水曜日のダウンタウンで、

 

「達人であっても背後からの気配実際に感じること不可避説」

 

というコーナーがありました。

私はリアルタイムでは見ていませんでしたが、フェイスブックやツイッターで話題になっていたので、後からYoutubeで見ました。

 

背後からの気配を察知できるかの検証方法は、空手家、武術家、合気道家に街中を歩いてもらい、一般人に紛れたエキストラの方が、ハリセンやピコピコハンマーで背後から叩く。

それを後ろを向いたまま防御の形を取ればOKというもの。

 

検証結果は、全員一回目で見事に叩かれていました(笑)

 

はじめに検証者の名誉の為にも言っておきますが、このような検証方法では、たとえ本当の達人でも無理だと私は思います。

勿論、私にも無理です。

 

ただ、一つ言えることは、「気配」や「気」というものに対して、多くの人が勘違いしていると感じました。

特に、「気」というキーワードに対してのアプローチに重きを置いている武道実践者の勘違い率は非常に多いと感じます。

 

そこで、「背後からの気配を察知」が絶対的に無理なのか、あるいは可能なのかについて解説します。

 

☆☆☆☆☆


1.生徒、弟子の無意識的な気遣い

3人の出演者は、背後からの攻撃に対して、“道場又は仲間内では反応できた”という共通点がありました。

しかし、街中での検証では反応できませんでした。

道場と街中、何が違うのでしょうか?ヤラセだったのでしょうか?

「ヤラセ」とは予め計画を立てて行う行為ですが、達人パフォーマンスの多くがそれに該当するか否かは、微妙なところがあります。

生徒や弟子、協力者は、無意識的に、

「先生の技は正しい」

と認識していると、身体も無意識的に、その認識に準じて動こうとします。

これは、何も武道の世界だけの話ではありません。

日常生活においても、影響力が高い人、立場が強い人に対して程、気遣いが生じます。

今流行り?の忖度というやつですね(笑)

合気道等では、実際に技が掛かる前から投げられたり、飛んだりする光景を目にすることがありますが、その理由は、

 

・実際に技が掛かると痛いから事前に飛ぶ

・忖度している

・その両方

 

と2パターンがあります。

その為、達人パフォーマンスのみを見て、その先生が本物か否かを判断するのは、武道経験者であっても困難です。

 

2.事前察知

番組の検証では確か「10人防いだら成功」という条件でした。

戦略論で言うならば、常に背後から襲われる道ははじめから歩かないという結論になります。

なぜなら「背後から襲われる」ことが事前にわかるのですから。

本来であれば、自分にとって不利な環境を察知することが、

「気配を感じる」

ですが、すでに気配を感じている不利な環境下に於いて、そこから更に気配を察知しようと思っていること自体、矛盾があるのです。

 

3.襲撃者側の心理を読む

現実に人を背後から襲おうという襲撃者側の心理について考えてみましょう。

もしリアルにそんなことを考えるに至る条件を考えると、

 

「襲う対象に対して強い恨み」又は「対象者を倒す事によるメリット」

 

がある言えます。逆に襲撃される側からの視点は、

 

「強い恨みを抱かせた」又は「自分を倒すメリットを与えている」

 

という事になります。

ある人間に対して、「背後から襲ってやる!」と思わせるに足るほど、「強い恨みを抱かせた」ことに対して、無頓着だとすれば、相当鈍い人間と言えます。

また「対象者を倒す事によるメリット」があるとしたら、かなり特殊な生き方をしていると言えます。

試合のように正々堂々とした設定の上で倒すのでなく、「背後から襲う」という選択をさせる訳ですから、相当特殊な生き方をしなければ、そなような状況にはなりません。

また、このことから武道の精神論に繋がってゆくのですが、そもそも「強い恨み」や「倒す事によるメリット」を他者に抱かせないようにすることが、武術武道の生き方という結論になります。

 

4.襲撃者の技術

背後から襲うという事は、その対象に対して強い恨みがあると述べました。

人間の身体と心理の構造上、恨みが強ければ強いほど、動きは大きくなります。

格闘技では相手を倒そうとすればするほど、攻撃の際に予備動作が生まれ、ヒット率が下がります。

熟練者はそのことをとっくに理解しているので、「倒す!」という目的を持ちながらも、その心理や予備動作が相手に伝わらないように工夫して行きます。

そして、それがいかに難しい事かは、格闘経験者の方は理解されているでしょう。

 

強い恨みを持ちながらも、そっと近づき、すっと急所に一刺しして殺す。すなわち“暗”殺。

これを実行するにはよほど特殊な訓練をするか、実際に手を下さずに依頼という形でその道のプロに頼むことになります。

 

そこまでの極端な例では無ければ、

「走ってきていきなり殴る、蹴る」

「駆け寄っていってバットで叩く」

となるでしょう。

その際、暗殺に比べ、駆け寄る際の足音が大きくなります。

そしてその時点で敏感な人は、

「何?」

と振り返ります。

しかし検証の条件では、

 

・襲撃者の殺気が無い、つまり足音が大きく無い(=暗殺のプロ級)

・違和感を感じても事前に振り返らずに反応しなければいけない条件

 

と、かなりの無理ゲーであることがわかります。

 

☆☆☆☆☆

 

「背後から襲われる」という局面についての武術的見解をまとめます。

 

第一前提:背後から襲われるような生き方をするな

第二前提:背後から襲われるような恨みやメリットを他者に与えている事に気付け

第三前提:背後から襲われるリスクが高い環境にはじめから行くな

第四前提:背後から駆け寄る音が聞こえた時点で背後を確認しろ

 

となります。

少なくとも、技術に移る前のこのような要素こそが、私は「気」と定義し、ひいては気を配る、すなわち「気配」だと思っています。

気とは、「気の解明」でも述べましたが、ドラゴンボール的な概念ではなく、目に見えないもの総称だと私は定義しました。

目に見えないものとは、

 

・空気や電気、病気の気(酸素、電子、細菌等)

・エネルギー

・意識(心、イメージ等)

 

があります。

それらが相互作用したものを気と表現しているにすぎません。

しかし、「気」というものが単体であると勘違いしてしまうと、道場や仲間内では成立していた現象が、ちょっとでも環境が変わると成立しなくなるのです。


川嶋佑の公式サイト・・・川嶋佑のパーソナルレッスンやセミナー、著書、活動等の情報を掲載しています。 

武術空手道孝真会・・・三鷹駅から徒歩3分。2003年12月に設立した空手道場です。3歳から50代、女性まで幅広い層が楽しく成長出来る空手道場です。

身体健康法「崩導(ほうどう)」・・・令和元年5月に創設した新しい心体健康法です。崩導では身体や思考を「崩す」ことで導かれる新たな動きや価値観を身体に宿し、人生の選択肢の幅を広げ、伸び伸びと生きることを目指します。

川嶋佑の動画チャンネル・・・過去DVDや空手、身体理論等の動画を定期的にアップしています。

アマゾン著者ページ・・・主な代表作:格闘技に活きる「相対軸理論」。スポーツにも武術にも活きる「内発動理論」。一般の方にも役立つ「気の解明」

2019年2月発売!「気の解明 正体を掴み、戦いに活かす! (BUDO‐RA BOOKS)



メールでのお問合せはこちら

友だち追加