かんたん和声学

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14Apr
- 課題（第一転回形Ⅰ、Ⅳ、Ⅴを含む連結）を解いてみます
  今回は、和声学の課題で第一転回形のもの（Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのみ）のものを実際に解いてみようと思います。今回解いてみるのは、一番最初の記事でご紹介したSenzoku Online school of Music の「和声の祭典」の課題5-1です。ＵＲＬは、こちらです。和声学～洗足オンラインスクール・オブ・ミュージック (senzoku-online.jp)前回同様、楽譜に調子と和声記号を書き込みます。上の図の①と②の部分は、Ａ（ラ）の音なので、ⅥとⅣの第1転回形と2種類選択できます。①は、前回の記事でも書いた通り、次の音がⅤなので、Ⅳの1転を選択します。②の方は次がⅣなので、逆にⅥの方を選択します。上の図のように課題を解いてみました。解答結果は禁則がなく100点でしたが、上の例はあまり模範的な解答とは言えません。何故なら、ソプラノの音の上下の動きがほとんどなく、メロディーらしい動きがないからです。和声学の課題を解く場合は、「禁則がないか？」だけではなく、「ソプラノがメロディーらしい動きをしているか？」も考慮しながら解く必要があります。例えば以下のようにです。音楽理論ランキング
07Apr
- 3和音の第1転回形について
  3和音の基本形は、バスに根音を配置していましたが、3和音第1転回形になりますと、バスに第3音を配置させます。上の図のように、第1転回形の和音は、和声記号で右上に小さい「1」をつけて表します。過去記事「Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ和音についてのルール」で書きましたが、ⅠとⅣとⅤの和音は、第3音を2パートに配置するのは×となります。なので、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの和音の場合、バスですでに第3音を配置しているので、ソプラノ、アルト、テノールの3パートで第3音は使えないことになります。上の図のようになります。ただし、ⅡとⅥの和音の場合は、第3音2つでもＯＫでしたので、ソプラノ、アルト、テノールのうちの1パートで第3音を使っても〇となります。上の図の通りとなります。また、Ⅱの和音の第1転回形からⅤの和音に移行する際、最適な形というのがあります。上の図の⑯の形です。⑰のパターンも一応〇ですが、最適ではありません。さらにラ（A）からソ（G）に移行する際、（Ⅵ→Ⅴ）の進行も可能ですが、できるだけ（Ⅳの第1転回→Ⅴ）の進行にした方が望ましいです。上の図のようにです。音楽理論ランキング
01Apr
- 課題（短調）を解いてみます
  今回は、和声学の課題で短調のものを実際に解いてみようと思います。今回解いてみるのは、一番最初の記事でご紹介したSenzoku Online school of Music の「和声の祭典」の課題4-1です。ＵＲＬは、こちらです。和声学～洗足オンラインスクール・オブ・ミュージック (senzoku-online.jp)前回同様、楽譜に調子と和声記号を書き込んでいきます。なお、短調の場合は上の図の「a:」のように小文字で表記します。和声学の短調の課題を解く場合、気をつけなければいけない点が一点あります。それは下の図のようなケースです。上の図のように、例えばイ短調の場合、ラ（ヘ）とシ（嬰ト）の関係は長2度より半音広い増2度となるわけですが、このような音の間の進行は「増音程」と呼び禁則扱いとなります。ただし、この「増音程が×」とするのは、あくまでも和声学上のルールであって、実際に作曲する際は、あまり気にする必要はありません。「ない方が望ましい」という程度のレベルです。実際、曲の中に増音程が出てくるケースはいくらでもあります。こちらが、増音程で×となったケースです。そして、こちらが正解例です。音楽理論ランキング
31Mar
- 長調と短調の関係について
  前回の記事で、長調の音階について簡単に解説しました。ド：主音レ：上主音ミ：中音ファ：下属音ソ：属音ラ：下中音シ：導音の7つの音で、中音（ミ）と下属音（ファ）の間隔が半音、導音（シ）と主音（ド）の間隔が半音でそれ以外の間隔が全て全音なのが長調の音階です。短調は、長調と違い、上主音（レ）と中音（ミ）の間隔が半音、属音（ソ）と下中音（ラ）の間隔が半音となります。さらに長調と同様に、導音（シ）と主音（ド）の間隔が半音なので、下中音（ラ）と導音との間隔が半音広くなり増2度（全音の1.5倍）となります。つまり、長調と比較して、中音（ミ）と下中音（ラ）の2音が半音低くなるわけです。ハ短調の音階を鍵盤上に書き込んでみます。次に、ハ短調の音階を楽譜に表してみます。ハ短調の調号は、変ホ長調と同じ♭（フラット）3つを用います。そして、導音（シ）だけは臨時記号を用いて半音上げます。これを忘れないようにしてください。「半音下がるのは、ミとラの2音だけなのに何故♭3つなんだ？」と疑問に思われるかも知れませんが、そこは「そういうルールだから」と覚えてください。なお、変ホ長調とハ短調が同じ調号になると言いましたが、「ハ長調と同じ調号なしになる短調は？」と言いますと、それは「イ短調」です。こちらが、イ短調の音階です。導音に＃（シャープ）をつけて「嬰ト」にすることを忘れないでください。ハ長調とハ短調のように、主音が同じ音になる調の関係を「同主調」変ホ長調とハ短調のように、調号が同じになる調の関係を「並行調」と呼んでいます。並行調の関係を図に表すと次のようになります。なお、嬰ハ短調、嬰ト短調、嬰ニ短調、変イ長調、変ニ長調、変ト長調の6種類の調には、同主調がありません。何故なら、調号は＃、♭両方とも最大で6つまでというルールがあるからです。これらの同主調を作るとなると、調号の数が最大値の6をオーバーしてしまうからです。その代わりとして、次の組み合わせとして同種調を代用しています。変イ長調　：　嬰ト短調変ニ長調　：　嬰ハ短調変ト長調　：　嬰ヘ短調音楽理論ランキング
30Mar
- 調子と調号について
  上の図は、ピアノの鍵盤の図です。1オクターヴに、白鍵が7種類、黒鍵が5種類ですので、計12種類の音があるわけですが、その12種類の音には上の図のように名前がつけられています。日本語表記とローマ字表記の2種類があります。日本語表記の「嬰」は＃（シャープつまり半音上げる）の意味で、「変」は♭（フラットつまり半音下げる）の意味です。またローマ字表記の場合、「嬰」は「is」をつけて「変」は「esまたはs」をつけて表します。つまり、ピアノの黒鍵の5種類の音には、それぞれ2種類の呼び名があるわけです。そして、ハ（C）の音を主音とする長調の調子を「ハ長調」と呼んでいます。ローマ字表記では「C-dur」と表します。ハ長調の音階を鍵盤図に書き込んでみます。このようになります。そして過去記事「限定進行音について」でも解説しましたが、これら、ド～シの7種類の音に次にように名前がつけられています。ド：主音レ：上主音ミ：中音ファ：下属音ソ：属音ラ：下中音シ：導音そして、中音（ミ）と下属音（ファ）の間隔と導音（シ）と主音（ド）の間隔の2つだけ、それ以外に比べて狭く半分しかないことになっています。それでは次に、「ハ」の音から見て属音である「ト」の音を主音にして、ド～シの音を鍵盤図に書き込んでみます。上の図のように、7番目の音（導音）を通常より半音上げなくてはいけなくなります。そして、ト長調の音階ではデフォルトで「ヘ」の音に＃（シャープ）がつき、「嬰ヘ」になるわけです。なので、ト長調（G-dur）の場合、嬰ヘの音に調号の♯（シャープ）を一つつけて表します。次に「ト」の音から見て属音の「ニ」を主音にして同様に音を書き込んでみます。すると今度は、「嬰ヘ」だけでなく、「ハ」も半音上げて「嬰ハ」にする必要が生じます。このようにニ長調（D-dur）の場合、調号の＃がさらに一つ増えて＃2つになります。ハの音から見てトの音が属音となり、トの音から見てニの音が属音となります。属音が主音となる調子のことを「属調（ぞくちょう）」と呼んでいます。つまり、ハ長調から見てト長調が属調となり、ト長調から見てニ長調が属調となるわけです。そして調号は、属調になるごとに＃がひとつずつ増えていくことになります。各調子と調号の関係は、下の図の通りとなります。次に、「ハ」の音から見て「ヘ」の音を下属音と呼んでいますが、「ヘ」の音を主音として、また鍵盤に音を書き込んでみます。今度は、4番目の音を「ロ」から半音下げて「変ロ」にしなくてはいけなくなります。なので、ヘ長調（F-dur）の場合、変ロ（B）に♭（フラット）一つをつけて表します。次に、「ヘ」の音から見て下属音の「変ロ」を主音にして音を書き込んでみます。今度は、「ホ」の音も半音下げて「変ホ」にする必要が生じます。このように、変ロ長調（B-dur）の場合、調号の♭がさらに一つ増えて2つになります。ハの音から見てヘの音が下属音となり、ヘの音から見て変ロの音が下属音となります。下属音が主音となる調子のことを「下属調（かぞくちょう）」と呼んでいます。つまり、ハ長調から見てヘ長調が下属調となり、ヘ長調から見て変ロ長調が下属調となるわけです。そして調号は、下属調になるごとに♭がひとつずつ増えていくことになります。各調子と調号の関係は、下の図の通りとなります。以上の通り、長調の調子は13種類あることになります。ただし、嬰へ長調と変ト長調は事実上同じ調子とみなすので、実際には12種類ということになります。ちなみに、私は嬰へ長調と変ト長調の曲は見たことがないのですが、実際にあるのでしょうか？音楽理論ランキング
29Mar
- 例外的な連結（Ⅱ→Ⅴ、Ⅴ→Ⅵ）について
  和声学では、ある特定の和音の連結があった場合、守らなければならないルールが存在します。その守らなければいけないルールがあるのは、「Ⅱ→Ⅴ」の連結と「Ⅴ→Ⅵ」の連結の2パターンです。Ⅱの和音とⅤの和音には、Ｄ（レ）の共通音があります。しかし、Ⅱ→Ⅴに和音を連結させる場合には、Ｄ（レ）の音は保留させてはいけない。下行させなければいけないというルールがあります。そして、共通音（Ｄ）以外にも、ソプラノ、アルト、テノールの3パートは、一番近い音に下行させなくてはいけません。上の図の①が×のパターン、②が〇のパターンです。次に、「Ⅴ→Ⅵ」の連結パターンについてです。Ⅴの和音とⅥの和音には共通音はありません。しかし、第3音のＨ（シ）の音は導音で限定進行音であるため、次はＣ（ド）の主音に進行しなければいけないというルールがありました。そして、ソプラノ、アルト、テノールの3パートのうち第3音以外の2パートは、一番近い音に下行させなくてはいけません。上の図の③が×のパターン、④が〇のパターンです。また、「Ⅴ→Ⅵ」の連結の場合、Ⅵの和音は第3音が2パートになるケースが多いです。これも覚えておきましょう。音楽理論ランキング
28Mar
- 課題を解いてみます
  今回の記事では、和声学の課題を実際に解いてみようと思います。一番最初の記事でご紹介したSenzoku Online school of Music の「和声の祭典」の一番最初の問題を解いてみます。URLはこちらです。和声学～洗足オンラインスクール・オブ・ミュージック (senzoku-online.jp)今回解いてみるのは、上図の課題1の１番です。このような課題です。なお、Senzoku Online school of Music のWebサイトには書き込みできませんが、和声の課題を解くときは上図のように調子と和声記号を入れることを習慣にしましょう。「C:」と書いたのが調子でハ長調の意味です。なお、短調の場合は例えばハ短調「c:」のように小文字で表記します。Ⅰ、Ⅳ、Ⅴとローマ数字で入れたのが和音を表す和声記号です。こちらが悪い例です。そして、こちらが正解例です。音楽理論ランキング
26Mar
- 禁則・並達1度について
  今回は、並達1度の禁則について説明します。前回、並達5度、並達8度の禁則について説明しましたが、並達5度と並達8度で考慮に入れるパートは、ソプラノとバスでした。変わって並達1度の場合、考慮に入れるパートは、テノールとバスになります。上の図が並達1度の禁則の例です。このパターンは、過去記事「和声学の基本的ルール」で紹介した通り、「声部の交叉」に相当するので、基本的に×となるのですが、唯一例外的に〇となるパターンがあります。次のようなパターンです。上の図のように、Ⅴ→Ⅰの連結で、テノールが短2度上昇、バスが完全4度上昇する場合のみ例外的に〇となります。つまり、テノールが導音（シ）から主音（ド）に、バスが属音（ソ）から主音（ド）に移行する場合です。音楽理論ランキング
25Mar
- 禁則・並達5度・並達8度について
  今回は禁則の並達5度と並達8度について解説します。この並達5度と並達8度は、和声学を学び始めた人が最初にぶつかる壁だと思います。私も覚えるのに相当苦労しました。頑張って覚えましょう。まず、並達5度と並達8度の禁則は、ソプラノとバスの組み合わせによってのみ対象となります。アルトとテノールは考慮に入れる必要はありません。上の図の①が並達5度、②が並達8度の禁則の例です。それぞれ、後続音程のソプラノとバスが、5度あるいは8度となっている場合、禁則となるのですが、並達5度、並達8度の禁則とみなされないいくつかの例外があります。次にそれらの例外について挙げますが、これらの例外に当てはまらない場合のみ禁則となります。例外１：ソプラノとバスが反行している場合上の図のように、ソプラノとバスのパートがそれぞれ、上行、下行が逆になっています。これを反行と呼びますが、反行している場合は例外とみなされ〇となります。例外２：ソプラノまたはバスが保留している場合上の図の⑤と⑥はソプラノが、⑦と⑧はバスがそれぞれ同音で進行しています。この場合を保留と言いますが、ソプラノかバスのどちらかが保留している場合は例外とみなされ〇となります。例外３：ソプラノが順次進行している場合上の図の⑨と⑩では、ソプラノが2度で進行しています。これを順次進行と呼んでいます。それに対し、①と②では、ソプラノが3度以上で進行しています。これを跳躍進行と呼んでいます。ソプラノが順次進行している場合は例外とみなされ〇となります。ただし、ソプラノが跳躍進行し、バスが順次進行している場合は例外とならず×となりますので、ご注意ください。以上が、並達5度、並達8度の説明となりますが、実際に和声学の課題を解く際、並達5度、並達8度の禁則を犯さないために次の点を注意する必要があります。・ソプラノを跳躍進行させる場合は、バスと反行させるようにする。・ソプラノを跳躍進行させる場合は、バスと3度または6度になるようにする。音楽理論ランキング
24Mar
- 禁則・連続8度、連続1度について
  前回の記事で、禁則の連続5度について解説しましたが、連続5度と同様に連続8度と連続1度も禁則とみなされ、×となります。具体的に次のようなパターンが×となります。ただし、この連続8度と連続1度の禁則は、あくまでも、ソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートのみの和声学上での禁則です。実際に作曲を行う際、例えばパート数の多いオーケストラ曲などを作曲する場合には、この禁則は全く考慮する必要はありません。音楽理論ランキング
23Mar
- 禁則・連続5度について
  和声学には、「このような和音進行は行ってはならない」という禁則がいくつか存在します。今回取り上げる「連続5度」の禁則は、和声学で定められている中で、最も代表的な禁則です。まず、この連続5度の禁則ですが、ソプラノ、アルト、テノール、バスのどのパートの組み合わせであっても禁則となります。連続5度とは、上の図の①のように2つ以上のパートで完全5度が連続して進行することです。和声学では、これを禁則として×と扱います。ただし、②は①と似たような和音進行に見えますが、②の場合は連続5度ではなく、連続4度なので、この場合は〇とみなします。また、上の図の③④⑤のように連続12度、5度→12度の進行、12度→5度の進行も、同様に連続5度とみなし、×となります。ただし、唯一例外的に連続5度が〇となるケースもあります。それは、上の図の⑥のように、後続音程が減5度、つまり完全5度よりも半音狭い5度の場合です。この場合は〇となります。ただし、⑦のように先行音程が減5度で後続音程が完全5度の場合は×となります。和声学で定められている禁則は、あくまでも和声学内だけのルールであって、実際に作曲する場合に、和声学の禁則を守らなければならないというわけではありません。現に多くの作曲家が作曲した曲で、和声学の禁則を無視して作曲されたケースが数多くあります。しかし、作曲する際は、この連続5度の禁則だけは意識された方がいいように思います。音楽理論ランキング
21Mar
- 限定進行音について
  今回は、限定進行音についてご説明します。その前に、各音の名称について触れたいと思います。ハ長調の音階には、上の図のようにＣ～Ｈ（ド～シ）の7種類の音があるわけですが、その7種類の音には、それぞれ名前がつけられています。C（ド）：主音D（レ）：上主音E（ミ）：中音F（ファ）：下属音G（ソ）：属音A（ラ）：下中音H（シ）：導音とりあえず、主音と属音（ぞくおん）と導音（どうおん）の3種類だけ覚えましょう。それ以外はおいおい覚えていけばいいと思います。前回と前々回の記事でカデンツについて説明しましたが、ドミナント（D）から進行が許されるのはトニック（T）のみです。従って、Vの和音の次に進行が許される和音は、ⅠとⅥのみということになります。上の図がⅤの和音ですが、第3音が導音となります。そして、導音は主音に進行しなければならない。それ以外の音へ進行してはいけないというルールがあります。これを限定進行音と呼んでいます。進行が一音のみに限定されるので、この名前がついています。なお、Ⅴの和音の第3音（導音・限定進行音）は、省略も×ですし、2パート以上に配置するのも×です。下の図が正しい例です。そして、下の図が誤った例です。音楽理論ランキング
20Mar
- カデンツについて（続編）
  前回の記事で、カデンツを構成する和声機能には、次の3種類があることを説明しました。トニック(T)・・・Ⅰ、Ⅵドミナント(D)・・・Ⅴサブドミナント(S)・・・Ⅱ、Ⅳそして、これらの和声機能のうちＤ　→　Ｓの進行が×となり、それ以外は全て〇となるのですが、これが、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの5種類の和音になると、ルールはさらに複雑になります。まず、同じトニック（T）同士でも、・Ⅰ　→　Ⅵ　の進行は〇ですが、・Ⅵ　→　Ⅰ　の進行は×となります。同じ、サブドミナント（S）同士でも、・Ⅳ　→　Ⅱ　の進行は〇ですが、・Ⅱ　→　Ⅳ　の進行は×となります。また、サブドミナント（S）からトニック（T）への進行は〇ということになっていますが、・〇なのは、Ⅳ　→　Ⅰの場合だけで、・Ⅳ　→　Ⅵ　の進行は×・Ⅱ　→　Ⅰ　の進行は×・Ⅱ　→　Ⅵ　の進行は×となります。図に表すと次のようになります。そして、カデンツには、次の16種類が存在することになります。Ｋ１：　Ⅰ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ１：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ１：　Ⅰ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ１：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ２：　Ⅰ　→　Ⅳ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ２：　Ⅰ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅳ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅳ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅠＫ２：　Ⅰ　→　Ⅳ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ２：　Ⅰ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅳ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ２：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅳ　→　Ⅱ　→　Ⅴ　→　ⅥＫ３：　Ⅰ　→　Ⅳ　→　ⅠＫ３：　Ⅰ　→　Ⅵ　→　Ⅳ　→　Ⅰ音楽理論ランキング
17Mar
- カデンツについて
  今回は、カデンツについてご説明したいと思います。初めての方には「カデンツ」なんて、いきなり聞きなれない言葉が出てきたかと思いますが、カデンツとは、和音の組み合わせの単位のことです。全ての曲は、この「カデンツ」つまり和音の組み合わせの連続で出来上がっています。そして二つ前の記事で、和声学では、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの5種類の和音を扱うとご紹介しましたが、これらの5種類の和音は、次の3種類の和声機能に分類できます。3種類の和声機能とは、トニック(T)、ドミナント(D)、サブドミナント(S)です。そして、5種類の和音は、それぞれ下のように分類されます。トニック(T)・・・Ⅰ、Ⅵドミナント(D)・・・Ⅴサブドミナント(S)・・・Ⅱ、Ⅳまたまた聞きなれない言葉が出て来たかと思いますが、トニック(T)は一番優先度の高い和音、ドミナント(D)はトニック(T)に次いで優先度の高い和音、サブドミナント(S)はあまり優先度の高くない和音と覚えてください。そして、これら和声機能には、次のようなルールがあります。・カデンツの始まりと終わりは、Ｔであること・Ｔ　→　Ｄ　の進行は〇・Ｔ　→　Ｓ　の進行は〇・Ｄ　→　Ｔ　の進行は〇・Ｄ　→　Ｓ　の進行は×・Ｓ　→　Ｔ　の進行は〇・Ｓ　→　Ｄ　の進行は〇図に表すと次のようになります。以上より、カデンツには次の3種類があることになります。そして曲はこれら3種類のカデンツの組み合わせで成り立っています。Ｋ１：　Ｔ　→　Ｄ　→　ＴＫ２：　Ｔ　→　Ｓ　→　Ｄ　→　ＴＫ３：　Ｔ　→　Ｓ　→　Ｔ初めての方は大変かも知れませんが、ここはしっかり覚えましょう。音楽理論ランキング
16Mar
- Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ和音についてのルール
  前々回の記事で、ハ長調（C）のⅠの和音について、以下の図のようなルールがあると解説させていただきました。今回は、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの和音のルールについて解説したいと思います。まず、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの和音それぞれ共通して、・第3音の省略は×です。・また第5音の省略も×です。また、Ⅳ、Ⅴの和音については、Ⅰの和音と同様に①根音を2パートに配置は〇です。②第5音を2パートに配置も〇です。③ただし、第3音を2パートに配置は×です。そして、Ⅱ、Ⅵの和音については、①根音を2パートに配置は〇②第5音を2パートに配置も〇③第3音を2パートに配置も〇となります。ここは、しっかり覚えておきましょう。音楽理論ランキング
15Mar
- 和声学で使用する和音は基本5種類
  例えばハ長調（C）の曲の場合、使用する基本的な和音は、次の7種類となります。しかし、これらの和音の中で和声学で使用する基本和音は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの5種類で、Ⅲの和音とⅦの和音は基本的に使用しません。この理由について、簡単にご説明しようと思います。前回の記事でご紹介したハ長調（C）のⅠの和音ですが、この和音に第7音のシを付加してみます。これを、Ⅰの七の和音と呼びます。さらに、この和音に第9音のレを付加してみます。これを、Ⅰの九の和音と呼びます。これら、七の和音、九の和音のことを付加和音と呼んでいます。そして、和声学では、付加和音は根音を省略してよいというルールがあります。根音省略形の和音を和声記号では、上のようにスラッシュ（／）をつけて表します。上の和音をそれぞれ、Ⅰの七の和音根音省略形Ⅰの九の和音根音省略形と呼びます。そして、一番最初に挙げた7種類の和音の七の和音根音省略形を次に表してみます。ここまで読まれた方は、もうお気づきかと思いますが、Ⅰの七の和音の根音省略形は、Ⅲの和音とイコールにⅤの七の和音の根音省略形は、Ⅶの和音とイコールになっています。これが、和声学でⅢの和音とⅦの和音を用いない理由です。つまり、Ⅲの和音はⅠの和音と同類、Ⅶの和音はⅤの和音と同類とみなすからです。音楽理論ランキング
14Mar
- 和声学の基本的ルール
  まず、和声学の基本的なルールを解説します。和声学では、ソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートを用いますが、これら4パートには、それぞれ定められた音域があります。これらの音域からはみ出してはいけません。また、4つのパートの間隔は、次の範囲内でなければいけません。ソプラノ－アルト間：1度（同音）～8度（1オクターヴ）アルト－テノール間：1度（同音）～8度（1オクターヴ）テノール－バス間：1度（同音）～12度（1オクターヴ＋5度）ただし、テノール－バスの間隔は、一時的だけなら12度を超えても許容されます。上は、ハ長調（C）の一番基本的な和音、Ⅰ（ドミソ）の和音ですが、ドの音を根音（こんおん）、ミの音を第3音、ソの音を第5音と呼びます。これらの音を、ソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートに配置する際、次のようなルールが定められています。①第3音の省略は×です。②根音を2パートに配置は〇です。③第5音を2パートに配置も〇です。④ただし、第3音を2パートに配置は×です。（これは一部例外もあるのですが、それは後ほど解説します）⑤第5音の省略も〇です。ただし条件つきの〇で、用いていいのは終止形、曲の最後の時だけです。また、和声学では「声部の交叉（こうさ）」というのも禁止されています。声部の交叉とは、簡単に言えば、和音が移行する際、あるパートが隣のパートの前の音を追い越してしまうことです。上の図の①で、テノールがソからミに跳躍していますが、前のアルトの音レを追い越してしまっています。この場合×となります。なお、②のようにアルトがラからドに跳躍していますが、ソプラノの前の音は同じドの音で追い越していないので、この場合は〇とみなします。音楽理論ランキング
13Mar
- 和声学を始めよう
  和声学とは、音大の作曲科を受験する人などが勉強する音楽理論の一つです。「和声学なんか勉強しなくても作曲はできる」と、よく言われます。実際そうです。和声学を勉強しなくても、作曲はできるようになります。しかし、これから作曲を始めてみたいという人には、和声学を勉強することを強～くおススメします。何故なら、和声学を勉強したら、作曲が非常に楽しく楽にできるようになるからです。和声学と言うと、一般的にハードルが高いというイメージがありますが、その和声学を初心者でも分かりやすいように易しく解説していこうと思います。和声―理論と実習 (1)Amazon（アマゾン）1,999〜6,950円まずは、テキストの第1巻を入手しましょう。東京芸術大学音楽学部によって編纂されたテキストで第3巻まであります。和声―理論と実習 (2)Amazon（アマゾン）2,140〜7,920円和声―理論と実習 (3)Amazon（アマゾン）5,500〜13,740円和声学のテキストは、第1巻が約170ページ、第2巻が約200ページ、第3巻が約470ページというように、後に行くほどボリュームが大きくなります。また、洗足学園音楽大学が、Web画面上で和声学を独学できる Senzoku Online school of Music というのを公開しています。以下がURLです。和声学～洗足オンラインスクール・オブ・ミュージック (senzoku-online.jp)Web画面上で課題を解いた後、ボタン一つでコンピュータが自動で採点してくれるという優れものです。また、この Senzoku Online school of Music の和声学の課題集テキストも出ています。ネットで採点和声学課題集 IAmazon（アマゾン）1,506〜5,461円ネットで採点和声学課題集IIAmazon（アマゾン）1,980〜5,461円ただし、 Senzoku Online school of Music のWebサイトとテキストは、解説があまり詳しく書かれていないので、先にご紹介した芸大和声のテキストと並行して用いるといいと思います。私は、和声学の勉強と作曲に、KAWAIから出ている「スコアメーカー」というソフトを使用しています。スコアメーカー PlatinumAmazon（アマゾン）44,600〜59,040円このスコアメーカーを用いると、和声学の勉強と作曲が楽にできるようになりますので、予算に余裕のある方は購入することをお勧めします。和声学では、下のような特殊な「和声記号」という記号を用います。この和声記号をパソコン上に表示させるための「和声記号フォントパック」というのが出ていますので、スコアメーカーと合わせて使用するといいでしょう。和音記号フォントパック | ソフトウェア,フォント | StoneMusic オンラインストア (stonemusic-store.jp)次回からは、和声学の本格的な内容の解説に入りたいと思います。音楽理論ランキング