起こしたのだ。

 

アメリカの300年の発展は中世ヨーロッパの拡大と伸長の仕方に類似しているのではないか~。

 

古代ギリシアでも古代インドでも、時間というものは円環形式で進んでいくと考えられていた。人間の歴史は周期するのである。それに対し古代ユダヤ人は全く違った考え方を持っていたようだ。ただ一つの神がこの世界を創造し、わが民を永遠の至福と繁栄に導いてくれる~。

 

神によって約束されている世界が未来に必ずやって来るのである。そして、それは「世の終わり」と共に訪れる。~ユダヤ人はこれを預言者の思想と呼び、キリスト教徒は承け継いで終末思想と名づけた。