『あまちゃん』以降、毎朝見続けているNHKの朝ドラ。

今は『半分、青い。』が放送中ですが、あと3週余りで最終回を迎える所にまで来てしまいました。

そんな今頃になって、主人公の楡野鈴愛(にれのすずめ)の母親の晴(はる)さん役の松雪泰子と、売れっ子漫画家の秋風羽織役の豊川悦司が、映画『フラガール』で共演していたことを思い出しました。

 

2006年の暮れあたりから突然テレビのCMに多数登場し始めた蒼井優さん。

私の全く知らなかったタレントのため、はじめはグラビアアイドルの出身の子かと思っていました。

そのうち、セリフのあるCMにも登場し、そのセリフが自然でとてもうまいので、今度は女優出身のタレントなのかも知れないと思っていたのです。

しばらくして、その蒼井優が準主演していた映画の『フラガール』(2006年)がテレビで放送されたのを観て、はじめて彼女の人気の理由がわかったような気がしました。

日本映画の多くの賞を受賞した作品であることも知らず、お笑いの南海キャンディーズの静ちゃんが出演していることなどから、軽い娯楽映画のつもりで観ていたのです。

ところが、いつの間にかこの映画にのめり込んでいき、最後にはとても大きな感動が残ったのです。

ストーリーにも無駄がなく、キャスティングも良かったと思います。

“李相日”監督の手腕にも驚かされました。

久し振りに感動する日本映画だったと感じたのです。

 

私だけでなく、本当に多くの人が感動したのだと思います。

数年後の海城中学の二次試験の社会の問題にも、この映画『フラガール』が取り上げられていました。

実話の舞台となった常磐炭鉱と、そこに作られた常磐ハワイアンセンターの誕生したいきさつを、エネルギー問題を切り口として出題されていたのです。

問題の書き出しには、この映画を観た感動が表れていました。

 

主演の松雪泰子は、都落ちした飲んだくれのダンサーとして、素人の娘達にフラダンスを教える、という役柄でした。

教え子の若いダンサーの髪を、これ以上ダンスができないようにと切ってしまった娘の父親に腹を立て、男湯の中に乗り込み、その父親になぐりかかる場面は強烈でした。

松雪泰子をはじめて知ったのは、彼女がまだ十代のころで、フジテレビで深夜に放送された『バナナチップス・ラブ』(1991年)というテレビドラマでした。(全12回)

新人女優の登竜門といった意味合いのもので、アメリカのロサンゼルスで撮影された一風変わったドラマでした。

その後テレビドラマの『マザー』で芦田愛菜ちゃんと共演し、これ以降、女優としての地位を確立したと思います。

 

豊川悦司はフラガールでは準主役の蒼井優が演じる谷川紀美子の兄役でした。

かげひなたで、主人公達を助ける役回りがぴったりとしていました。

彼をはじめて知ったのは、野島伸司脚本のテレビドラマ『この世の果て』でした。

暗いドラマでしたが、主題曲の『OH MY LITTLE GIRL』(尾崎豊)と相まって、印象的なものでした。

 

『半分、青い。』には、準主役の萩尾律の母親の和子役で原田知世も出演しています。

ドラマでは「わこさん」と呼ばれ、少し天然な役を熱演していました。

原田知世は、奇才と呼ばれた大林宣彦監督の映画『時をかける少女』で16才のときに主演としてデビューしました。

主題曲の『時をかける少女』(松任谷由実)も歌い、その後もテレビコマーシャルなどで絶え間なくお茶の間に顔を見せているのです。

 

俳優にとって代表作がとても大切ということでしょうか。

代表作のイメージが頭の中に焼き付いて、忘れられない存在になっていることだけは確かなのです。 〔 カーネル笠井 〕