空手日記

空手日記

王道流空手道 佐藤塾での稽古の記録です。

風呂の中と布団の中で読んでいた、東野圭吾の『幻夜』を読み終わってしまった(2度目)。読み終わった文庫本は廊下の棚に置いておいて、また読みたいと思った時にいつでも手に取れるようにしている。『幻夜』は800ページ近い長編で、何となく時間つぶしのために本を読む僕にとってちょうどいい作品。以前一度読んだはずなのに内容が全く思い出せなかったのでもう一度読むことにした…女は魔物だ…これがこの小説のテーマ。ホント怖いです。でも、好きになったらとことん行くところまで行っちゃう…なんて、今の所経験ないなぁ。まぁ、それはこの際置いといて…


次なる〝開拓〟のためブックオフの110円の棚を物色。著者の五十音順に整理されているので、どうしても作品数の多い池井戸潤さんあたりで止まってしまうんだけど、今回は著者の名前ではなく背表紙の作品名で僕の視線は捉えられた。



この作品は以前映画化されたこともあり題名は知っていた。ただ、「部活」なんて中高生の話に決まっているので、それほど興味は引かなかった。どちらかといえばドロドロした恋愛というか不倫というかそんな小説を愛好する僕としてはちょっと守備範囲を外れた作品のような気がした。一方で最近『サード』というちょっと古い青春映画をテレビで見て、それなりに共感できたので、〝口直し〟にこういうのもいいかと購入。

ブックオフはアプリに毎月登録した店ごとに100円引きのクーポンがもらえるので、110円の本が10円で買えるという嘘みたいな現実がある。だから〝ダメ元〟でもと手に取ることができる。

題名の通り「桐島」という高校の男子バレー部のキャプテンでありエースが「部活をやめる」。その〝事件〟を、同じ男子バレー部員、女子バレー部員、「桐島」のガールフレンド、クラスメートなどがどう感じ、または何も感じず、共感したり反感を持ったりなどが、それぞれの言葉で語られていく。

最後までいっても結論のようなものはなく、またいつもの日常が展開していく。少し不完全燃焼のような読後の印象で、もうこの作家の作品は読まないと一度は決めた。

そしてまたブックオフに出向いた。そしてまた朝井リョウの棚の中の『チア男子』という作品が目に留まる。


これは実は以前映画化された『ウォーターボーイズ』と勘違いしていた。

まぁ、〝男子〟だろうが〝ボーイズ〟だろうがどっちにしても全く興味のない分野。それでも朝井リョウを1冊だけで評価してしまうことにどこか引け目を感じて、迷ったが買うことにした。

110円―クーポン100円―ポイント10円=0円!なんとタダでゲットした。これならたとえ気に入らなくても後悔しない(朝井リョウさんにはなんとも失礼な話だけど)。

柔道の町道場経営者を親に持つ姉と二つ下の弟。姉は高校1年にして上級生であるキャプテンを破るほどの実力者。大会でも抜群の成績をあげる。弟は姉と同じ高校に推薦入学するがいまひとつぱっとしない。このことは小さい頃からずっと続いている二人の歴史。

弟と同学年に抜群に強い幼なじみで親友がいる。

ある日弟は練習中にケガをする。薄々自分の実力に限界を感じていたこともあり、顧問に退部を申し出る。すると顧問から「さっき〇〇(親友の名前)も退部の申し出があった」と知らされる。理由が分からない弟はすぐに親友に理由を聞く。

「ケガをしたお前が客席から応援してくれたこと、どんなに力づけられたことか。死んだ母親はチアガールをしていて、『人々を励まし勇気づけることは、実は自分を励まし勇気づけること』と聞かされていた。だから自分は、前例はないかもしれないけど、〝チアガール〟ならぬ〝チア男子〟になる」と宣言。

二人で始めたその思いは少しずつ共感する者も出て、大会に出るのに一人足りない7人になる。その「足りない」ことさえ前向きにとらえ「『大会に出るために』ではなく純粋に『上手くなるために』過ごしている時が一番楽しい」と言い切る。

実際、チア男子として必要な柔軟性に始まり倒立、側転、バク転などの技術習得は、お互いに「今日倒立練習した」など報告しあうことにより切磋琢磨する…もう二十年も空手を修行していながら、柔軟性に全く進歩のない自分には、耳の痛い話。

…とまだ半分も読んでいないけれど、面白くて久しぶりに寝不足になっている。この先どんな結末が待っているのか、それとも何事もなく終わるのか、変な興味を持っている。

それにしてもブックオフ恐るべし!