【 ペインクリニックの存在意義 】
「痛みでは死なないが、
人生の質(QOL)は確実に奪われる」
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日本は世界有数の長寿国ですが、
その実態を詳しく見てみると、
多くの人が「健康寿命」としては
決して長くない現実があります。
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その最大の要因の一つが
腰痛、ひざ痛、首の痛みなどの
『慢性痛』です。
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統計によると日本人の80%以上が
何らかの慢性痛を抱えながら
生活しているとされています。
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腰痛、片頭痛、肩関節周囲炎、
変形性膝関節症、脊柱管狭窄症、
帯状疱疹後神経痛(PHN)など、
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痛みの原因と病態は多岐にわたり、
それに伴う心身の負担も計り知れません。
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痛みは、本来、
「侵害受容性疼痛(nociceptive pain)」
として、外傷や炎症などの
異常を知らせる警告信号としての
役割があります。
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しかし、この痛みが
本来の原因が治癒した後も持続する場合、
それは単なる「症状」ではありません。
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「慢性痛症候群(chronic pain syndrome)」
へと移行し、神経系や心理面にまで
影響を及ぼします。
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慢性痛に陥ると、
単に痛みを感じるだけでなく、
扁桃体の活動亢進によって
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不安や抑うつ症状が増悪し、
痛みに対する感受性が過敏化するという
負のスパイラルに陥ります。
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この状態が長引くと、
「中枢性感作(central sensitization)」
と呼ばれる現象が生じます。
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痛みが癖になった状態、すなわち
痛みの閾値が低下、さらに
痛みの慢性化・増悪状態となります。
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また、慢性痛は
交感神経系の異常を伴うことが多く、
血流低下や筋緊張の亢進を引き起こし、
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高血圧症や糖尿病、免疫低下、
脂質異常などの症状を発症させます。
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【 ペインクリニックの役割とは? 】
このように、痛みは
単なる身体的な苦痛にとどまらず、
心理的・社会的な影響も大きい病気です。
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ペインクリニックでは、
この多角的な視点から
痛みの本質にアプローチし、
患者のQOLを向上させることを
目的としています。
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ペインクリニックで扱う治療は
多岐にわたり、以下のようなものがあります。
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1. 神経ブロック療法
局所麻酔薬やステロイド剤を使用し、
痛みの伝達を遮断する治療法。
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2. 薬物療法
鎮痛補助薬(抗うつ薬・抗てんかん薬)を
含む多様な薬剤を適切に使用。
オピオイド鎮痛薬(フェンタニルなど)の
適切な管理も重要。
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3. リハビリテーション・理学療法
運動療法(エクササイズ・ストレッチ)を
組み合わせることも重要です。
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当院はスポーツジムを併設し、
運動で痛みの根本改善を図ります。
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4. 認知行動療法(CBT)
痛みへの過剰な不安や恐怖
(カタストロフィック思考)を軽減し、
脳の痛み処理システムを適正化する。
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5. 補完医療(東洋医学・鍼灸療法)
東洋医学的視点から、
痛みの緩和を目的としたアプローチを併用。
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富永ペインクリニックには
鍼灸院リベラを併設しています。
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【 なぜペインクリニックに
「性交痛外来」や「ヘバーデン結節外来」を設置するのか】
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私のクリニックでは、
特にQOLに直結する痛みに焦点を当て、
全国でも珍しい「性交痛外来」や
「ヘバーデン結節外来」を設置しています。
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≪性交痛(dyspareunia)とは≫
性交時の痛みは、
単に身体的な不調だけでなく、
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パートナーシップの崩壊や
自己肯定感の低下につながる大きな問題です。
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性交痛の原因には、
閉経後のエストロゲン低下による
腟萎縮(GSM:genitourinary syndrome of menopause)、
筋肉の過緊張(腟前庭痛症:vestibulodynia)、
骨盤底筋力低下、手術後などがあり、
適切な治療が不可欠です。
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当院では、局所エストロゲン療法や
骨盤底筋リハビリ、
心理的カウンセリングを組み合わせ、
根本的な解決を目指します。
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≪ ヘバーデン結節と痛み ≫
指の変形と痛みを伴うヘバーデン結節は、
特に更年期以降の女性に
多く見られる疾患です。
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手の使用制限が生じることで
生活の質が著しく低下します。
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しかし、日本では未だ
「加齢のせい」「放置するしかない」
と言われることが多く、
専門的な治療を受ける機会が限られています。
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【 痛みの専門医が果たすべき役割 】
痛み治療は単に「鎮痛」ではなく、
「人間の尊厳を守る医療」です。
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慢性痛は、単なる病気の症状ではなく、
「独立した疾患」として
認識される時代に入っています。
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現代の医療では、
「キュア(治癒)」と「ケア(支援)」の
両面を考慮することが重要です。
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ペインクリニックの医師は、
痛みを単なる生理的現象としてではなく、
その背後にある心理・社会的要因を含めた
「全人的医療」を提供する責任があります。
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「痛みは、コントロールできる。」
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”痛みは我慢すればいい”
”痛みと共に生きる”ことを
強いられるのではなく。
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「自分らしい人生」を目指すために、
適切な治療を受けることが何より重要です。
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■富永喜代プロフィール
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医療法人TMC(Tominaga Medical Communication)理事長。
富永ペインクリニック院長。医学博士。産業医。
465gの赤ちゃんから104歳の高齢者、
FIFA日本サッカー代表などのプロアスリート選手など、
(通常1日2人のところ)1日平均12人、
2万人超の臨床麻酔実績を持つ。
YouTube 総再生回数 7000万回突破。
チャンネル登録者数 29万人。
SNS総フォロワー数 44万人。
経済産業省
『平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業』を
委託されるなど、痛み最新医療のリーダーとして
注目されている。
確かな腕とユニークなキャラクターが人気を呼び、
NHK「おはよう日本」
TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」、
などのテレビ出演多数。
肩こり改善メソッドの処女作
「こりトレ」(文藝春秋)は10万部など、
累計 98 万部の著者である。