鍛冶俊樹の軍事ジャーナル(2019年12月25日号)

*中露蜜月は本当か?

 今月2日、ロシアのシベリアから中国への初の天然ガス・パイプラインの供給開始式典が催された。ビデオ中継でプーチン大統領は「これは、両国の戦略的互恵関係を質的に新たなレベルに引き上げる」と述べた。

 マスコミは、「中露蜜月をアピール」と評するが、ロシアは今迄も「中露蜜月」をアピールしてきた。ここでプーチンが「質的に新たなレベル」と強調している点を見落としてはなるまい。つまり従来の「中露蜜月」は、もはや御破算なのだ。

 

 ロシアは天然ガスの宝庫であり、パイプラインでどこよりも安価に天然ガスを供給できる。ところが2005年にウクライナに反露政権が誕生するや、ロシアは天然ガスの元栓を閉じてしまい、ウクライナ経由のパイプラインで結ばれていた欧州全体がエネルギー危機に陥った。

 すなわちロシアの天然ガス・パイプラインは、状況次第でいつでも相手国に政治的従属を迫る武器に変貌するのである。これでプーチンの「質的に新たなレベル」の意味が明確になろう。従来の中露の主従関係は逆転したのである。

 

 この2日後、ロンドンで開かれたNATO首脳会議で、初めて中国の軍拡に「連携して対応」すると決議された。主導したのはトランプだが、彼は、もともと親露反中路線を提唱していた。

 更に、その5日後の今月9日、パリでウクライナの大統領ゼレンスキーがプーチンと会談し、年内、停戦で合意した。会談にはフランスのマクロン、ドイツのメルケルも同席した。つまりロシアのクリミア併合は事実上、承認された訳だ。

 

 こうしてみるとロシアが今月、対中包囲網への参加を明確にしたのは明らかであろう。ではいつ対中包囲網が具体的に形成されたかと言えば、6月のG20大阪サミットである。これについては7月2日号「G20大阪サミットの成功」を参照されたい。

https://ameblo.jp/karasu0429/entry-12489277542.html

 そして大阪サミットの主催者であった安倍総理が23日、北京を訪れ習近平に降伏を迫った。来春、習近平が日本で白旗を掲げることになるか、来年、東アジアの国際政治は最大のイベントを迎えることになろう。

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軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)