鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2022年9月10日号)

*安倍元総理追悼号

 日本会議のオピニオン誌「日本の息吹」9月・10月合併号は安倍晋三元総理追悼号で各界からの追悼文が多数掲載されている。近いうちに同会のホームページに転載されると聞いているが、ここでは拙文を要約してお伝えする。

 

 故・安倍晋三氏の最大の功績は「自由で開かれたインド太平洋」を提唱し主導したことである。日本がかくも雄大な構想を世界に提示し実現に踏み出したのは歴史上初めてであろう。この構想を成功させるためには台湾防衛と中露連携の阻止が絶対条件となる。

 従って安倍総理は平和安全法制などで日米同盟を強化し、一方ではロシアと首脳会談を重ねたのだ。だが2020年9月に安倍総理が辞任するや、ロシアは中国との連携を模索し始め、昨年10月には中露合同艦隊が日本を周回するに至った。

 自由インド太平洋構想の瓦解を直感した安倍元総理は、同年12月に「台湾有事は日本有事であり日米同盟の有事である」と発言し、日本の防衛費の倍増を岸田総理に進言した。岸田総理はこの進言を受け入れ防衛費の大幅な増額を約束した。

 

 岸田内閣は年末までに国家安全保障戦略等を改定し、防衛力の大幅な強化のための具体的な計画を示す予定だが、厳しい財政事情のもと、財務省が防衛費の倍増に激しい抵抗の姿勢を示している。

 岸田総理は、リベラルを自認するだけあって、何事にも妥協的な姿勢が目立つ。「右顧左眄(うこさべん)、足して2で割る、岸田さん」とは駄作の川柳(せんりゅう)だが、倍増と現状維持を足して2で割って1・5倍増などと言うのでは、自由インド太平洋構想は確実に瓦解する。安全保障は成功か失敗かの二つしかなく、成功と失敗を足して2で割れば確実に失敗となる。

 岸田総理よ、断固として安倍元総理の遺志を継げ!

 

 軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)

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