ボーナスも入ったことだし。

 

息子君も何か欲しいものはない?と聞いた。

 

その時は『別に無い』と答えていたのだが。

 

後になってから、

 

「漫画買って~」

 

と言ってきた。

 

息子が欲しいと言っているのはコナンの漫画だ。

 

あれってもう何十巻も出てるよね。

 

一巻から揃えるとしたら、その後大変にならないのかな。

 

買ってあげるのは良いけど。

 

そのあたりのことがちょっと気になった。

 

まぁでも、もしかしたらすぐに飽きるかもしれないよね。

 

これまでも熱中してはすぐに興味が別の物に移っていった。

 

そういう事情も考慮して、とりあえず今回は三巻まで買ってあげるということで決まった。

 

子どもだもの。

 

漫画、読みたいよね。

 

大人だって読みたいんだから。

 

うちの実家はお小遣いの範囲内でなら基本的に何を買ってもOKの家だった。

 

だから、もらったらすぐに漫画を買ってしまうことも多かった。

 

兄とは趣味が違うからシェアできない。

 

つまり、欲しいものが出てきたらお小遣いを貯めるしかないということ。

 

段々と計画的に遣うことも覚えた。

 

夫の場合も自分は比較的自由にやらせてもらっていたらしいのに。

 

息子には漫画を一切与えなかった。

 

欲しがっていても、話も聞かずに却下した。

 

その代わりに学習用の本を与えた。

 

そんなの息子が読みたいかも分からないのに………。

 

私から見ても理不尽だと思うのだが、息子は決して歯向かうようなことはしなかった。

 

それがどれだけ危険なことかを知っているからだ。

 

 

 

 

ただひたすら与えられたものに対して「喜んでいるフリ」をしてやり過ごす。

 

そういう毎日だった。

 

そのうち、息子自身が何かをしたいとか欲しいとか考えるのを止めてしまった。

 

家を出た後も意見を持たない息子にヤキモキしたが、自然と変わってきたようだ。

 

今の環境なら自分の気持ちをちゃんと聞いてくれることを知っているんだよね。

 

今回欲しがったコナンの漫画だが。

 

ネットで注文することにした。

 

最新刊ならいざ知らず、お店に一巻から三巻までが揃っているとは限らない。

 

最近は配送も早いので注文を済ませればすぐに届くだろう。

 

今週はそれを励みに毎日を頑張るのだそうだ。

 

「学校でも同じようなのを読んでる子、いるの?」

 

と聞いたら、

 

「みんな色んなの読んでるけど、僕は『大人』な方」

 

と言うので笑ってしまった。

 

コナンで大人って。。。

 

子どもって時々とても興味深いことや面白いことを言う。

 

そんな発想もあるんだ、と驚かされることもある。

 

そうやって色んなやり取りを経験して大きくなっていくのかな。

 

「一気に読んじゃったらもったいないから、ちょっとずつ読むんだ~」

 

とワクワクした様子で話すのを見て、何だか私も嬉しくなった。

 

どうやら息子は小さな楽しみや幸せを見つけるのが得意みたいだ。