昨年12月に投稿してから、コンスタントに毎月150人前後の方からアクセスいただいているブログがある。

 

 

 そのブログは、74歳の女性が書いた年金暮らしの様子を書いた小さな本の紹介をしたものだった。

 

 

 

( その本の表紙。)

 

 

 

 先日、朝日新聞の1面最下段に、この本の広告が掲載されていた。よく読まれているのか定期的にこの広告を見かける。

 

 

 ”大反響!6万部突破!!” と見出しがある。

 

 

 たしかにこの出版不況下、大きな広告もしていない無名の著者の小さな本が、6万部も売れているということは私にとっても驚きだ。

 

 

 その新聞広告を改めて読んでみた。

 

 

 「清々しい生き方に勇気づけられた」 「老後の不安が消えた」 感謝の声、続々! と読者の反応を載せた後、簡単な紹介記事が載っている。この部分は昨年11月、私が目にした最初の広告(後記の本文中に写真を添付しています)とは入れ替えてあった。

 

 

 『牧師夫婦として長年教会を切り盛りし、夫の死後はひとり公営住宅に。日々のやりくりは年金7万円で「十分」。あるものに感謝して。食事と運動で健康を維持。お金がないからこそ、一輪の花を買えたときの喜びが増す。空が晴れただけで幸せ。すでに十分与えられている。』

 

 

 

 ブログの中にも書いているが、この本はすでに老後を迎えた世代にも勇気を与えてくれる本だが、むしろこれから老後のことを考える世代に読んでほしい本だなあ・・・とあらためて感じている。

 

 

 

 その理由はブログと重複するので省略しますが、ぜひ40歳台、50歳台の方々にもお薦めの本です。よろしかったら本屋さんで手に取ってみてください。

 

 

 我が家では、すでに老後の真っ只中にある私たち夫婦が読み終えた後、40歳台半ばの2人の娘たちに転送し読んでもらいました。

 

 

(故郷・鹿児島県の稲刈り風景。稲干しのやり方、稲架掛けの形は各地方で異なる。この秋の風景は懐かしい思い出だ。)

 

 

 

 

( 以下は昨年12月に投稿したブログを転載しています。)

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 1週間ほど前、新聞1面最下段の書籍広告欄に目が止まった。この欄は中小出版社の個性的な本の紹介が多いので、時々チェックしている。

 

 

 

 面白いタイトルの本に目が止まった。

 

 

 

 『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』

 

 

 著者には 「ミツコ」 とある

 

 

 

 

 

 

 新聞広告の紹介記事はこうだ。

 

 

 

 『すっと伸びた背筋ではつらつとし、いつも明るい笑顔のミツコさん。牧師の家庭に生まれ、自身も牧師となり、牧師の夫とともに40年以上教会を運営。その傍ら娘4人を育て上げる。病弱だった夫を4年前に見送り、現在は公営住宅でひとり暮らし。牧師は富とは無縁の仕事。年金7万円の生活で「十分」。「今あるものに感謝して」生きる清々しい姿勢に勇気づけられる!』

 

 

 

 

 

 

 

 私には3年前に牧師を退任した6歳上の兄がいる。また私には、今まで多くの牧師や宣教師との付き合いがあった。著者のミツコさんがいう ”富とは無縁の仕事” である牧師という仕事を、まじかで50年程見てきただけに、この紹介記事を読んで 「これは読まなきゃ・・・・・」 と思った。

 

 

 

 すぐAmazonを検索した。定価より1000円ほど高い中古本しか売られていない。この本は好評なのだろう・・・・・と思いつつ、広告に書店か楽天ブックスでとあったので、その数日後、柏駅近くの書店で探した。しかし、「先ほどまで1冊あったのですが・・・・・」 とのこと。仕方なく取り寄せを依頼して待つことにした。昨日 「届きました」 と連絡があったので受け取りに行き、その日のうちに読み終えてしまった。

 

 

 

 新聞広告の紹介記事と重なる部分もありますが、カバーに記載されていた著者の紹介を添付しておきます。本を読むと、ミツコさんが運営されてきた教会(プロテスタント)は首都圏にあるようです。

 

 

 

 

 

 

 

 私は3月生まれの現在73歳だから、著者とは同学年かも知れない。この点も読みたいと思わせたひとつの要因である。

 

 

 

 読み終わった感想をひとことでいうと、彼女の生きる姿勢そのものの ”清々しさ” だった。

 

 

 

 本の 「はじめに」 の中で、彼女はこう書いている。

 

 

 

 「・・・・・この本では、等身大の私の暮らしをお見せしています。毎日、悩んだり、喜んだり、泣いたり、怒ったり・・・・・、”ありのまま” の自分でいたいと思っているので、大きく見せたり、よく見せたりしていることはありません。そんな私の暮らしがこの本を手に取ってくださった方々のお役に立つことがあれば、とてもうれしく思います」

 

 

 

 牧師の家庭に生まれ、牧師の夫と結婚し、夫が先立ってからは自ら牧師として教会を運営し、現在も協力牧師として日曜日には説教をする立場でありながら、いっさい説教めいた話は出てこない。聖書からの引用句もひとつも無い。しかしながら、さりげなく聖書が示す神と人間との関係、牧師の仕事内容や牧師と教会員のなすべき役割、そしてキリスト教の死生観を平易な言葉で教えてくれている。これは著者の考え方や行動の基本となる一番大事な要素だから、簡潔にかつわかりやすく書かれたのだろう。

 

 

 

 そしてまた、老後の暮らしのノウハウ本としてみても、アッと驚くような特別なノウハウを書いている訳でもない。しかし年金の月7万円と、シルバー人材センターで紹介された仕事で得る2、3万円で生活する工夫と、そのベースとなる考え方がたくさん公開されている。本の帯に書かれた ”年金7万円の暮らしでこんなに明るいひとり老後” の様子を、飾ることなくありのまま書いている本だ。

 

 

 

 読むと、ミツコさんには特別な出費がある。それは教会への献金と、カウンセラー的役割もある牧師として、教会員とくに遠方にお住まいの方や施設に入所された高齢の教会員と交流するための費用だ。電話代等の通信費が月1万円もかかっているが、これも年金とアルバイトの中でまかなっている。

 

 

 

 だから、今あるもの、与えられたものに感謝して、その中で小さな工夫をしながら、明るく楽しく生きている様子が自然と伝わってくる・・・・・そこが読んだ後、”清々しさ” を感じる源泉だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 本の中で、私の心の中にとくに強く残った文章を抜き書きしておきます。 (青文字の部分です)

 

 

 

 「子育ての最大の目的は自立。小さいときから娘たちには ”18歳までは面倒みるけれど、あとは自分でどうにかして” と言ってきました・・・・・高校卒業後の進路は、自分たちで考えてもらいました。私自身も親からそう言われ、実際に神学校には奨学金で通いました」

 

 

 

 「牧師の家庭に生まれ育ったので、貧乏には慣れています。父は家にお金が無くても、”うちよりもっと困っている人に分け与える” と思っていた人でした」

 

 

 

 ほとんどの家庭で、親は自分の信条や考え方に沿って子どもを育てます。私自身がそれができたかどうかは別にして、私も子どもたちが一定の年齢になったときに、”自立” している人間になることを願っていました。親はいつまでも子どもの近くにいて、支援できる訳ではありません。我が国の現状をみるにつけ、この ”子育ての最大の目的は自立” という言葉には心から納得です。ミツコさんも、幼い頃からご両親から受けた教育を、しっかり受け止めて成長されたのでしょう。

 

 

 

 

 「お金が無いことを嫌だなと思うのではなく、その状態を楽しんでしまいます。たとえば、花は、ごくたまに1本しか買いません。でも、だからこそ、その1本の花が買えたとき、ものすごくうれしい・・・・・時々しかできないからこそ、喜びが深い。だから、少ないものでも幸せになれるのです」

 

 

 

 「・・・・・部屋の中にも、できるだけ花を飾ろうと思っています。見ているだけで、心が癒されます。でも、たくさんはいらない、1本で十分です・・・・・家に花がない時は、公営住宅の敷地内の花を見るだけでも元気をもらえます。空が青くても、雨が降っていても、自然の恵みをありがたく思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何かをするときに人のためだと思うと、”これだけやってあげたのだから、もっと感謝されたい” と思ってしまいがちです。でも、”自分のためにやっている” と思ったら、相手に見返りを求めなくなり、気持ちがとてもラクになりました」

 

 

 

 「・・・・・長く使ってはいますが、物に特別な思い入れはありません。物は物。でも、あるものは大切に使いたい・・・・・物には ”寿命を全うしてもらう” という考えです。結果的に節約になっています」

 

 

 

( トースターと電子レンジは17年使い、電卓は45年もの。革表紙の聖書は30年使用しているとある。)

 

 

 

 

 「悩みがあるときは、神様にお祈りして吐き出します。自分ひとりで背負っているとは思わない。半分は神様に託してしまいます。神様はオールマイティのカウンセラーなので、気持ちを吐き出すと落ち着きます」

 

 

 

「私 は聖人君子ではありません。いつでも悩み、迷い、苦しんでいます。泣くことも怒ることもあります。ありのままの自分を大切にし、これからも生きていきたいと思います」

 

 

 

( 説教の準備をする時に使っている机。 娘さんの学習机のお下がりとあります。)

 

 

 

 

『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』 というミツコさんと同じように、自分の置かれた状況を受け止めている方も、けっこういらっしゃることでしょう。ミツコさんは、「キリスト教の信仰があるから、こうした暮らし方ができます」 とは言っておられません。ミツコさんと同じように、お金はなくても、また質素ながらも豊かな暮らしをする基本的な考え方を、今までの長い人生の中で構築されてきた方々も多いと思います。

 

 

 

( 食事は基本的に手作りで、少量を品数多くしているという。 たしかに豪華ではないが豊かな食卓だ。)

 

 

 

 

 しかし、

 

『○○歳、お金も何もかもすべてない』

『△△歳、お金はあるけど、あとは何もない』

『□□歳、お金も何もかも全部ある』・・・・・

 

 

 

 置かれた現状は人によって確かにさまざまでしょう。しかし、同じような資産状況、似たような生活環境であっても、置かれた状況の受け止め方は人によって、またその人の価値観によって変わります。

 

 

 

 この本は現在70歳台の方でも、暮らし方の参考にするには遅くはないと感じました。すぐにでも実行に移せるヒントもたくさん書いてあります。 ただ、この本を読みながら思ったことがひとつあります。

 

 

 

 むしろこの本は、これから自分の老後を考え始める世代、今まさに大変な思いをしながら子どもを育てている世代にとって、ヒントになる話が多いのではないかということです。

 

 

 

 今週は200ページにも満たない読みやすい本の紹介でした。 「ああ、こういう生き方、考え方もあるのか・・・・・」と、新鮮な気づきやヒントを与えてくれる本です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。

 

 

 

 

( 今週、ウォーキング途中で見かけた楓の紅葉。 かなり落葉しているが、一部に夕陽があたり美しい色を輝かせていた。)