原著論文はappendixまで読まないと著者に騙される?(パート3:カナグリフロジン編) | レジデントたちのモノローグ

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お疲れ様です。〇〇病院の〇〇です。

今回のテーマである論文はNEJM2017年に掲載された下記のものです。

 

Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes

(2型糖尿病におけるカナグリフロジンと心血管・腎イベント)

 

前回のブログの続きです。その秘密がappendixに隠されているのではとすぐに感じ、すばやく本文に目を通し(google先生の力を借りて)、そしてappendixへと向かうのでした。

学習会の内容については後半のアップロードファイルを参照してください。

 

では批判的吟味です。

 

①カナグリフロジン(商品名:カナグル)は日本での容量は1日1回100mgでの投与となっているが、この文献では100mgと300mgの2種類の容量で研究されており、100mg単独のエビデンスは見当たらない(本文になく、たぶん統計学的有意差なし)。

 

②前回のエンパグリフロジンやGLP-1アゴニストの時には異なる用量のものを合算してプラセボ群と比較するという技を使っているが(同様に本文中には載せていない)、今回はびっくりしたのは、カナグリフロジンに関する2つの研究(CANVAS試験とCANVAS-R試験)があり、2つともプラセボと比較して非劣性で安全性には問題ない、しかし合併症や予後に関する統計学的有意差がなかった。

この2つ試験を合算してCANVASprogramと名前を変えて今回の文献となり、複合心血管イベントの有意差が出たというのがその結末。

それも本文にはCANASprogramの成績は記載してあるものの、上記2つの試験の結果は、appendixに記載されており(TableS6を参照してください)、どんな手を使っても著者はこの薬に対して統計学的有意差を出そうとする意気込みが感じられます。

熟読しなければ気づかない人が多いのでは。

前述の2つの試験はデザインが少し異なるため単純な足し算をしたら基本駄目と思うのだが、気のせいでしょうか?

 

以上を踏まえてSGLT2阻害剤は臨床の現場でどう使用していくのかは、以下のような感じかなと思います。

 

SGLT2阻害剤のエンパグリフロジンと今回のカナグリフロジンの共通する点は複合心血管イベントの有意差があった中身は、心不全入院や心不全死の減少に関連しているのが特徴。そして2つの研究は共に心血管疾患の既往が6割以上を占める心血管疾患リスクの高い患者を対象としている。よってSGLT2阻害剤の使用目標は、「心血管疾患があり心不全を起こす可能性があったり、利尿剤などを服用しているような2型糖尿病患者」には有用と思われる。ただし有害事象として、浸透圧利尿に伴う脱水症、性器・尿路系感染症、カナグリフロジンについては足切断のリスクが高まる点があり、注意を要する。

 

以上です。ご意見があれば待ちしています。

 

それと話はそれますが、NEJMのこの手の学会で話題になるような最新の有名な文献はほとんど無料で全文を(要約でなく)インターネットで閲覧できます。さてそれは何故か?雑誌を買ってくれなくなるので損しているような気がしますよね。分かる人はコメント欄に回答をお待ちしています。 

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