【「先生、しびれが出てきました」】
外来でそう話す、50代の女性。
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少し不安そうな表情で、
こう続けます。
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「最初は、痛いだけだったんです。
痺れなんて、なかったのに……
何か悪くなったんじゃないでしょうか?」
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最初は無かった
”しびれ”が”出てきた”のですから、
この不安は、とても自然です。
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実は、これペインクリニック”あるある”で。
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痛みとしびれは、そもそも
「別の神経線維」で伝わっています。
だから起こる、痛み改善サインなんです。
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しびれは、太い Aβ線維(触覚・圧覚)
痛みは、Aδ線維 と C線維
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別々の神経“回線”で、
脳へ情報が送られています。
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痛みが極端に強いときには、
脊髄後角も脳も、
「危険信号」である痛みの処理に追われます。
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その結果――
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しびれの信号が脊髄に入ってきていても、
痛み信号を優先するので、
脳がしびれを認識できない状態に
なってるんですね。
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つまり、
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ぎっくり腰などでとても痛い時には、
”しびれ”がなかったのではなく、
感じられなかっただけ。
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だから、治療が進み、
痛みが少し落ち着いてくると――
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今まで認知できなかった感覚が、
ようやく表に出てきます。
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それが
「痺れが出てきた」という変化。
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痛み治療のプロの視点で見ると、
これは 悪化のサインではありません。
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むしろ、
痛みが軽減してきたサインなんですね。
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痛みが落ち着いたあとに
しびれが前に出てくるのは、
神経の状態が悪化したからではない。
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新しい異常が起きたからでもない。
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本来すでに存在していた感覚を、
脳がやっと感じ取れるようになった
だけなのです。
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外来では、こう伝えます。
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「それは治療が効いてきた証拠ですよ。
今までは、痛みが強すぎて
痺れを感じる余裕がなかったんです。」
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そう話すと、
患者さんの肩の力が、すっと抜けます。
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これは、
痛みとしびれを“同じもの”と考えてしまうと
必ず起こる誤解です。
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だからこそ、
正しく説明されるだけで、人は安心できる。
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医師による医学的論拠に基づく説明は、
何よりの薬である、というわけです。
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医療の役割は、
治すことだけではなく、
「不安を構造からほどくこと」なのです。
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難しい医学の神経解剖の説明や
センシティブな性の解説が、
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他の医師に比べて、
なぜ、私がYouTubeやSNSで
とても上手く分かりやすくできるのか?
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どんな訓練を受けてきたのか?
その秘密は、
また次回にお話ししましょう。
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■富永喜代プロフィール
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医療法人TMC(Tominaga Medical Communication)理事長。
富永ペインクリニック院長。医学博士。
465gの赤ちゃんから104歳の高齢者、
FIFA日本サッカー代表などのプロアスリート選手など、
(通常1日2人のところ)1日平均12人、
2万人超の臨床麻酔実績を持つ。
YouTube 総再生回数 7400万回突破。
チャンネル登録者数 30万人。
SNS総フォロワー数 45万人。
経済産業省
『平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業』を
委託されるなど、痛み最新医療のリーダーとして
注目されている。
確かな腕とユニークなキャラクターが人気を呼び、
NHK「おはよう日本」
などのテレビ出演多数。
肩こり改善メソッドの処女作
「こりトレ」(文藝春秋)は10万部など、
累計 100 万部の著者である。
