多くのハーブ類(ミント、バジル、レモンバーム、タイム、・・・)と同様、赤シソ、青シソ(大葉)などの種まきに最適の時期になりました。佐世保では梅干作りのため、梅と同じ時期に店頭に並べられるように、2月頃より赤シソの種まきが始まります。普通は3~4月が蒔き時となります。
店頭に立っているとシソについてよく質問を受けます。そして、いや違うんだけどな~?と思うことがたびたびです。今回はこの違和感についてのお話です。
青チリメンシソです
◆シソなんか、自然に生えてくるから種まきなんかしたコトない!
シソの品質の良さってなんだか分かります?そうです。
条件A:①香りがよいこと。②味がよいこと。③ちじみが多いこと。
まあ、ベスト3はこんな条件だと断言しても誰からもクレームが来ないと思いまず。さて、この反対条件を考えて見ます。
条件B:(a)香りがしない。(b)おいしくない。(c)平面的な葉。
AとBのシソがあったら、人間は間違いなくAのシソが上等だと判断します。全く同じようにシソが大好きな害虫だって、AとBのシソが同じ場所にあったら、Aのシソを選ぶでしょう。
これをシソの側から考えたら、食べてしまわれれば種が絶えるわけですから、食べられないようにすることを望むはずです。つまり、出来るだけBのようなシソでありたいと願うわけです。結果的に、Bのような子どもを作るシソが生き残り害虫に食べられないように進化してきました。
こう考えてくると、「こぼれ種」で増殖するシソは条件Bのようなシソばかりになるはずです。もうお分かりと思いますが、人間が望む性質はシソにとっては遺伝的に劣勢の選ばれたくない性質であるわけで、よいシソを望むとすれば、人為的に遺伝的に劣勢=弱い=種の採れにくい品種を選び出す操作が不可欠になります。
このように、われわれが販売するシソは人為的な選抜操作を繰り返した結果やっと生み出されたAのようなシソなのです。自然に生えてくるシソはBである可能性が限りなく高いといえるのです。
さあ、これでも、シソジュースや梅干用の赤シソ、自然発生に発生に任せてよいと断言してよいものでしょうか??(判断は皆さんにお任せいたします!)
上述したハーブ類もそうですが、風味が自慢のセロリ、パセリ、なども人間が望む形質は遺伝的に劣勢であることがほとんどであり、品種として有用な種は慎重な選抜を繰り返して育成されていることを忘れていただきたくないと強く思います。
当店で販売している戸塚系赤チリメンシソです
◆シソなんか、自然に生えてくるから、ばら撒いておけば簡単に芽が出るさ!
簡単には出ないという話です。多分数百円で購入されるシソの種と自然にこぼれた種の量は桁が違います。人為的な種子は10mlくらい、こぼれ種は多分1L以上だと思います。単純に見積もってみても100倍違います。購買品種の発芽率は多分ものすごくよくて、60%以上あるでしょうが、それでもこぼれ種の倍くらいではないでしょうか。つまり、どう見積もっても人為的に種まきする場合は自然界で行われている播種操作より50倍の精密さが要求されているわけです。こぼれ種が簡単に発芽しても、人が種まきしても乱暴にばら撒いても発芽するわけではなく、50倍の慎重さを要求されているのです。
当店で販売している青赤裏シソです 。
シソ特有な条件があります。
①短日性があるため、夏以降には蒔けません。つまり、ハーブ類を含む多くのシソ科植物は秋彼岸を越えると花芽分化をおこし、それ以上栄養成長が止まりますので、秋彼岸までに十分な体を作っておく必要があります。すなわち、早春から春が種まきの適期なのです
②好光性です。大根や南瓜などは光が当たると発芽が抑制されるのにシソ類やニンジンやセロリといったせり科、シュンギクやレタスなどのキク科類は逆に促進されるのです。
つまり、種まきしたら土は被せないほうがよく発芽するのです。
③しかし、覆土をしないと、乾燥し、露出した種は雨風にさらされ逆に発芽を抑制させることになります。この矛盾を解決するのにどうしたらよいかというのが、種まきの最大のコツになります。まあ、詳しくはこちらをご覧ください。
結論は踏みつけて、モミガラやネット、不織布をかけておく!ということです。
④種がものすごく小さい!まるで芥子粒みたいです。
丁寧に蒔こうにもこう小さいとかなり面倒です。出来るだけ均一に蒔くためには種子がどのように落ちているかを知っていれば楽ですし、コントロールも聞きます。畑に丁寧に蒔いているつもりでも、かたまって発芽したり、ぜんぜん発芽しない場所があったりしてかなり大変です。先人から口伝のコツはこうです。「畑をコテで丁寧に均しメリケン粉でまぶした種を丁寧に蒔く!」黒っぽい種は蒔きにくいけど、白い種は土の色と反対でよく見分けがつくから。また、雑な整地だと、土の谷間に落ちた種はまず発芽しないからです。
「たかがシソ」ではなく「されどシソ」!種屋のこだわりと愚痴を読んでくださり感謝いたします。
大豆に比べると非常に小さい種です!
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