子宮頸がんワクチンって結局今どうなっているの?(パート4) | レジデントたちのモノローグ

レジデントたちのモノローグ

鹿児島民医連の研修医ブログ。
鹿児島・霧島・奄美など県内各地の地域医療を支える初期・後期研修医たちの奮闘記!


テーマ:

こんにちは。後期研修医の◯◯です。

 

今回はワクチン有効率について「厚労省が示している50~70%の推定有効率」が果たしてどうなのか、文献をもとに考察してみます。以前のブログで◯◯先生が指摘したHPVワクチンに関する有名な論文が下記です。

 

Quadrivalent Vaccine against HumanPapillomavirus to Prevent High-Grade Cervical Lesions

高度異形性子宮頚部病変を予防するためのヒトパピローマウイルスに対する四価ワクチン(NEJM 2007)

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa061741

 

<Abstract>

BACKGROUND

Human papillomavirus types 16 (HPV-16) and 18 (HPV-18) cause approximately 70% of cervical cancers worldwide.

ヒトパピローマウイルス16型(HPV-16)および18型(HPV-18)は、世界中の子宮頸癌の約70%を引き起こす。

A phase 3 trial was conducted to evaluate a quadrivalent vaccine against HPV types 6, 11, 16, and 18 (HPV-6/11/16/18) for the prevention of high-grade cervical lesionsassociated with HPV-16 and HPV-18.

HPV-16およびHPV-18に関連する高度異形成子宮頸部病変の予防のためのHPVタイプ6,11,16、および18(HPV-6/11/16/18)に対する4価ワクチンを評価する第3相試験を実施した。

METHODS

In this randomized, double-blind trial, we assigned 12,167 women between the ages of 15 and 26 years to receive three doses of either HPV-6/11/16/18 vaccine or placebo, administered at day 1, month 2, and month 6.

この無作為化二重盲検試験では、HPV-6/11/16/18ワクチンまたはプラセボのいずれかの3回投与(1日目、2か月後、6か月後)を15歳から26歳の間に12,167人の女性に割り当てた。

The primary analysis was performed for a per-protocol susceptible population that included 5305 women in the vaccine group and 5260 in the placebo group who had no virologic evidence of infection with HPV-16 or HPV-18 through 1 month after the third dose (month 7).

HPV-16またはHPV-18の感染のウイルス学的な証拠がないプロトコールを準拠したワクチン群の5305人の女性およびプラセボ群の5260人について、ワクチン第3回投与後1ヶ月(7ヶ月後)に最初の分析が行われた。

The primary composite end point was cervical intraepithelial neoplasia grade 2 or 3, adenocarcinoma in situ, or cervical cancer related to HPV-16 or HPV-18.

主要な複合エンドポイントは、頸部上皮内新生物2または3、腺癌、またはHPV-16またはHPV-18に関連する子宮頸癌であった。

RESULTS

Subjects were followed for an average of 3 years after receiving the first dose of vaccine or placebo. 

被験者はワクチンまたはプラセボの最初の投与を受けた後平均して3年間追跡された。

Vaccine efficacy for the prevention of the primary composite end point was 98% (95.89% confidence interval [CI], 86 to 100) in the per-protocol susceptible population and 44% (95% CI, 26 to 58) in an intention-to-treat population of all women who had undergone randomization (those with or without previous infection).

一次複合エンドポイントの予防のためのワクチン有効性は、プロトコルを準拠した集団において98(95.89%信頼区間[CI]、86〜100)であり、無作為化を受けたすべての女性(以前の感染の有無にかかわらず)のすべてを対象とすると44である。

The estimated vaccine efficacy against all high-grade cervical lesions, regardless of causal HPV type, in this intention-to-treat population was 17% (95% CI, 1 to 31).

この高異形成子宮頸部全病変に対する推定ワクチン有効性は、因果関係HPVタイプにかかわらず、17(95%CI、1〜31)であった。

CONCLUSIONS

In young women who had not been previously infected with HPV-16 or HPV-18, those in the vaccine group had a significantly lower occurrence of high-grade cervical intraepithelial neoplasia related to HPV-16 or HPV-18 than did those in the placebo group. (ClinicalTrials.gov number, NCT00092534.)

以前にHPV-16またはHPV-18に感染していなかった若年女性では、HPV-16またはHPV-18に関連した高度異形成の子宮頸部上皮内病変の発生率がプラセボ群よりワクチン接種群で有意に低かった。

 

この要約と本文中の表1を見ると今回の結果がよくわかります。

 

つまり15歳から26歳の集団にHPVワクチンを接種した時に、

①ワクチン接種前に、「HPV-16およびHPV-18ウイルスに感染していない人」に対してワクチンを接種すると、「HPV-16またはHPV-18に関連した高度異形成の子宮頸部上皮内病変」の発生率が98%減少する(ほとんど発生しなくなる)。

②「HPV-16およびHPV-18ウイルスに感染したかどうかに関わらず全ての人」を対象とすると、

「HPV-16またはHPV-18に関連した高度異形成の子宮頸部上皮内病変」の発生率が44%減少する(半分ぐらいになる)。

③「HPV-16およびHPV-18ウイルスに感染したかどうかに関わらず全ての人」を対象とすると、

「HPV-16およびHPV-18ウイルスだけでなく全てのHPVタイプに関連した高度異形成の子宮頸部上皮内病変」の発生率が17%減少する(5分の1程度)。

 

実際の現場では事前にワクチンが有効と思われるHPV-16やHPV-18の感染確認などはワクチン接種前には行わないし、一般的には10~20%程度HPVウイルスに感染しており、HPVウイルス感染がまったくない人たちに集団接種するのは困難である。かつワクチンがカバーするHPV-16や18以外のワクチンがカバーしないHPVウイルス関連の高度異形成の子宮頚部上皮内病変が30~50%存在する。

 

以上を踏まえると、結論としてはHPVワクチンを集団接種すれば、当然③の状況になるのでワクチン有効率は17%程度になることが予想されます。なので厚労省が示している50~70%の効果は期待できないと考えます。

 

では対象年齢を13歳や14歳に下げたらいいのではとの議論もあるかもしれないが、HPVウイルス有効性に関するRCTのメタ解析などを見ても、そのような対象年齢では研究をおこなっておらず、どの程度の有効性になるかは、エビデンスもほとんど無い状況であり、予測困難である。

 

(次回、最終章に続く)

かみんさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

    ブログをはじめる

    たくさんの芸能人・有名人が
    書いているAmebaブログを
    無料で簡単にはじめることができます。

    公式トップブロガーへ応募

    多くの方にご紹介したいブログを
    執筆する方を「公式トップブロガー」
    として認定しております。

    芸能人・有名人ブログを開設

    Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
    ご希望される著名人の方/事務所様を
    随時募集しております。