鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2020年3月5日号)

*アフガニスタンの平和

 2月29日、アフガニスタン和平で米軍とタリバンが合意した。タリバンが停戦を継続すれば、14カ月以内に米軍は撤収する取り決めだ。ところが3月3日にはテロ攻撃が再開され翌日、米軍はタリバンを空爆した。和平合意は早くも崩壊の危機にある。

 実は半年前も同じ様な事があった。トランプ大統領がタリバン幹部と和平合意する直前に、米兵がアフガンで殺害され、協議は水の泡となった。トランプは米軍のアフガン撤退を選挙公約に掲げていたから、再度交渉して、漸く合意に至ったのだが、再び水泡に帰そうとしている訳だ。

 トランプの前の大統領オバマも米軍のアフガン撤退を選挙公約にしていたが、米軍を撤収させようとすると大規模なテロが起こり、治安回復のために却って米軍を増派させなくてはならないという皮肉な結果に陥っている。

 

 昨年12月に日本人の中村医師がアフガニスタンで殺害されて、同地における平和の難しさが浮き彫りになったが、なぜタリバンは無意味なテロをやめようとしないのか?テロを控えれば、米軍は去るのである。テロを続けることは米軍を引き留める効果しか、もたらさない。

 タリバンはイスラム原理主義の武装勢力だが、テロリストの寄せ集めであり、統制が取れた組織ではない。テロ活動を行うには資金が必要なはずだが、その資金はどこから来るのか?世界中のイスラム原理主義者からの寄付で賄われているなどと言われるが、実はそんな遠い所で金を集めているわけではない。

 

 米兵が1万人以上、駐留すれば、その消費のため現地は潤う。さらに地域住民の理解を得るための資金や補償金も合わせれば莫大なカネが地元に落ちるのである。イスラム原理主義者はそんな地元民を親米派と非難し、身の安全を確保したければ金を出せと迫る。結局その金はテロの活動資金になるわけだ。

 もし米軍が去ってしまえば、地元におちるカネもゼロとなりテロリストも用無しとなる。つまり米軍がいなくなるとテロリストは失業してしまうのである。だから米軍が去ろうとすると、必ずそれを呼び戻そうとするかのようにテロが起きるのである。

*前号「フィリピンの憂鬱」の動画解説がUPされた。最新の情報も追加されている。下記をクリック

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 軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)

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