鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2021年12月27日号)

*動画:ウクライナと台湾

 前号「ウクライナと台湾」をテーマにしたトーク番組がUPされた。前号に含まれない情報も追加してあるので是非ご視聴を!下記をクリック

https://youtu.be/fW8Fu-lv7R4

 番組でも触れたが、先週、中国の空母、遼寧が沖縄東方沖の太平洋で戦闘機J15の発着艦訓練を数日にわたり行った。この意味するところは重大だ。かつて中国の戦闘機のジェットエンジンには致命的な欠陥があり、継続的な戦闘機訓練は不可能と言われていた。だが、中国は遂にその欠陥を克服したわけだ。

 

 一方、日本は、次期戦闘機のエンジンは英国ロールスロイス社と共同開発が決まった。ロールスロイスは世界最高のエンジン技術を誇っているから、そのお世話になるわけだが、要するに日本は純国産では、いまだに世界レベルの戦闘機エンジンを開発できないのである。

 さらに問題なのは、遼寧が訓練を行った位置が沖縄東方沖の太平洋である点だ。そこは中国が設定した第1列島線の外側であり、第2列島線内である。かねてから中国は、まず第1列島線内での軍事覇権を確立し、次に第2列島線内の軍事覇権を確立する計画だと言われてきた。

 

 従って、遼寧の位置が意味するのは、中国が軍事覇権確立の第2段階に入ったと言う事である。そして第2列島線は日本の本州の中央、つまり東京に連なっている。中国は日本の西半分を覇権下に収める計画なのである。

 では、東半分はどうするつもりなのであろうか?私は以前から、その点に興味を持っていたが、今年の秋に明確な答えが出た。10月に中国とロシアの連合艦隊が日本列島を分断して周回したのである。つまり西半分は中国、東半分はロシアという合意が習近平とプーチンの間で成立したのだろう。

 

 「ウクライナ国境からロシア軍1万人が撤収する」と、ロシアが発表した。今月7日のバイデン・プーチンのオンライン会談以後、米露間で水面下の交渉が行われていたから、米露間で何らかの密約が成立したと見ていいであろう。

 1939年、ヒットラーとスターリンの密約の結果、ポーランドが分割されたが、今般の密約でウクライナの分割が決まったと言う事か。東ヨーロッパではウクライナ、東アジアでは日本、それぞれ分割の密約が成立した記念すべき2021年に乾杯いや完敗!

 

 軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)

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