今回の基地祭の目玉の一つ、P-3Cのフルフライトシミュレーターに搭乗してき
ました。整理券の配布は操縦訓練講堂前で午前の部は09:00、午後の部は11:30
の2回のみです。確実にゲットしたかったら1時間前には並んだほうがいいと思います。
私たちは10:20から11:30の整理券配布の列に並んで13:00~13:15の部をゲットし
ました。
搭乗は15分間隔で行われ1回5人までとなってます。定員は午前60名、午後70名。
左の機長席に座って1人あたり3分間、厚木基地への着陸の操縦を体験することが
できます。数億円するフルフライトシミュレーターですから実機とまったく同じ操縦感覚
です。普段は実際にP-3C乗務員の養成や実機で行うのは危険な非常時を想定した
操縦法の訓練に使用しているものです。右席にはP-3Cの現役パイロット(教官)が座って
指示を出してくれたり、補助をしたりしてくれます。
4発の大型プロペラ機ですからコックピットは複雑ですね。しかも古い機体なので
アナログです。CRTが並ぶハイテク機と違ってそこが渋いんですけどね。
最初は私の番です。機長席に座り、正面に厚木の滑走路が見えたところから始めます。
まず操縦桿を握ってみました。「ん?重い...」
教官「大きな機体だから操縦桿が重いでしょう、操作後の反応も少し遅れて反映される
から注意してくださいね。」
要するに操縦桿で左旋回を行ったとしても、それが反応するのは2秒くらいかかるというこ
とです。だから旋回が甘いな?と思って大きく左に切ったりすると予想以上に大きな
バンクになって取り返しがつかなくなるということです。
横風0ノットならば理論的に操縦桿を左右に動かさなければ滑走路の中心からずれること
はありません。操縦桿を下に押して計器の水平儀を見ながら約3度の角度で降下を開始
したのですが、微妙に左に流されています。左旋回をしていないのにおかしいな?と思っ
て教官に「横風は吹いていますか?」と質問しました。
「今日は風は入れていないです。」とのお答え。
どうやら機体の特性で左に流されていくようです。滑走路が迫ってくるので詳しい説明を聞
く暇はありませんが、プロペラ機はその回転方向に力が働き、ややずれていく傾向があり
微調整をしないと、なかなかまっすぐ飛べないとどこかで聞いた覚えがあります。
教官「厚木は下総と滑走路の長さも方位もほぼ同じですから、下総と同じ感覚で練習でき
ます。」
教官「ちょっと高すぎますね。もう少し降下率を上げていただけますか?」
と指摘を頂きましたので水平儀、高度計、そして景色の滑走路と目でクロスチェックしなが
ら正常な進入パターンに乗せていきます。シミュレーターの箱が実機に忠実に動くので
身体もリアルに降下している感覚を覚えます。揺れ方もリアルです。
厚木の滑走路が目の前に迫ってきました!左右に操縦桿を微妙に切ってセンターライン
にあわせます。
スタッフ「おー、いい感じですねー」
教官「はい、いい感じですよ。」
高度50フィートをきったところで操縦桿を手前に引いて、ランウエイの接地帯めざして後輪
から接地させました。しかし、若干センターラインを外してしまったので、座っている位置の
左下にある地上用ステアリングをあわてて探して切りました。ここで終了。
教官「いやあ、いい着陸でしたね。」
私「ありがとうございました。」
教官「普段からゲームのシミュレーターとかやられてますか?」
私「いいえ、でも航空会社に勤めてるんです。」
教官「ああ、なるほどね。」
そう、本社に出張した際にはB777-200のフライトシミュレーターとかさせてもらったことが
ありますし、10年程前に日本の某エアラインのパイロット採用試験でフライトシミュレーター
を2日間操縦して技量の習得センスを見る試験があり、基本操作を現役機長から学んだ
ことがあるのです。でも、すかっり忘れちゃいましたし、身に付いてないんですけどね。
しかし、無風の状態で、しかもパワー等、操縦桿操作以外のことは教官に操作してもらっ
ているのにこの難しさですから、強い横風や悪天候の中で運航する本物のパイロットの
技量はやはり神業としか思えません。私なんか風が吹いたらもうお手上げです。
(左)うちの奥さんが機長席で操縦している様子。ランウエイ手前でクラッシュしてしまい
ました。機体は大きく揺れますがシミュレーターなので大丈夫(笑)
私も奥さんも素晴らしい体験でした!下総基地は他の基地の航空祭とは一味違う魅力が
あります。今日も大満足です。来て良かった!
(左)P-3Cのフルフライトシミュレーター この箱の中に8人ほど乗り組んで試乗しました。
揺れもリアルです。 下総航空基地・操縦訓練講堂にて
(右)P-3Cの実機 下総航空基地のエプロンにて