種・家庭菜園・園芸・野菜 市川種苗店
「時無しダイコン」の話を以前書いたことがあります。 「時無し」だから「いつでも蒔ける」と思っていらっしゃるお客様が、6月に時無しダイコンをくれと駄々をこねられて困ったという体験談でしたが、種屋にとっては、結構毎年繰り返されてるありふれた光景でもあります。「時無しニンジン」なんかも同じです。
キャベツの品種で「四季穫キャベツ」というのがあります。「四季蒔き」とは書いてないのですが、時無しダイコンと同じように「いつでも蒔ける」キャベツと理解していらっしゃるお客様が何と多いことか!ホームセンターや雑貨屋の店頭に並んでいるキャベツ種の定番がこれですが、この品種を選択するほとんどの人がそう思っていらっしゃるのではないかと推測します。(店頭で多くのお客様と接するプロの直感ですが!)
これは初心者の誤解なのですが、重要な示唆を含んでいるエピソードとして、話のきっかけとしたいと思います。
「いつでもよい」
→「いつでもダメなわけではない」
→「いつでも100%ではないが60%位で許せるならいつでもという意味!」
→「この時期なら100%という物には及ばない」
と、解釈すべきなのです。
日本の四季はめまぐるしく変わります。キャベツに限らず主要な野菜のほとんどが外国由来です。当然、無理をして日本の気候に合うように品種改良して作られた野菜ばかりなのが現状なのです。
「いつでもよい」を選択するより、季節や気候に合った品種の選択が第一です。一方前回述べたように、使い方によって要求されるキャベツの品質は全く異なります。料理にあった品種の選択が第二となります。
初夏のかほり やや遅めの春系です 当店のお客様の収穫物
2012/6/24のブログより
【春系新キャベツ】
《作型》
もともと、秋に種まきして春~初夏に収穫するタイプです。一年で最初にとれるキャベツという意味で新キャベツとも言います(どこが一年の始まりかは疑問ですが!)。
《季節性》
冬は結球せず、春になってぎゅっと結球できる。つまり寒さに耐えトウ立ちしにくいという生理的な性質が最大の特長です。
《早晩》
早春蒔き梅雨前収穫や8月蒔き冬どりも可能な品種もあり、一般に生育の早いことが特長です。
《耐暑耐寒》
寒さに強いけど、夏の暑さや梅雨の湿気が大嫌いでこの時期を収穫時期からはずすことがポイントです。
《形状》
葉がやや波打った感じ。
《調理》
柔らかくジューシーな味が特長。何回も言いますが、サラダ向きであって、お好み焼きやロールキャベツみたいに炒めたり、煮込んだりするのには全く向かない品種です。
《品種改良の傾向》
①作型の幅を広げるためより晩抽性 ②高温多湿期の病気と裂球の遅さ、③品質を落とさない範囲での作りやすさ を追求しているようです。
新若夏 お客様の収穫物
この辺になるとカテゴリーが曖昧 寒玉+春系
2012/06/16のブログより
寒玉系:夢舞台 カタログより
【寒玉系】
《作型》
もともと、7月~8月に蒔いて冬に収穫する品種。冬にとれる扁平な玉キャベツを言います。玉ができたら、寒さには強いので、長く畑におけるのが特長です。
《早晩》
キャベツの中でもずっしりとした重量感が特長です。当然硬めの重量感を得るためにやや生育が遅いのが特徴です。逆に蒔き時を失すると結球しないこともあるので、種まき時期の許容度は狭いと思ったほうがよいでしょう。
《万能性》
締まった硬めの品質が特徴なので一般に強く作りやすい傾向にあります。晩秋に蒔いて初夏どりや、早春に蒔いて夏どりも可能な品種があります。先に述べた「四季穫」もこのタイプです。
《トウ立ち》
生育が遅いので、9月下旬~10月中旬の秋まきは絶対にダメです。グリーンプラントバーナーりというキャベツのトウ立ちの生理が最も強く作用する作型です。9月も一般に種まきできないので、秋蒔きには不向きな品種です。
《形状》
葉はつるりと分厚く硬めです。玉は例外なく球形ではなく扁平です。品種によって平べったさの度合いが違い、市場の好みは大きく分かれるところです。
《調理》
葉は厚く硬めですが、熱を加えると甘みが増す性質が強いです。だから、炒め物や煮物にはこの品種の特性が最も生かせる調理法です。生食には向きません。バリバリパサパサとした感じになります。
《品種改良の傾向》
①炒めたり煮たときの味の良さの追求 ②外皮は濃緑、芯は濃黄、アントシアンの出にくさ ③根こぶ病や黒腐れなど難防除病気に対する耐性 ④作型の幅を広げるため吸肥力など草勢の強さ
葉深系:はやどり甘藍 お客様の収穫物です
古い品種だけど味が良いので今でも大人気
2011/11/1 こちらをご覧ください
葉深系+春系:しずはま1号 とても美味しい直売所で人気の品種
【葉深系】
《作型》
もともと南方系で、耐寒性に劣るが、耐暑性が抜群で、この性質をいかした作型には他の品種を寄せ付けない程の強さがあります。一般に上昇気温下でのみ種まきできて、年内に収穫を追える作型に向きます。佐世保では2月下旬~8月中旬に適期が集中します。5月はやや作りにくい時期かもしれません(生育中盤が梅雨の真ん中なので!)。
《トウ立ち》
越冬して早春や初夏どりには全く向きません。耐寒性に劣るのとトウ立ちが早いことが原因です。この系統は温度のあるときに長所を発揮するようにできています。
《早晩》
一般に生育は早いです。特に極早生系は裂球が早い傾向があるので、畑に長く置くときや乾燥のあとの雨に注意。一般に6月下旬から8月上旬が最も作りやすい時期となります。
《形状》
葉はつるりとしていますが、寒玉と違い、中扁平な品種が多いようです。
《調理》
葉はやや薄めでジューシーです。寒玉と春系との中間ともいえますが、どちらかと言えば生食向きです。生食向きと言えば春系新キャベツより美味しい品種もたくさんあります。《品種改良の傾向》
大産地は圧倒的に「寒玉系」です。生産、消費量とも圧倒的です。したがって、開発メーカーにとってこのカテゴリーはニッチで寂しい!というのが実情です。でも古いF1の品種によい物がたくさんあります。逆に直売所や家庭菜園では最もオススメできるカテゴリーですので、品種選択は重要です。
ボール系:ジャンヌ カタログより
【その他:ボール系】
《早晩》
早生が多いです(赤い系統の中にはやや遅めのもあります)。種まき1ヶ月で苗を植えその後1.5ヶ月位で収穫が始まるような早どりが可能です。
《作型》
もともと、暑すぎず、寒すぎずの気候を好みます。7月中旬~8月中旬蒔き秋どりが主流の作型です。梅雨前に収穫できれば春2月蒔きもOKです。しかし、春まきは収穫期の温度や湿度が急激に上昇しますので作りにくいし、遅まきには適しません。
《トウ立ち》
秋まきは不適です。赤い硬い系統以外は、球割れが早くトウ立ちしやすいです。
《形状》
まん丸のボール型が最大の特長です。キャベツよりグリーンボールとして別カテゴリーでスーパーの店頭に置かれる程、差別化野菜として最適です。
《調理》
葉は薄めです。生食向きで、炒めたり煮たりするには不向きかもしれません。生食としてのジューシーさは春系と葉深系とそれぞれ個性がありますので絶対的に美味しいとは言えないというのが私の本音です。前項の形状を最大のウリだと思います。
※葉に凹凸があるサボイ系とか子持ち系とか赤玉とかありますがマイナーなので省きます。
種・家庭菜園・園芸・野菜 市川種苗店
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