ロケスカとサンバと草 | 世界の映画祭へ挑戦 世界中で劇場公開を目指して

世界の映画祭へ挑戦 世界中で劇場公開を目指して

(・ω・)ノこのブログはカメラ片手にバックパックを背負い世界4カ国へ渡航し完成させた長編映画とそれにまつわる日々を綴っています。世界中のあらゆる国際映画祭に参加し劇場公開を目指す、勝つか負けるか?生きるか死ぬか?崖っぷち日記です。

ロケハン

マウロが車を爆走させるので怖かった・・・

ロケーションスカウティングに行って来た。朝8時にマルとデアが車で迎えに来てくれる。三人でワイワイロケ場所を探して見て回る。僕だけテンションが低いと自覚はあった、今日をどのように終えるかも知らずに。少々小降りの雨だったが空は晴れて来た。なぜか今日は寒い。

SPのロケハンはかなりしんどい。とにかく道が一方通行。SPに慣れているマルでさえ、迷いまくる。デアもマルに地図を見ながら向う方向を指示するが、一度道を誤ると泥沼にはまったように元に戻るのが大変となる。人生っぽい。更に助手席で僕は気に入った風景があったら、FX1で撮影していた。


しかしある地域に入ると、マルとデアが「車が止まったらカメラすぐ隠してね、危ないから」と言い出す...強盗かと思った僕が「え...今昼間でしょ?」というと「昼も夜も関係ない」と言われる...それも車が止まったってちょっとした渋滞でなのに...要するにそういう状況のが強盗に襲われるらしい...車動けないから。あげくのはてに、もっと危ない地域をロケスカしている時は、マルは周囲に気を配り過ぎ、窓まで閉めて赤信号でも車を止めない...子供がナイフで襲ってくるからだそうだ...それもそこは滞在先の近所...どうやってこの街で撮影できんだ!と心の中で叫んだ。


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ロケスカは午前中尋常じゃない程かなり!沢山んの場所を案内してもらったけど、しっくり行くところがイマイチなかった。「どう?気に入ったとこあった?」と聞かれて困る。こういう時は素直に「いや、全くない」とは言いにくい。僕は車に乗せてもらってる立場なので、相手の気を悪くしないような言い方しか出来ない。「うーん、沢山観すぎて困っちゃうね」なんて言って笑いながらはぐらかした。でも、なんだかマルとデアの方が前向きで僕より張り切っていた。僕は体力の無さを嘆いていた。ある鉄道の線路付近のロケーションを歩いていた時、不思議な土器の破片といっしょに変な物を燃やした物が数々落ちているのに気がつく。マルが言うにはブラックマジックのおまじないらしい。こ、怖い...


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ちょっとバールでお茶して休憩する。ブラジルの酒を片っ端からバールのおっちゃんまで参加して色々説明してもらう。僕がピンガ大好きというと、なぜか皆大爆笑。なんでそんなに盛り上がる???

午後は「風景」と「地下鉄」のロケスカ。途中、デアの実家に寄る。いや、これが非常に独特な面白い作りの家。ラテンぽい。デアのお母さんがいらっしゃり、僕はなんとなくスペイン語と覚えたてのポ語で挨拶し世間話などする。なんだかその場が偉く盛り上がる。とての良いお母さんだった。日を追う毎に日本人との付き合いが減り、なんだか完全にブラジル社会に身を置いている自分に気がつく。

その後、車を置いて地下鉄に乗り。ロケスカ地下鉄を乗りまくり、窓から風景が見える駅と駅の間を何回か往復した。そして地上に出て「ルーズ」という駅だったかな?の周囲をロケスカ。ホテルなどが見つかったらとにかく片っ端から入り部屋を見せてもらう。ポ語が出来ないので、マルとデアが手動で動く。なんとなく頼りない自分。彼らのが積極的に動いているように見える。確実に。


マルはひたすら良いロケーションを見つける事に必死。デアはどこかよさそうな所を見つけると、実にマメにメモとデジカメで写真を取って行く。僕はただ一緒に歩く...デアは度々周囲を気にしながらデジカメをさっと鞄から取り出し、さっと撮影して、さっと鞄にしまう。昼間で人通りはあるロケーションばかりだったので、「なんで?」と聞くと、「強盗にやられるじゃない」と真顔で言われる...いやだって、こんなに周りに人がいて往来激しいのにな...

などと思いながらも三人でガシガシ歩いていると、途中、屋台で焼き鳥やら牛肉のクシ刺しなど焼いているのを発見。日本の焼き鳥をやや大きめにした感じ。炭火(ガスより安いかららしい)でにおいがたまらない僕は思わず買おうとする。マルとデアが焼き鳥を見て「それ猫の肉だよ」と冗談を言う。僕は真に受ける。詳しく聞いてみると、要するに屋台で売られている食べ物全般、どこでいつ買ったか分からない。


どんな素材でどんな衛生状態でどんな水を使ってどんな所で作られたものか分からないそうだ。所謂、危ないらしい。ブラジルでの基本。確かに路上で屋台をやっている人達は明らかに裕福で無い人達なので...でもこれは偏見でなく事実です...

なぜかマルもデアも嫌な顔せず黙々とロケスカを続ける。歩く歩く歩く。午後4時になった。「もうそろそろ良いんじゃない?...」と音を上げた日本人の自分。当然言い出せる雰囲気ではなかった。僕は、やはり声を大にして言いたい。ブラジル人フィルムメーカーは動きが俊敏でタフで根気強く働く。おもいっきり差別するとすれば、中流階級以上のブラジル人に限り、そんな印象を受ける。もうクタクタ。


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さすがにお昼ご飯を食べてなかったし今日は土曜日なのでフェジョアーダの日。フェジョアーダは大好物なので、休憩も兼ねて三人で食べに行く事になる。って、二人は夜もロケスカするつもり?デアの家の近所にフェジョアーダが上手いレストランがあるとの事。再度、デアの家に行く。彼女のおばさんとお父さんが帰って来てた。皆、僕がポルトガル語を話せないと言っているのにがんがんポ語で話してくる。偉く盛り上がる。デアのお母さんのブラジル式?手作りチェリーパイを摘ませてもらう...旨かった!!


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デアの家族とかなり大袈裟にお別れした後レストランにつく。まるで食前酒のように、フェジョン(あずき煮)が塩味あずきジュースになったようなものが、揚げたみじん切りのニンニクと刻みネギが出てくる。彼らの真似してそれらを入れて飲んでみる。はい、来ました。これ旨い!これは日本に帰っても是非作ろうと思ってしまう程のおいしさ。飲み物も発注。勧められるままに「カジュー」という果物ジュースを飲んでみる。これが旨い...日本語の「果汁(カジュー)」と同じ響きなので、すぐ覚えた。


興味が沸きカジューの実を見せてもらう。へんちくりん。ちなみに、カジューナッツがあるけど、まさに、それはカジューの実の茎?の部分を揚げたものだったと知った。勉強になる。そしてフェジョアーダを食べる。なんだか知らないが色々な種類のフェジョアーダを食べる。さすがにデアが良く行く店...ブラジル人の地元客が行く店...旨くないはずがない。しっかりがっつり食べる。なぜかたわいもない話で盛り上がる。

再びマルの車に乗ってロケスカに出かける。辺はすっかり暗かった。車の中で「今からメインのロケーションになる主人公達が住む家に行くよ」といきなり目的地を告げられる。聞いてないぞ、言えない身分ではないながらもあまり気乗りもしてなかった。なぜか車の中でもたわいもない事で話が盛り上がる。笑いが異常な程絶えないブラジル人は非常に明るい。

ある一軒家に付く。どうやらここがそのロケーションか...と思って失礼だが期待せず表玄関から中へ入る。実は、ここで今日のロケスカの疲労が全部吹っ飛んだ...


--------------------キタ (゚∀゚) ---------------------ッ!!

とはこの事だ。期待や予想を遥かに超えるその家はありえないロケ場だった。まさしくサンパウロに大金(個人レベル)叩いて映画をわざわざ撮りに来た意味があった!!と思わせてくれるくらい映画の撮影にベストな家だった。作りは限りなくユニークで古さも汚れ方も申し分ない。


崖?に無理矢理建てているので、丘の上からだと2階建ての家が、丘の下から見ると4階建てになっている。それととにかく家からの風景がすごい。サンパウロの中心にあるので風景がすご過ぎる...「それこそ南米だ!」と自信を持って言える風景。ありえない。こんなロケーションは、間違いなく地元の人間にしか探せない、と興奮し感謝した。

とにかく全ての部屋を案内してもらった。デアが「この家、アリの巣みたいでしょ?」と微笑んで言った。全く正しい比喩だ。映画が出来上がったら、このロケーションだけ見ても価値が出てしまう、そんなロケーション。やった...

そして、その家に住むご夫婦、ご主人と奥さんのルシアになんだか偉く気に入られる。ご主人がちょうどブラジル料理を作っていて、えっと、なんかえびとクラムと何かをごちゃ混ぜにしてハマグリくらいの貝に入れて焼いたものを勧められ食べてみる。いや、これがまたビールと良く合い美味でした。ブラジル料理、まだはずれなし。

僕も予想を遥かに超えるロケーションが見つかった喜びと不安からの解放でかなり有頂天になっていた。なんだかがんがんビールを出され、拒まずガンガン飲んだ。それは日本の酒場の酒の勧められ方に似ていた。サンバの音楽がかかり、とにかく僕がなんかポ語で言えば大爆笑になる。皆気持ち良く酔っぱらっていた。こういう酔い方が一番良い。とにかく日本では考えられない程話が盛り上がる。


そして、人生でもう二度とないだろうと思える程、主役的な立場になる。マルとデアに英語に訳してもらえるので、なんとなくコミニケーションがとれているだけなんだけど...それにしても盛り上がる。盛り上がる。盛り上がる。草も偉く良いものをガンガン皆で味わい喉が痛くならないし味が異常に良かった。いや、本当に楽しい夜だった。うん、楽しい夜だった。2回言う程。爆笑が4、5時間続くなんてありえない...

気がつくと夜の11時。さすがに朝8時からロケスカしてたからクタクタに...ご主人とルシアとがっしり抱き合い、マルとデアに車で茨城県人会まで送ってもらう。車から降り、二人に手を振ると「ちゃんと敷地内に入るのを見届けるから」と真顔で言われる。車から降り、表玄関の鍵をあけているときに、狙われるらしいからだそうだ...こわいな...

自分の部屋につくと、ワタルさんと廊下でばったり。前々から見たかったコロンビアの映画をわざわざDVDに焼いてくれて手渡してくれた。こういうのは日本で見たくても見れない映画。

ワタルさんに「あ、今日からサマータイムだから1時間時計を早めてね」と言われる。

時計を見ると午前12時。時計の針を一時間進めた。いつもなら、サマータイムは時間を損した気になるのだけど、今日は、得した気分しかしなかった。最高の一日でした。しかし、なんて濃い長い一日だったんだろう...