4月29日(昭和の日・祝日)のJRウォーキング「天拝山駅」の報告です。
正式コース名は「大歳神社・武蔵寺の見事な”藤”観賞と筑紫野の里山散策」。
香椎駅から普通電車でスタート駅の「天拝山駅」へ。ゴールは二日市駅です。
”天拝山(てんぱいざん)”とは二日市から南へ徒歩で約20分、標高257mの山です。
大宰府に流された「菅原道真」が無実を訴えるために、何度もこの山に登り、天を拝したという言い伝えに由来しています。
「天拝山駅」

この電車からはウォーキング参加者が60~70名は降りたでしょうか。
皆さん、”藤”の観賞が楽しみで来られたのでしょう。
受付を終り、ウォーキング地図を確認して9時35分に出発。
ウォーキングコース地図

駅東側の道路から線路の南側に渡ると左右の緑が多くなります。淡い新緑が綺麗です。

しばらくすると「旧九州鉄道城山(きやま)三連橋梁」に着きます。
「旧九州鉄道城山(きやま)三連橋梁」

九州で最初に鉄道が開通したのは明治22年(1889)。博多・久留米(千歳川仮駅)間を走りました。JR九州の前身は国鉄。その前身は民間の「九州鉄道」。鉄道導入の際、東京では英国方式、九州ではドイツ方式が採用されました。その時造られた当初の橋梁です。勿論、ドイツの技術によって造られました。鉄道は大正9年に複線化のため200m東に移動しますが、橋梁は生活道路として使用され現在に至っています。国の有形文化財登録です。
眺めていると”明治の浪漫”を感じます。
ここからしばらくの間は田園風景の中を歩きます。
途中、一面の蓮華畑が素敵でした。
田園の中を歩く 蓮華畑


里山を流れる”山口川”のせせらぎが心地よい。
都会では見ることが出来なくなった懐かしい風景。
里山を流れる”山口川”

健康維持の為に”ウォーキング”に参加するようにしたのですが・・・心の洗濯と言うか・・・こうして自然の中に身を置くと、生きている有りがたさも実感できますね。
大歳神社(おおとしじんじゃ)に到着です。
筑紫野市の二大「藤棚」の一つを”大歳神社”の境内で観賞できます。
大歳神社

ご祭神は”大歳神”(おおとしのかみ)で日本神話の神様です。出雲で素戔鳴尊(すさのおのみこと)の子供としで生まれました。農業に熱心で”穀物の神様”として日本各地で祭られています。古来より二日市は米作りに精を出していた地ですから、”大歳神”(おおとしのかみ)を勧請したのでしょう。
拝殿の前で一対の狛犬が迎えてくれました。ところが、その奥にもう一対の狛犬?がいました。神様の前で笑ってはいけませんが、この狛犬はどう見ても・・・鼻が”豚さん”にしか見えないのですが・・・。
狛犬たち 豚さん鼻の狛犬


この数年、神社の狛犬を見て廻りましたが、逆立ちをしてたり、笑ってたり、お手をしてたり、色んな狛犬がいました。
香椎宮とか筥崎宮とは違って、農村の鎮守として建てられた神社にはユーモラスな狛犬が居ます。
助け合って農業を営む共存体制から、村人によって設置された微笑ましい姿の狛犬なのではないでしょうか。村のお祭りの時などに、この狛犬の顔が子供たちを楽しませます。いいじゃないですか。
大歳神社の境内にある「藤棚」です。筑紫野市の二大「藤棚」の一つ。
見事な美しさです。
大歳神社の「藤棚」

日本では古くから”藤(フジ)の花”を女性に例えてきました。心静かに見つめていると、”和”の風情を感じますし、長く垂れた花房は振袖姿のつつましい日本女性を思わせます。
花言葉は日本女性が持つ「優しさ」です。
しばし見惚れていました。
戻りは山口川の対岸の農道を下り、木屋町橋から二日市駅方面へ向います。

二日市の街並みが近くなって来ました。
二日市の町並みが・・・

後方に宝満山(右)と四王寺山(左)が見えます。大友家の戦国武将・高橋紹運(たかはしじょううん、立花宗茂の実父)の主城(宝満城)と支城(岩屋城)が築かれた山です。
1586年、島津軍が筑前・博多に攻め込んできます。大友宗麟は高橋紹運に豊臣秀吉の援軍が到着するまで時間を引き延ばし、筑前国を守るよう命を出します。高橋紹運は自分を慕う763名の家来を選んで岩屋城に篭り、15日間戦って全員玉砕しました。
時間の引き延ばしに成功。この後、黒田官兵衛が率いる援軍が到着したのです。
この写真を撮った場所付近を、数万の島津兵がこの後に戦う二つの城を眺めながら通過したのでしょう。
*この辺のことは、宜しければ「立花宗茂と香椎宮」の4章をご参照下さい。
”高取焼”の窯元に着きました。
ちょうど”窯開”の期間中でした。
「高取焼」の窯元

高取焼は秀吉の朝鮮出兵の際、黒田長政が陶工を連れ帰って焼かせたのが始まりで、九州各地の窯(鍋島藩の有田焼、島津藩の薩摩焼など)と同様で時代を同じにしています。
窯開で並べられた作品


黒田藩の御用窯として繁栄し、その後、幾つかに分窯されたようです。小石原など、今日まで至るところで更に技法が高度化した繊細な作品が焼かれています。
ここもその一窯です。気品を感じる作品ばかりでした。
高取焼からしばらく歩くと”天拝山自然公園”に到着です。
この日は「二日市温泉”藤祭り”」が開かれていました。町興しで毎年4月29日に開催されているようです。大勢の家族連れが来場していました。
天拝山自然公園

水上ステージでは吹奏楽部の演奏や小中学生の踊りイベントで盛り上がっています。
祭り広場の先の「武蔵寺(ぶぞうじ)」の境内に、二大「藤棚」のもう一つ「長者の藤」と呼ばれている藤棚があります。
まずは、武蔵寺(ぶぞうじ)本殿にお参りです。
武蔵寺(ぶぞうじ)

天台宗のお寺で創建年は定かではないようです。境内の遺物を調べた結果、11世紀には建立されたことは間違いないようで、九州で最も古いお寺になります。
寺名は東国の武蔵国からお坊様が来られたので「武蔵寺(ぶぞうじ)」になったそうで、「二日市温泉」も昔は「武蔵温泉」と呼ばれていたのです。武蔵寺の御本尊は”薬師如来”です。
薬師様は人々の心身の病気を治すとされていて、湯治場としての二日市温泉(武蔵温泉)と繋がりを持っていたのでしょう。
境内の庭園が素晴らしく歴史を感じさせます。
下の写真は「心字池」の淵から太鼓橋を撮っています。
「心字池」

「長者の藤」です。樹齢1300年と記されていました。
「長者の藤」

200平方mの広さに藤の花が広がっています。市指定の天然記念物です。
大歳神社の藤棚よりも規模が大きいように感じました。
藤棚の真ん中に立つと、淡い薄紫の花房からほのかな香りが漂ってきます。
「長者の藤」

しばらくベンチに座り、”長者の藤”を観賞してから二日市に向います。
何処で撮ったのか分からなくなりましたが、コースの途中で「庚申天尊」と「猿田彦」の石碑をみつけましたので紹介だけしておきます。
庚申天様 猿田彦様


ウォーキング地図のコースの最後に二日市温泉があり、”「御前の湯」で入浴料通常200円が100円”と案内が書いてありました。
今日は約14kmを歩いています。かなり汗もかきました。
予定はしていなかったのですが「御前の湯」に寄ってみることにしました。
「御前の湯」

黒田藩の温泉奉行が管理していたそうで、その時の屋号「御前湯」が引き継がれています。
廃藩置県以後、共同浴場となり、現在は市が管理運営しています。
泉質と効用が書かれていました。無味無臭、アルカリ性単純泉。神経痛、筋肉痛、疲労回復に良い。
ウォーキング後にぴったりじゃないですか。
割引料金の100円にプラスタオル・石鹸代170円で計270円。いい湯でした。
御前の湯」男湯の前

男湯の暖簾には”男”の文字が日本語(漢字)・英語・ハングルで書かれていました。
中国語は?と思ったのですが、中国は漢字でいいのか・・・。
お湯から上がった後に予期しなかった事態が・・・。
温泉上がりのスベスベの気持ち良い体に、汗が染み込んで湿った下着を再び着なくてはいけないのです。気持ち悪~い。皆さん、想像できるでしょう。最悪でした。
二日市駅のゴール受付は13時20分でした。
温泉に入った時間も含めてですから、今日は割と早足で歩いています。
歩行数は21,536歩でした。
二日市駅

*今日の教訓・・・温泉入浴の案内がされたコースの時には下着とタオルを準備して出発すること。
JRウォーキング