武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(62) 「風評」を流し続ける政府・自治体 | かたさん

武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(62) 「風評」を流し続ける政府・自治体

以下の記事、
武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(62) 「風評」を流し続ける政府・自治体
http://takedanet.com/2011/04/62_3969.html
よりの転載です。


原発 緊急情報(62) 「風評」を流し続ける政府・自治体




「風評」とは単に「うわさ」のことですが、最近では「事実ではない噂」のことで使われます。


福島原発事故が起こってからの主な風評(多くは風評より「ウソ」に近い。括弧は主として風評を立てた人と、それが風評である理由)は、


1.  被ばくしても直ちに健康に影響はありません
(官房長官。放射線の健康被害は一般的に晩発性だから)


2.  CTスキャンに比べて低いので健康に影響はない
(官房長官。CTスキャンは医療行為)


3.  規制値の3355倍でも健康に影響はない
(保安院。言うまでもなくウソ)


4.  学校は20ミリシーベルトまで良い
(文科省。1ミリシーベルト)


5.  福島県に汚染されていない瓦礫がある
(川崎市長。福島県の瓦礫が汚染されていないとしたら、福島県の放射線量が1時間0.03マイクロシーベルト付近でなければならない)


6.  福島県の野菜は安全だ。汚染されているというのは風評
(農業関係者?流通関係者? 川崎市長と同じく、理論的な間違い。福島県には原則として汚染されていない野菜や酪農品は無い。もしこれを言うなら「どのような方法で汚染を除去したか」を明示する必要がある。今の段階では「汚染されている」という方が風評ではなく、「汚染されていない」という方が風評。)


・・・・・・・・・


目の前に、2束の野菜がある。一つが「放射線物質で汚染されていない野菜」であり、もう一つが「規制値の2分の1の放射性ヨウ素で汚染されている野菜」とする。


それをスーパーの人が「大切なお客さん」に丁寧に事実を説明する。2つの野菜の値段は同じだ。


お母さんは考えることもなく、「放射性物質で汚染されていない野菜」を買う。あまりにも当然だ。


・・・・・・・・・


このお母さんの行為を批判している人が「風評被害を主張する人」です。その人たちは、お母さんの気持ちを理解できず、子供に被ばくさせようと懸命です。


なぜ、それまでして子供に汚染野菜を食べさせたいのでしょうか? この世に「汚染された野菜しかない」なら、あるいはいろいろな考え方もあるでしょうが、「汚染されていない野菜がある」のに、なぜ日本の子供達に汚染された野菜を「大丈夫だ」といって食べさせようとするのでしょうか?


おそらくは「お金」でしょう。お金が欲しいから子供を被ばくさせる、「このぐらい大丈夫」といって放射性物質が含まれている野菜を店頭に並べる、


一体、心優しい、子供を大切にしてきた日本の大人はどこに行ってしまったのでしょうか?


(平成23423日 午前10時 執筆)



武田邦彦