買ってきた刀をメンテナンスしていると、今までその刀を使ってきた人の苦労の跡が色々と出てきます。
写真は、買ってきた刀をバラしたときに出てきた、オリジナルで手作りされたと思われる切羽です。
右端は、厚手の革で作られた切羽です。
1ミリ位の厚さがあるでしょうか。もともと何の部品として使っていたかは分かりませんが、何かに使っていた革を切り抜いて切羽にしたものと思われます。
右から2番目のものは、銅です。
もともと切羽として作られたものかどうかかなり怪しいです。
通常折半として作られたものの場合、端のほうは昔の10円玉のようにギザギザが入っています。
しかしながら、この切羽にはそういうものが全くなく、茎を入れる穴もかなり不規則に削られています。外形も必ずしも整っていません。
自作のような感があります。
右から3番目、中央のものは、写真で見るとゴムのようですが、おそらく、テニスのラケットに巻くラバーを紙に貼り付けたものだと思います。
裏側から見るとはっきり上の模様が写っています。
その横左から2番目のものこれはこれも皮です。
比較的薄い皮で、皮ズボンの切れ端をくり抜いて切羽を作ったような感じです。
左端の切羽これは見ての通り厚紙です。
それぞれ、いろいろ工夫をして作られていますが、刀の柄も、長く使っているうちに、自然と木が痩せてきます。
すると、鍔と柄木の間に隙間が生じてきて、鍔がカチャカチャと音を出すように成り初めます。
それを抑えるためにいろいろ工夫をされた痕だと思います。
当店で、お客様のお刀のメンテナンスをしたりする時に、こう言う知恵が結構役に立ちます。
昔は、紙とラバーを組み合わせるような事はなかったかと思いますが、紙を切ったり革の端材を切ったりいろんなことをしながら、皆さん自分の刀のメンテナンスをしていたのだと思います。
最近では、当店だけの話かと思いますが、こういうガタツキや、鯉口の緩みを見て欲しいと来店されるお客様が増えました。
当店の場合、その場で治る様な、事ならその場で直したりしますし、当店で購入頂いた物や、工作させて頂いた物に付いては、使った材料(切羽1枚なら切羽1枚分)の金額でさせて頂いている事が殆どです。
ただ、個人的には、鯉口の緩みや、柄が痩せて来ての、ガタツキ程度の補修は自分で出来た方が良いと思ってます。
そうすると、自分の悪い癖(抜刀・納刀時)も良く分かって、拵も長持ちすると思います。
大変な豪刀で、鞘を払って1371gも有ります。
綺麗なので、いっそ掘り斬って観賞用にするのも良いかも知れません。
斬れ味は恐ろしい位ですけど。