急に萎れたり、枯れたりするのを防ぐ対策 | 家庭菜園を応援する農業おやじのブログ~家庭菜園・園芸用野菜の種のことなら市川種苗店

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トマトの苗は斜めに深く植えましょう・・・は半分嘘である!
 

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NHKの園芸の放送で「トマトの苗は斜めに(深く)植えましょう」と教えていたそうです。トマトはさし芽で苗ができるほど茎から旺盛に発根します。だから土の中に茎の部分が長く埋まるとたくさんの根が出ます。よって、浅く植えるより根の量が増えるので元気に育つ・・・という論法だと考えられます。

 

一見理にかなった方法で、かつては専門書にも載っていた方法です。しかしどのような苗でも当てはまるかというと、そうではありません。 必ず「実生苗」=「種から育てたままの苗」の場合に限られます!

現在、ナスやトマトやキュウリなどの主要野菜は接木苗が広く使われるようになりました。これは土壌病害や連作障害を回避するためにとても有効だからです。なぜ実生ではだめで接木苗がいいのか? それは接木に使われる台木が、連作障害の素になる土壌病害の病原体の根からの侵入を防いでくれるからです。台木は野生に近い品種でこれらの病原に対する遺伝的な耐性を持っているものと考えられます。この台木に下半身を依存し、上半身だけを実生苗と同じものに挿げ替えたものが接木苗です。都合よくできていますがその力を100%発揮させるためには植え方にちょっとした注意が必要です。
もし実生部分から余分な根が発生するとそこから病原菌の侵入を許すことになり実生苗を植えたのと同等になってしますからです。台木が台木の力を発揮するためには台木のみから根が張るように植えることがポイントです。

結論が遅くなりましたが、トマト苗は
①接木苗は絶対に接木部分が地上に露出するように浅植えしなければいけない。さらに敷きワラなどは株元には敷き詰めず土面を露出させ、株元は常に乾くようにする。
②実生の場合、斜め深植えした方が発根量は増えるが、連作障害・土壌病害への抵抗力は増すわけではなく、変わらない・・・のです。

そして、梅雨時に多発するトマトの「青枯れ病」など非常に深刻な病気に対しては接木苗を浅植えする方がはるかに有効な対策であり、実生苗を斜め深植えしても全く意味が無いという点に留意しておくべきだと考えます。

トマトの「青枯れ病」の話題に何とか誘導できましたが(大笑)・・・、
今日はトマトに限らずナスやキュウリなどの夏の主要野菜が急に枯れてしまう事態にいかに対処すべきかを考えてみたいと思います。実はこのブログや当店のホームページでアクセスが多いのが、次の二項目のキーワードなのです。

2012/6/12 「キュウリ しおれて枯れました!」
2013/7/02 「キュウリ、トマト、ナス が 枯れちゃった!」

 

梅雨~梅雨明けにかけて
「昨日まで元気がよかったのに急に萎れる」
「じわじわと萎れ日が強くなると枯れてしまった」
という事例がいかに多いことか。

トマトに限らずナス、ピーマンなどのナス科野菜の場合はほとんどが青枯れ病です。青枯れ病原体は細菌で、発病したら治療できる薬はありません。キュウリの場合はつる割れ病の事例が多くフザリウムという糸状菌が病原です。こちらも発生したら薬はありません。
実は、ナス科の青枯れもウリ科のつる割れも萎れだした時はステージ4++位の末期症状のような状態です。植物の血管に相当する導管に病原が繁殖し閉塞状態になり根からの水分が循環できなくなくなっているので萎れだすのです。人間の脳梗塞と同じですね。

トマトの場合で述べたように、実生苗を植えた場合は発生のリスクが非常に高いのでぜひ接木苗を植えるようにしましょう。しかも浅植えで!
もし、深く植えたり、株もとが低くなったり、敷きワラなどで株元の湿度が高くなったり、穂木部分から発根してしまっている状態だと、(たとえ接木苗を植えていたとしても)、接木の力が全く発揮できないので十分ご注意を!

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それでは、接木苗を植えていれば「急に萎れる症状を」100%回避できるのでしょうか?
実は、ダメなのです。

青枯れやつる割れ病といった細菌や糸状菌は、通常はそれらの抵抗性台木には侵入できません。しかし、台木に傷がついて病原の侵入口ができてしまったり、水に長時間浸漬するなどして抵抗性が失しなわれてしまったりすると回避できなくなるのです。

ここに至り、上記の萎れを回避するため、「接木」以外のキーワードになるのが物理的な「根の傷」を如何に少なくするかなのです。


●「支柱など」
根の傷は支柱をさしたり、植えてある畝を強く踏んでも起こります。できるだけ避けましょう。支柱は植える前に挿しておくのが理想です。万が一避けられない場合は畑が乾いている晴天時に行いましょう。

●「雨の後は畑に入るな!」
土が乾燥しているとき、根は水分のある地中深くに張ります。しかし梅雨時水分が多いと酸素を求めて根は地表浅くに浮いてきます。マルチなど被覆をしている場合は、それをめくってみると細根がカーペットのように敷き詰められて白くなっているのが分かります。根張りの浅さに驚きます。地表部にある細根は足で踏みつけるだけで傷つくのは容易に想像がつきますね。傷がついてしまうと、破傷風みたいに病原の侵入を許してしまうのです。
ですから畑の通路に水が溜まっていたり、足跡がつくようにぬかるんでいる場合は絶対にこの畑には入らぬようにしましょう。薬散、収穫、管理作業は可能な限り晴天時、通路が乾いてからにしましょう。

●「高畝ほどよい」
家庭菜園レベルでは畝上げがとても大変な作業なのは痛いほど理解できます。しかし、私はタキイの農場でどんな野菜も25cm以上、できるなら「膝まで」畝上げせよ!と叩き込まれました。
高畝だと地上部の土の量が多くなるので畝の内部で根の張りは完結しやすいのですが、浅い畝ほど常に湿っている土の層が浅くなり梅雨時は根が通路に張り出してきます。
すると、通路に張り出した根を人間がいつも踏みつけている状態になるのです。これだと根に傷がつかないわけがありません。しかも前項で述べたように梅雨時の土壌湿度が高いときは根が地表付近に浅く分布するのでより傷がつきやすくなるのです。

●上記二項から通路に根が出張ってこなければ踏圧による根の損傷は限りなく0になることがお分かりかと思います。私がタキイ農場の講義で京都府立大学の桂名誉教授から伝授された接木を使わずに青枯れを回避する方法が下図の通りです。接木などが普及していない戦前から用いられていた方法らしいです。もちろん、土壌の病原密度が低い程予防効果は高いです。

タキイ農場式マルチの張り方↓

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※「接木苗」「物理的な根の傷の回避」が今回のメインのテーマでしたが、生物学的な要因も大きいのでその対策を考えることも上記同様大切だと思います。

キュウリやトマトの急激な萎凋は青枯れ病、つる割れ病などの土壌病害が引き起こす連作障害です。
連作障害は一般に同じ遺伝子を持つグループ(ナス科、ウリ科、マメ科、キク科・・・)内の連作によっておこる障害です。
土壌ミネラルの偏りが原因ともいわれますが、栽培後の野菜の残渣を分解する微生物が上記のグループごとに特異的であり、その特異的な菌類の繁殖により土着菌の分布が大きく損なわれて特定の病気に対する耐性が失われてしまうことが原因と考えられます。ですから、同じ野菜ではなく、同じグループの野菜は連続して作付けしないことが求められます。すくなくとも下記カテゴリー分けはご記憶ください。


ナス科(ジャガイモ、トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、シシトウ、トウガラシ)これらのグループは同じグループなので、違う野菜名でも連続栽培しないこと。ジャガイモは特に注意が必要。

ウリ科(キュウリ、カボチャ、西瓜、ゴーヤ、メロン、瓜・・・)こちらもナス科に同じ。ただし、カボチャなどは台木に使えるくらいなので、ウリ科の後作のカボチャは平気。
マメ科(エンドウ、大豆、小豆、インゲン・・・)根粒菌と強く共生する関係だとおもいますがエンドウなどは特に強い連作障害が出る。ただし種類によって、例えばインゲンなどは強烈な連作障害はでにくい。

キク科(レタス、しんぎく、ゴボウ・・・)
レタスは菌核やウイルス病、しんぎくはタンソ病、ゴボウは肌が真っ黒に・・・

アブラナ科(①大根、②キャベツ・ブロッコリー、③白菜・蕪・菜類、④からし菜)
作付け初期はあまり気にしないでよいが、連作回数が増えたり、栽培残渣のすきこみが多くなると、根こぶ、菌核、さび病、ベト病など難防除病害が出やすくなる。また薬剤抵抗性がつよいレースの病気が発生しやすくなる。
どうしても連作する場合は上記①②③④のカテゴリーを参考に違うカテゴリーをローテーション作付けしたほうが良い。※DNAの構造が違うから病原菌が異なる場合が多い。

ユリ科(玉葱、ネギ、ニラ、ニンニク・・・)
アブラナ科と同様かなり連作もできるが、限度を超えると、抵抗性のべと病や疫病の発生が問題となるので注意が必要。

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最後に、未熟有機物、特に栽培残渣を含む完熟でない有機物の施用はできるだけ控えるのが望ましいと考えます。とくに悪玉線虫が増えると土壌病害が発生しやすくなります。またこれらの未分解の有機物が微生物の格好の餌となりますので、上記同様、土着菌のバランスが大きく崩れます。良い方に崩れる場合は少ないのでできるだけ避けたほうが賢明だと思います。

ちょっと最後は息切れしてしまいました。機会があれば再挑戦してみます。へたくそな図で申し訳ございません。

 

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