もし私が誰かに連れ去られたとして、もしそうなったとして、おまえはわたしを助けようとするぞ。
最近あまり本を読めてなかったので久々の更新。やっぱり伊坂さんの作品は面白い。
この小説は、郵便小説として作られたとあった。毎回章を書き終えるごとに50名の方のポストに郵便で届くそうだ。小説や読書が多くの人に馴染みやすくするためにはとてもいいアイディアであると思う。
この物語は、星野一彦という人物と一人の女、この女性が怪物のような容姿で「あのバス」というキーワードをもとに星野の主導権を握っている。
星野には5股をかけている女性がおり、その女性たちに「あのバス」に乗って黙って別れるよりも「あのバス」に乗る前にきちんと別れを告げさせてほしいという内容から物語は始まる。
あのバスとは何か。それはわからないが、ただただ恐ろしい描写のみが残される。バスに乗った人間が帰ってきたとき、人間とカウントされない精神状態になるらしい。
この星野一彦という男。5股をしているのになぜか憎めない。これが伊坂さんの力であろうか。誤解のないように言うと、私は浮気をする人間の心理がわからない。好きな人を傷つける行為など人間の愚行以外の何物にも感じないからである。ただ、この本を読んで以来、少し星野さんの気持ちを理解できたような気がした。
別に何人も恋人は欲しいわけではない。体の関係を持ちたいわけでもない。それでも一緒にいるのが楽しく好きな人がただいるだけ。それが一人のときは一人で、五人なら五人、十人なら十人。と単にそれだけの話であった。そういったなににも縛られない自由さ、人の良さが星野一彦の魅力なのであろう。自分を棚に上げて、彼女がほかの男と仲良くするのに嫉妬するのも彼の純粋さを物語っているのであろう。
怪物女も合わせると6人の女と繰り広げられる謝罪劇。怪物女と結婚するから別れてくれという彼の頼みを5人は飲むことができるのか。
この女に負けた?別れたくない?それどころじゃない?
少し笑えて、感動できる。未来はわからない、それとも数字に願いをかける?そんなお話。