混合診療の恐ろしさ | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

三橋貴明さんのブログで、混合診療の話題が出ていたので、

混合診療の問題を取り上げたいと思います。

混合診療とは、保険診療と保険外診療(保険が効かない治療)を組み合わせたものです。

現在、これは、原則として禁止されています。

厚労省のホームページによると、

>保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止しており、
>全体について、自由診療として整理される。

とあります。

この”全体について自由診療として整理される”というところがミソです。

3万円の保険診療があって、これに加えて、50万円の保険外診療も受けた場合、

3万円+50万円で、53万円ではなく、

3万円の保険診療分が10万円となり、

10万円+50万円で、60万円となるのです。

”全体について自由診療…”とは、そういうことです。

保険が効く分も自由診療として扱われる、ということなのです。

だから、治療費全額が自己負担となってしまうのです。

しかし、混合診療が解禁されると、保険が効く分はそのままで、

それに上乗せして、保険が効かない治療の分を支払うだけですみます。

つまり、3万円+50万円で、53万円ですむのです。

一見よさそうに見えますね。

しかし、そうではないのです。

>>>
混合診療に賛成な医師、あるいは、患者さんの考えはおそらく、

混合診療が認められると、今の健康保険に追加して、
まだ承認されていない薬や治療を施しても、
健康保険で承認されていないものに関しては、実費を払い、
入院費やその他の健康保険でまかなえるものは、健康保険を使って受けることができる。
何か、今までの健康保険の上に自由に「トッピング」できるのだから
非常に選択肢が広がってよろしいのではないか


という感じであろう。

一方、混合診療を認めない、という考えに立つと、

健康保険以外の治療をするのなら、入院費から何から
健康保険は使えないのですべて実費でやってくれ、となる。
混合診療賛成の方からすればずいぶん物分かり悪い考え方だな


と思われているのだろう。

しかし、このような考え方はまったく間違った考えなのである。

混合診療が解禁されると,皆保険枠と混合診療枠 というものができる.
これから開発された新しい医療,薬はすべて混合診療枠に入る.


ここからがポイントであるが
混合診療枠に入ったものでも,しばらく使ってみて,
本当に優れた治療法や薬であれば皆保険枠に入れるべきでは,
と思う人も多いのであるが,そうは絶対にならない.

いや、「絶対」とは言い過ぎかもしれないが、

そのように一度、混合診療枠に入ったものは、皆保険枠に入ることはほとんどない。
ここが混合診療の怖いところでもあり、ポイントである。


実は、現在でも厚生労働省が認めたものは
「最先端医療」と称して,厚生労働省が認可した施設でのみ混合診療が認められている.
もちろん,有用なことが分かれば速やかに国民健康保健が効くようになる.

そうすれば、なぜ、しばしば政府中枢から
「混合診療を解禁せよ」と言う意見が出てくるのだろうか。

政府としては、医療費をなんとしても押さえたい。
混合診療が可能になれば
これからの新しい薬、医療技術は混合診療枠でやってもらう。
すると、医療費の国庫負担の増加を抑えられるではないか。

もっと言えば、
今、皆保険枠の中のものでも、混合診療枠に入れてしまえば、
医療費の国庫負担を減らすことができる。

このように考えている。

混合診療解禁を目論むもうひとつの大きな勢力がある。
それは保険会社である。

保険会社の立場で見てみよう。
混合診療が解禁されれば
混合針診療枠に入った有意義な治療を国民が受けたいから、医療保険を買うのである。
これは実に大きな儲け話なのである。
また、保険会社の立場からすれば、
混合診療枠に一度入ったものが、皆保険枠に入ることもあるとすれば、
保険が組めなくなるではないか。
故に、保険会社は政府に働きかけて、
混合診療枠に一度入ったものは、絶対に皆保険枠に入らないというルールを作るであろう。

そんな、傍若無人な、と思われるかもしれないが現実である。

現にオリックスの宮内社長は,
「一度,混合診療枠に入れた物を皆保険で認めてはいけません」
と言っている.


これは,社内の勉強会のような所での発言である.
往々にしてこのような本音というものを偉い人は公の場では語らないものである。

$国家戦略研究

以上の2点の理由から、
新しい治療法、薬剤が、皆保険枠に入るという事は、
ほとんど絶対にと言っても差し支えがないくらい有り得なくなる。

とすれば,「混合診療」という言い方は適切ではなく,

「国民皆保険制限制度」とすべきであろう.

これが,今,政府中枢で論じられている「混合診療」の実態である.
>>>

http://consultanta.web.fc2.com/ZZZ/MixWhere/MixWhere.html
から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調は筆者による)

安倍内閣は、国民皆保険制度を守る、と言っていますが、

混合診療が全面解禁されれば、

国民皆保険という制度だけは、残っているが、事実上は崩壊、

という事態になりかねないのです。

ですから、混合診療は、一部解禁にとどめさせ、それ以上広げさせないか、

現在、解禁しようとしている一部でさえ、解禁を撤回させるか、

どちらかしかありません。

全面解禁など絶対にさせてはなりません。

これは、安倍内閣の正体を探る試金石ではないかと思います。

混合診療解禁は、あくまで実験的に一部だけ解禁し、

弊害が明らかになったら、「それみたことか。やっぱり禁止だ」

といって、再び禁止にするつもりなら、

一部解禁もいいと思います。

しかし、これを機に、なし崩し的に全面解禁への道を開こうと考えているなら、

それこそ”安倍は売国奴”ということです。

私としては、前者であってほしいと願っていますが…。


オリックスの宮内氏。

恐ろしいですね。

自社が儲かりさえすれば、健全な医療を崩壊させてもいいというのですから…。

これが新自由主義者の恐ろしさなのです。

これが新自由主義者の正体なのです。

一般の国民から、医療を受ける機会を奪ってでも自社の利益を増やそうとするのです。

混合診療全面解禁で、国民皆保険制度が事実上崩壊すれば、

普通の国民は、まともな医療を受けられなくなります。

しかし、一部の大金持ちが、高い保険料と治療費を払ってくれれば、

医者(というより医療株式会社)や保険会社は儲かるので、

普通の国民が苦しもうが関係ありません。

「医療が受けられない?そんなもん、稼ぎが少ないヤツらの寝言だよ。」

それが新自由主義者の本音なのです。


政府が、医療費を抑えたいから混合診療解禁に動いている。

それが事実なら、ここにも、財政問題が絡んでいることになります。

何度も当ブログで述べてきたように、

日本は財政危機ではないのです。

財政危機ではないことがわかっていれば、

医療費を抑えるために混合診療解禁、

という道筋は封じることができます。

しかし、現状では、

日本は財政危機であり、歳出を抑えなければならない、

という誤解が広まっているので、

財政危機だから、混合診療を解禁して、医療費を削減しよう、

という話になってしまうわけです。

当ブログで、”国の借金”問題を何度も取り上げたのは、

ここにも理由があります。

本当は、問題がない”国の借金”を気にして、

借金を減らせ、減らすためには、政府の支出を削れ、

医療費も減らせ、

減らすためには、混合診療解禁だ、

という話になってしまうわけです。

本当は問題がない”国の借金”を問題視して、

日本の医療が崩壊、だなんて、目も当てられません。

政府の医療費が増えてもいいから、混合診療は解禁するな!

こう訴えていかなければなりません。


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