カラサワの演劇ブログ

演劇関係の雑記、観劇記録、制作日記、その他訃報等。観劇日記は基本辛口。これは自戒とするためでもあります。


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「シナリオ骨法」なるものが世の中にはある。映画のストーリィを面白くするための基本要項をまとめたもので、長く映画界に言い伝えられているという。口伝えされているうちにいろいろ違うバージョンも生まれているようだが、とりあえず笠原和夫(『仁義なき戦い』の脚本家)の著書『映画はやくざなり』に紹介されているものを紹介する。

 

●シナリオ骨法十箇条 


その1「コロガリ」:客の胸をワクワクさせる展開の妙。  

 

その2「カセ」:主人公に背負わされた運命、宿命。  

 

その3「オタカラ」:主人公にとって、何物にも代えがたく守るべきもの。

 

その4「カタキ」:敵役。オタカラを奪おうとする者の側。  

 

その5「サンボウ」:正念場のこと。進退ギリギリの瀬戸際に立った主人公が決意を示す地点。  

 

その6「ヤブレ」:破、乱調。失意の主人公がボロボロになったりする。

 

その7「オリン」:バイオリンをかき鳴らして観客の涙を誘うシーン。

 

その8「ヤマ」:ヤマ場、見せ場。クライマックス。あらゆるドラマの要素を結集させる。  

 

その9「オチ」:しめくくり。ラストシーン。予想通りに終わるか、予想を裏切っても期待通りに終わるべし。 

 

その10「オダイモク」:テーマ。書き終えたところで、もう一度チェックすること。  

 

それぞれの項目のタイトルが、いかにも古い映画屋の用語という感じでいい。「バイオリン」を「オリン」と略するところなど、古くささを突き抜けてすごい言語センスだ。「サンボウ」というのは何かというと、明智光秀が盃の乗った三宝を蹴って立ち上がり「敵は本能寺にあり!」と叫ぶシーンから来ているという。よくわからないが、しかしそのよくわからないところが妙にアリガタイ。 

 

舞台を観ていると、ストーリィに凝る作者の場合、主人公を取り巻く状況が大変面白いのに、そのために主人公が最後までその状況に巻き込まれるだけで、積極的に事体を打開しようとしないまま終わってしまう場合が多い。それでは、なぜこの人物が多々登場人物がいる中で主人公に選ばれたのだかわからない。「サンボウ」は、話の進行2/3が終わった頃に、それまで状況に流されていた主人公が、それを改善しようと決意するシーンとしてぜひとも欲しいところだ。そこで初めて、その人物は主人公たる資格を得るのである。主人公の失意である「ヤブレ」をこの骨法では「サンボウ」の後に置いているが、もちろんこれはストーリィの順を示しているわけではなく、サンボウの場面の前に置かれ、ヤブレからサンボウにつながる場合が最も多い。

 

私がこの骨法で改めて感心したのは「オチ」を、“観客の期待通りに”終わらせないといけない、というところ。悪は滅び善は勝つ。もし、悪が勝つオチにしたいならば、観客が話の途中で、善が負けることを期待させるようにしむけなくてはいけない。予定調和を嫌う作家は多いが、実は受け手というのは予定調和が大好きなのだ。そして、観客が、オチはどうあれ満足感を胸に帰途につくためには、自分の期待がかなえられることが大事なのである。

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