鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2020年4月14日号)
*駆逐艦バリーは台湾を守った!
武漢ウィルス感染が確認されたため、米第7艦隊は太平洋での活動を大幅に縮小している。空母セオドア・ルーズベルトはグアム島で、空母ロナルド・レーガンは横須賀でそれぞれ休止状態だ。
そんな米海軍を嘲笑するかのように、11日に中国の空母「遼寧」が艦隊を率いて東シナ海から南西諸島を通過し太平洋に出た。「もはや米第7艦隊は太平洋のくず鉄だ。沖縄・尖閣・台湾を含む東シナ海、西太平洋、南シナ海の覇権は中国が握ったのだ!」とのデモンストレーションである。
この動きをいち早く察知した米駆逐艦バリーは東シナ海で中国艦隊の航行を妨害し、中国の軍艦に追跡されながら台湾海峡を南に通過した。しかもその際、海峡の中間線の中国側を敢えて航行したのである。
これは中国から見れば領海侵犯とも取れる行動であり、中国海軍によって撃沈されかねない危険を伴う航行である。米駆逐艦は何故そんな危険を冒したのか?それは台湾を守るためである。
もし上記のデモンストレーションに対して米海軍が何の反応も示さなければ、中国の次なる行動は確実に台湾侵攻であった。中国の習近平政権は、現在、内外から強い批判にさらされているが、起死回生の一手として画策されたのが、台湾侵攻作戦なのである。
つまり毛沢東以来の悲願である台湾侵攻を実現すれば、国内の反習近平派は一掃されるし、米軍が動けなければ、日本も韓国も東南アジアも中国に屈服する他はないのである。もはや寿命が尽きたかに見える習近平政権の起死回生の一手だったのである。
その中国の野望を1隻の駆逐艦が打ち砕いた。おそらく艦内にウィルス感染者がいなかったために自由に動けたのであろうが、感染爆発よりも中国の攻撃の方が数倍怖かった筈であり、その勇気は賞賛に余りある。彼らはアジアを救ったのである。
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軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
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