2024 正月東京ツアー 2
< 2日 >
ここは国分寺の殿ヶ谷戸(とのがやと)庭園。
毎年、1月2日は、東村山市の妻の実家に、年始挨拶にうかがいます。
その実家に行く最寄り駅が、西武鉄道多摩湖線の八坂。
JR中央線の国分寺から、多摩湖線に連絡しています。
昼過ぎに実家に行くまえに、午前中は国分寺近辺で時間を潰す。
殿ヶ谷戸庭園は、国分寺駅、南口を出て、わずか100メートルの場所にあります。
周囲をマンションとオフィスビル、商店に囲まれた場所なのに、忽然と広い日本庭園が現われる。
入り口を入ると、予想外に広い芝生の広場。
広場の奥に進むと、急に下りになって、途中にはよく手入れされた竹藪。
庭園のいちばん奥がもっとも低い所になっています。
下の池から見た茶室。 これだけの高低差があります。
入り口近くの看板に、この地形の成り立ちが説明されています。
江戸時代に大規模な治水工事がされるまで、関東平野を多摩川と利根川が縦横に流れて、何百年ごとの大洪水で流路を変えていました。
都内には、かつての多摩川の流れがつくった河岸段丘があちこちに崖として残っている。
崖上に降った雨が伏流水となり、崖の下に豊かな湧水となって現れる。
庭の奥の池。 ここらが、この庭のいちばんの見どころでしょうか。
こういう崖下の湧水の場所を、関東地方の方言で、ヤトというのだそうです。
ヤトは、農業の水源として大事だったでしょうが、大正時代に東京の郊外に作られ始めた、財閥系庭園は、高低差のある地形を利用して面白みを演出しています。
次の日、3日に尋ねた駒込の古河邸庭園とか、青山にある根津美術館の庭園も、同じように入り口から奥に向かって下り、いちばん奥に池がある作りになっています。
この殿ヶ谷戸庭園は、大正2年に、三菱財閥の重役だった江口定条の別荘として作られました。
別荘を資料館として公開しています。
別荘だから、いたって簡素な建物と内装です。
昭和4年には、三菱財閥の本家、岩崎家が買い取っています。
今回の東京ツアー。なぜか、岩崎家=三菱財閥のかつての栄光を辿る旅となってしまいました。
それは、続く。3日、4日の記事で取り上げます。
この説明板には、いまは東京都の庭園となっている、3つの庭園が載っていますが、これらは、かつては岩崎家という一家が持っていたものです。
たぶん、終戦後、財閥解体とか、相続税がどうのという理由で、東京都に押し付けたのでしょう。
何年か前に、上野近くの旧岩崎邸に行ってみました。
豪勢な洋館と和風のお屋敷がありましたが、説明板によると、元は今の10倍の敷地に、こんな洋館が、10軒ほど建っていたそうです。
これはもう「格差」なんて言えるものか分かりませんが、当時はものすごい差が有った。それを考えると、たまには大敗戦もいいもんです。
殿ヶ谷戸庭園を後にして、国分寺の駅ビルの中でお昼を食べて、お土産を買って、東村山の妻の実家に年始の挨拶に行きました。
それから、いまは群馬在住の次男と、どこかに行くつもりでしたが、次男は年末の風邪からの病み上がりなので、早々に群馬にもどり、私らは秋葉原のアパホテルに。
ここは秋葉原駅、電気街口の壁面。
東京で宿をとるのは、あちこち行くのに便利なので、中央線沿いを選んでいます。
外国の方が、よくこの前で自撮りしていました。
確かに、秋葉原に着いても、ここがその人の思っている「アキバ」だな、と言える写真が撮れそうな所は、他にはありませんからね。
しかし、元日の夜から、すごい人の波。話し声も日本語以外。
ホテルの説明には、電気街口を出て徒歩3分、とありましたが、初日は迷って、15分かかりました。 迷わなくても、3分ではない。
写真に撮っておけばよかったのが、ホテルの向かいの壁面の前に、長机を置いて、うちの近所なら野菜やミカンを並べる所に、ここはパソコンやスマホを売っていました。
屋台でパソコンを売る街。
元日から、2人で3泊して、4万8千円。安いけど。狭い。11㎡。
これでも去年に比べて、たぶん、1泊あたり、千円上がっている。
140センチ幅のベッドを置くと、残りは、50センチ幅のL字の隙間。
ダブルの部屋なのに、椅子は一つ。
問題はこのマクラ。 薄い座布団ほどの厚みもクッション性もない。
妻は、ふだんからペッタンコのマクラを使いますが、その妻が、厚みが足りないと。
私は、バスタオルを折りたたんで、その上にマクラを置いてました。
同じ安ホテルでも。マクラは3種あったりしましたが。
それでいて、この反対の壁面には、50型の巨大テレビ。
つまり、ネットの広告に書ける項目、50型テレビは有るけど、当然有るべき、椅子とかマクラに、お金を掛けない。
これが、バスとトイレ。
あいだにある洗面台は、今まで見た最小サイズ。
またトイレの便座が冷たくて、座るとヒヤッとしてウンチも引っ込む。
とても残念なことに、ビニールのカーテンが、酸っぱい臭いがしていました。
カーテンが酸っぱい臭いにならないように、ホテルのスタッフは、いろいろと気を使って管理しなければなりません。
それでもカーテンが酸っぱくなったら、取り換えないといけないでしょう。
浴室が酸っぱくっても構わない、という人が泊まるホテルなのかな?
今回は3連泊のプランで、部屋の掃除には入らないから安いという条件です。
毎朝、使ったタオル、バスタオル、ゴミを部屋の外に出しておくと、夕方、新しいタオル、バスタオルがドアの前に置いてあります。
1泊目に、間違って足ふきマットをびしょ濡れにしたので、翌朝、タオルと一緒に外に出しておきましたが、新しいマットはきませんでした。
だからこのホテルは、タオル・バスタオルを入れ替えるという、決められたこと以外はしない、というシステムです。
部屋に備え付けの雑誌。
「アップルタウン」というポップなタイトルなのに、中身はへんに硬派。
もう一冊の表紙のカンカン帽の人が、社長さんなんでしょうか?
宿代を少しでも安くするために、なるべく人を使わないようなシステムにする。
1階のロビーを通っても、カウンターに人がいたためしはない。
なるほど。その結果、浴室が酸っぱい臭いになったり、足ふきマットが2日間なかったり、マクラがペッタンコでも、致し方ないという考えですね。
そういう経営方針で、業績を伸ばしてきたのでしょう。
秋葉原は便利で、それなりに面白い街だと思いますが、来年は別のホテルにします。
これで、2日目は終わり。